アルテルナリア毒素評価継続

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.02(2017.01.18)を発表した。

注目記事

【EFSA】欧州人のアルテルナリア毒素への食事暴露評価

アルテルナリア(Alternaria)毒素は穀類、油糧種子、果物および野菜を汚染する恐れのある菌類が産生する二次代謝産物である。欧州食品安全機関(EFSA)は、4種の個別のアルテルナリア毒素(アルテルナリオール(AOH)、アルテルナリオールモノメチルエーテル(AME)、テヌアゾン酸(TeA)、テントキシン(TEN))について欧州人におけ引員性暴露評価を実施した。これら4種の毒素の中では平均濃度ではTeAが最も高く、暴露量は「乳児」および「幼児」で多かった。基づくデータは限られるが、ベジタリアンは一般の集団よりも暴露量が多いと考えられた。

※ポイント:EFSAによるアルテルナリア毒素の評価は2回目です。1回目の評価結果は2011年に公表しましたが得られたデータが限られているとして、その後、欧州各国で汚染実態データの収集が行われていました。さらに追加の訃歐データが必要との結論を受けて委託試験も実施されています。 EFSAは、今回の結論で関連品目(果物・果物製品、トマト・トマトを主原料とする製品、穀類を主原料とする乳幼児用食品、等)の分析データをさらに得ることを推奨しているので引き続き調査が行われそうです。

【EFSA】食品リスク評価のための残留物の定義設定に関するガイダンス

EFSAは農薬およびその残留物に関するパネル(PPR)に対し、食品リスク評価のための残留の定義に関するガイダンスを作成するよう要請した。この文書では、リスク評価で考慮すべき残留物(とくに活性物質の代謝物)の同定に関する工程を説明し、その選択基準も示している。ガイダンス文書には3つの実践的ケーススタディ(lsoproturon、Spiroxamine、Epoxiconazole)も付属文書として掲載している。

※ポイント:これは農薬のリスク評価者には必読のガイダンスです。農薬による健康影響を評価する際は活性成分とその代謝物が対象となります。しかし代謝物の中には健康影響にはほとんど関係しないものもあり、すべての代謝物が対象になるわけではありません。そのため、評価対象に何を含めるのかを定義して判断基準やスキームを示したのが今回のガイダンスです。

【MFDS】2017年食・医薬品安全政策の変更について

韓国食品医薬品安全処(MFDS)は、2017年から変更される食品・医薬品分野の主要政策を発表した。食品分野では、氷酢酸製品の子供保護包装義務化、遺伝子組換え食品(GMO)の表示範囲拡大、ナトリウム含量比較表示制導入、食品安全管理基準(HACCP)義務の適用拡大、などを予定している。

※ポイント:韓国でもHACCPの義務化が進んでいるようです。また、一部の食品を対象に、ナトリウム含量を類似製品と比較して色・マークでわかるようにした表示制を導入すると発表しているので、どのような表示になるのか興味深いです。

(安全情報部第三室)

今号の目次

【WHO】
1. I ARCモノグラフVolume 110(2016):溶媒やポリマー製造に用いられるある種の化学物質

【EC】
1. 食品および飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 欧州人のアルテルナリア毒素への食事暴露評価
2. 食品リスク評価のための残留物の定義設定に関するガイダンス
3. 健康強調表示
4. 香料グループ評価
5. 飼料添加物関連
6. 遺伝子組換え関連
7. 食品と接触する材料関連

【FSA】
1. 2つの新規食品申請について2017年2月2日まで意見募集
2. 消費者に対しMDA Products Ltd の冷凍肉、冷凍魚製品の警告

【NHS】
1. 米国の新ガイドラインによると、乳児期早期にピーナッツを与えたほうがいい場合もある
2. アルコールがどのように脳を「飢餓モード」に切り替えるかが明らかとなる

【RIVM】
1. 化学物質の市販後調査のブレインストーミング:ワークショップ報告書

【FDA】
1. FDAは栄養成分表示の繊維についてのガイダンス案に情報提供要請を発行
2. FDAは輸入食品の安全既向上のためにパートナ一シップについての公聴会を開催
3. 警告文書

【FTC】
1. FTCとニューヨーク州はPrevagenの販売業者を詐欺的記憶や認知機能改善宣伝をしたことで訴える

【FSANZ】
1. 食品基準改定No. 166

【MPI】
1. 公衆衛生警告一貝のマリンバイオトキシン

【香港政府ニュース】
1. 豚から違法医薬品検出される
2. 清涼飲料水が安全確認で不合格

【MFDS】
1. 日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 説明資料(マネートゥデイ卵記事に関連する)
3. 「国民が安心する食医薬安全ネットの構築」
4. 2017年食・医薬品安全政策の変さらについて

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(EurekAlert)急性膏匪試験に使う動物を減らす国際ワークショップの報告書発表
・(EurekAlert)米国の半分近くの成人と1/4の子どもが定期的に人工甘味料を摂取してい

・(EurekAlert)低コストの減塩政策は世界中で数百万人の命を救うだろう
・(EurekAlert)神経管欠損予防のために葉酸サプリメント推奨
・(EurekAlert)何十年にもわたる誇大広告とは異なりクルクミンだけで健康増進はありそ
引こない
・(EurekAlert)ダイェクリーサプリメントにはスタテンに関連する利益とリスクの両方か
おるかもしれない
・(Natureニュース)詐欺的クルクミンは化学者に教訓を提供
・書誌事項

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.02(2017.01.18)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2017/foodinfo201702c.pdf