スクリーンの餐

“家族の酒”復活への道のり

1923年、大阪府島本町山崎に日本初となるウイスキーの蒸留所が造られた。寿屋(現サントリー)の山崎蒸溜所である。それから百年、技術者たちが研鑽を積んだ結果、今日のジャパニーズは、スコッチ、アイリッシュ、アメリカン、カナディアンと並ぶ世界五大ウイスキーの一つに数えられるまでになった。
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つらいときも食は人を笑顔に

コロナ禍の前、令和元年におけるわが国の難民申請者数は10,375人。このうち難民と認定された者は44人で、認定率はわずか約0.4%にとどまっている(※)。これは諸外国と比べると著しく低い数字である。
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日米貿易摩擦時代の米国映画

昨今の米中貿易戦争は当事国同士にとどまらず世界経済全体に影響を及ぼしつつあるが、20世紀後期には日米間の貿易摩擦が問題とされ、ジャパンバッシングが起きるなど、アメリカの憎悪の標的は日本に向かっていた。
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ニューヨーカーたちの年越し

明けましておめでとうございます。年の初めのご報告です。本連載の通巻表記は上記のようになっていますが、100回記念企画を10本に分けて掲載していたので、前々回で記事本数は200本に達していました。
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「恋のしずく」西条の日本酒

現在公開中の「恋のしずく」をご紹介する。本作は、日本三大酒処(※1)の一つである東広島市西条を舞台に、東京の農業大学の学生でソムリエを目指している“リケジョ”橘詩織(川栄李奈)が苦手だった日本酒の魅力に目覚めていくというのが大まかなストーリーである。
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女優たちの印象的な喫煙場面

 さる7月18日の参議院本会議で健康増進法改正案が可決・成立し、飲食店での喫煙は原則禁止となった。いまだ喫煙に愛着がある人がいることも事実であるが、これも時代の流れではある。この流れの前の流れを見ておきたい。
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「トリス」と昭和戦後の男たち

 1990年代から2000年代にかけて低迷していた国内ウイスキー需要は、2009年頃からのハイボールブームの影響もあって近年はやや持ち直している(図1)。このブームにサントリーの「角瓶」と並んで貢献したのが、かつてトリスバーやアンクルトリスで一世を風靡した「トリス」。今回は戦後の洋酒ブームの火付け役となった「トリス」と、トリスバーが登場する映画を通して、戦後の昭和を振り返っていく。 「トリス」とト […]
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「寝ずの番」の食べ物と踊り

前回に引き続き、落語界を舞台とした作品と、その中に登場する落語と食事を取り上げていく。 三代目マキノの矜持 2006年製作の「寝ずの番」は、上方落語の六代目笑福亭松鶴一門をモデルにした中島らもの短編小説集を原作に、俳優の津川雅彦がマキノ雅彦名義で初監督した作品である。 マキノ監督の祖父は日本映画の父と呼ばれた牧野省三、叔父マキノ雅弘も本シリーズの第2回で紹介した「江戸っ子繁昌記」(1961)をはじ […]