堆肥から抗生物質耐性菌を検出

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.15(2020.07.22)を発表した。

注目記事

【オランダ】堆肥中の抗生物質耐性菌

 オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM: Rijksinstituut voor Volksgezondheid en Milieu)の調査報告。

 この調査では、家畜由来の堆肥を介してオランダの農地環境中(土壌、水)に抗生物質耐性細菌がどの程度排出されているかについて分析された。その結果、調査された堆肥から、高度耐性菌(HRMO)である基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生大腸菌が検出された。この耐性菌の検出率は動物種によって異なり、産卵鶏由来堆肥の40%から子牛由来堆肥の90%までさまざまであった。

 最も高濃度のESBL産生大腸菌が検出されたのは、産卵鶏由来の堆肥からであった。土壌への堆肥の散布量は動物種により異なっており、家禽由来堆肥はその他の動物種由来の堆肥と比べて散布量がかなり少ないことから、いずれの動物種由来の堆肥でも環境に与える影響はほぼ同じであると考えられた。

 堆肥中には特定の抗生物質に耐性の細菌や抗生物質の残留物が存在している。ウシやブタなどの家畜由来の堆肥は、農地土壌の肥沃度を高めるために使用されている。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.15(2020.07.22)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2020/foodinfo202015m.pdf

今号の目次

【米国食品医薬品局(US FDA)】
1. 米国食品医薬品局(US FDA)が「New Era of Smarter Food Safety Blueprint(新時代のより洗練された食品安全の計画書)」を発表

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 袋入りミックスサラダに関連して発生しているサイクロスポラ感染アウトブレイク(2020年7月9日付更新情報)
2. ロメインレタスの喫食に関連して複数州にわたり発生した大腸菌O157:H7感染アウトブレイク(最終更新)

【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 公衆衛生通知:サラダ製品に関連して発生しているサイクロスポラ感染アウトブレイク(初発情報)
2. 公衆衛生通知:カナダにも輸入されていたロメインレタスに関連して米国で発生した大腸菌感染アウトブレイク(最終更新)

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【アイルランド食品安全局(FSAI)】
1. アイルランド食品安全局(FSAI)の相談窓口が2019年に対応した食品関連の苦情は3,460件以上

【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. 消費者の健康保護:国民の半数以上が州当局を信頼している(ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)の消費者調査の結果)

【オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)】
1. 堆肥中に存在する抗生物質耐性菌とその耐性遺伝子および抗生物質残留物