「冷めるとおいしい米」宮城県の民間育種家が開発

冷めても透明感を保ち、時間が経つほどに甘みを増す新品種。
冷めても透明感を保ち、時間が経つほどに甘みを増す新品種。
冷めても透明感を保ち、時間が経つほどに甘みを増す新品種。
冷めても透明感を保ち、時間が経つほどに甘みを増す新品種。

宮城県の育種家平塚静隆氏は、このほど「冷めるとおいしい米」を開発した。人工交配・選抜による育種で、冷めて時間が経つほどに甘みを増し、味がよくなるのが特徴。用途としておにぎり、弁当、粥を想定し、栽培農家と需要者を順次開拓していく。

“甘み”ターゲットに交配・選抜

 新品種の品種名は未定で、2011年末に品種登録出願を予定している。それまでの間、交配に関する詳しい情報は非公表としているが、コシヒカリの系統ではない交配親を持つ。近年の水稲育種では低アミロースをターゲットとする場合が多いが、この品種開発では主に“甘み”をターゲットとし、「甘みのある品種とそれを強めると思われる品種を交配し、食味と食味関連成分による選抜を重ねた」(平塚氏)。

 炊飯した際の特徴としては、炊き上がり時点では味に特色のない白飯となるが、これは「一般に、軟らかい米は冷えたとき団子状となり、粘りの強い米は冷えるとポロポロになることが多い。そこで、軟らかよりもふっくらした炊き上がりと、ほどほどの粘りを目指した」(同)ため。冷めて時間が経つにつれて甘みを増す一方、飯粒の透明度とふっくら感は維持する。

 また、吸水しにくい、炊き上がりにくいという特性も持つ。このため、平塚氏は、通常の2倍程度か理想的には8時間以上の浸漬と、圧力タイプの炊飯器の利用を推奨している。

 栽培上の特徴としては、出穂がササニシキやひとめぼれより7日前後、成熟期は14日前後遅い。稈長はササニシキやひとめぼれよりやや長いため、倒伏しやすく、穂発芽もしやすい。玄米はササニシキやひとめぼれよりひと回り大きい。宮城県で一般的な栽培の収穫適期は、9月下旬~10月上旬となる。栽培適地としては、東北中部平坦地等を挙げている。

 稈長の長さ等により、「栽培特性は、宮城県の主力品種ひとめぼれよりも明らかに劣るが、ササニシキやみやこがねもちと同等で、一般農家が栽培できないレベルのものではない」(同)。

需要実態に合った品種で消費拡大へ

 平塚氏は、この新品種開発の背景として、「生活スタイルの変化や炊飯器の高性能化等により、炊きたてのご飯を食べる機会が減っている。炊飯後、ご飯の味は時間の経過とともに低下しますが、そうしたご飯が調味料や食品添加物を利用しなくても、おいしく食べられる水稲品種が必要と考えていた」と語る。

 また、「とくに若年層は、コンビニや量販店の弁当やおにぎりなどを購入する機会が多く、冷めたご飯の味に敏感です。したがって、この年代で米離れが起こさないためには、冷めておいしいご飯が必要」とも指摘。現代の米需要にマッチする新品種が、米市場維持・拡大に貢献することを期待している。

 平塚氏は野菜を中心に経営する農家である一方、自宅を研究所として、長年水稲育種を行っている。これまでに吟醸酒用の酒造好適米ひよりを育種(2000年8月4日品種登録出願公表)した実績がある。