
国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。米国ではサイクロスポラ症患者が5月以降増加し、7月1日時点で78人が報告された。CDCなどが感染源調査中。カナダではサラミ製品に関連するサルモネラ感染が拡大し、72人が感染。
注目記事
【米国】米国のサイクロスポラ症患者に関する調査
米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)は、共通の原因食品に関連したサイクロスポラ症アウトブレイクを探知するため、各州および連邦の公衆衛生・食品規制当局と協力し、年間を通じてサイクロスポラ症患者のモニタリングを行っている。
サイクロスポラ症の患者数は、通常は春季および夏季の数カ月間に増加する。2025年は5月に患者が報告され始めた。2025年7月1日時点で、国内感染サイクロスポラ症患者計78人が14州から報告されている。
患者の年齢範囲は1〜85歳、年齢中央値は46歳で、57%が女性である。発症日の中央値は2025年6月8日(範囲は5月2日〜6月21日)である。情報が得られた患者78人の
うち13人が入院した。死亡者は報告されていない。
図:2025年5月1日以降に発症した国内感染サイクロスポラ症患者の居住州別患者数
(2025年7月1日時点の計78人)
地域・州の公衆衛生当局、CDCおよび米国食品医薬品局(US FDA)は、1州内で発生している1クラスターを調査している。可能性がある感染源を特定するための調査が進められている。
【カナダ】サラミ製品に関連して発生しているサルモネラ
カナダ公衆衛生局(PHAC: Public Health Agency of Canada)は、REAブランドおよびBONAブランドのサラミ製品に関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella I4,[5],12:i:-)感染アウトブレイクに関する公衆衛生通知を更新した。本アウトブレイクの調査は継続している。
本アウトブレイクに関連して検査機関で感染が確定した患者計72人が報告されている。患者の発症日は2025年4月中旬〜6月中旬である。報告患者のうち7人が入院し死亡者はいない。
患者の多くが、デリカウンターの調理済みサンドイッチに使用されていたサラミ、またはデリカウンターで購入したサラミの喫食を報告しており、これらのデリカウンターでは回収対象のサラミ製品が提供されていた。
本アウトブレイクは、現時点で患者が報告されている3州以外の州・準州にも関連している可能性がある。当該製品は、アルバータ州、マニトバ州およびオンタリオ州に出荷された。
(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)
目次
【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 米国のサイクロスポラ症患者に関する2025年のサーベイランス調査(2025年7月2日付初発情報)
2. 小規模飼育の家禽類に関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Enteritidis、S. Indiana、S. LondonおよびS. Mbandaka)感染アウトブレイク(2025年6月26日付更新情報)
【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 公衆衛生通知:REAブランドおよびBONAブランドのサラミ製品に関連して発生しているサルモネラ(Salmonella I4,[5],12:i:-)感染アウトブレイク(2025年6月24日付更新情報)
【欧州疾病予防管理センター(ECDC)】
1. 欧州疾病予防管理センター(ECDC)が感染症予防における社会・行動科学の活用に関する実践共同体(Community of Practice)としてライトハウス「ECDC Lighthouse」を開設
【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)
【アイルランド食品安全局(FSAI)】
1. 食品安全諮問委員会が食品安全における人工知能(AI)の革新的役割について検討する会議を開催(2025年2月25日)
【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. E 型肝炎ウイルス:飼育ブタやイノシシとの接触、およびそれらに由来する食品を介した感染の予防
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(微生物)No.14(2025.07.09)
- https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2025/foodinfo202514m.pdf