プラ代替品に含まれる化学物質

No.11(2023.05.24)

プラスチック代替品の例(イメージ)

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。WHOは、体重管理等の手段としてノンシュガー甘味料を使用しないことを勧める、という条件付き勧告を発表した。オランダ当局は、使い捨てプラスチック代用素材の使用実態とそれらに含まれる可能性のある化学物質について有害性と食品への移行性について調査した。

注目記事

【WHO】WHOは新たに発表したガイドラインで体重管理のためにノンシュガー甘味料を使用しないよう助言

 遊離糖類の多量摂取は過体重と肥満につながるとして、世界保健機関(WHO)は遊離糖類の摂取を減らすよう勧告してきた。その方法の一つにノンシュガー甘味料(NSS)の代用があるが、WHOは、糖尿病のヒトを除くすべての人について「体重管理または非感染性疾患のリスクを減らすための手段としてNSSを使用しないことを勧める」という条件付き勧告を発表した。これは、成人・子供・妊婦におけるNSS摂取に関する無作為化比較試験(RCTs)の系統的レビューをもとに、NSSの使用が成人または子供の体脂肪の数値を減らすのに長期的な利益を与えるという根拠はなく、成人の2型糖尿病、心血管疾患、死亡率のリスク増加など、NSSの長期使用による望ましくない影響がある可能性が示唆されたことを理由としている。

※ポイント:WHOの勧告のため、メディアでも話題になっています。この勧告について注意していただきたいのは、系統的レビューに採用できたRCTsは限定的で総合的に確実性が低い根拠に基づいているため、「条件付き」の勧告であるという点です。さらに、根拠が不十分なため個々のNSSに関する助言もしていません。ガイドラインには系統的レビューで特定された限界について明記されていますので、それらを理解した上で勧告を参考にするようにしてください。

【RIVM】使い捨てプラスチック指令の履行後のオランダ市場の代用食品接触物質と溶出する化合物の優先順位付け

 EU指令に基づき、2021年に一連の使い捨てプラスチックの禁止が導入された。その多くがストロー、かき混ぜ棒、使い捨て皿など飲食物に使用されていたものであった。使い捨てプラスチックの禁止以降は、紙や麦わら、竹などの代用素材でできたものが使われている。オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)は、代用素材の使用実態と含まれる可能性のある化学物質について調査し、その有害性と食品への移行性について評価した。

※ポイント:食品容器・包装の規制と使われている代替素材は国ごとに異なりますが、使い捨てプラスチックの削減を推進していく中で生じる課題を知るのにはよい報告書だと感じました。代用素材に含まれる可能性のある化学物質が詳細にまとめられているので、とくに代用素材の導入を考えている事業者にとっては参考になると思います。

【EFSA】ハチ類と農薬:リスク評価のためのガイダンス更新

 欧州食品安全機関(EFSA)は、植物保護製品(PPP)によるハチ類への影響に関するリスク評価の方法に関するガイダンスを更新した。旧版が作成された2013年以降に発表された科学的知見をもとに、ハチ類によるPPPへの直接的な接触と餌を介した摂取の2つの経路の暴露による影響(急性・慢性)を段階的に評価するアプローチを導入している。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.11(2023.05.24)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2023/foodinfo202311c.pdf

今号の目次

【WHO】
1.2021年10月24-30日の第9回国際鉛中毒予防週間の活動報告
2. 出版物(2023年6月発表予定)
3. WHO は新たに発表したガイドラインで体重管理のためにノンシュガー甘味料を使用しないよう助言

【FAO】
1. Codex

【EC】
1. 持続可能で、食用にでき、栄養価も高い‐虫についてもう一度考えよう!
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 細胞培養由来食品の安全性―科学的評価の準備が整う
2. ハチ類と農薬:リスク評価のためのガイダンス更新
3. 食品添加物関連
4. 農薬関連
5. 飼料添加物関連

【FSA】
1. 品目コードとカテゴリーのリスト

【FSS】
1. 食品事業者向けアドバンス・オンライン・アレルゲン・トレーニングツールを開始する

【COT】
1.2023年5月16日の会議

【DWI】
1. 飲料水報告書2022年

【FSAI】
1. 公衆衛生栄養戦略
2. 国際食品機関責任者フォーラムを開催

【BfR】
1. 実験動物の保護:「余剰」な動物の殺処分は個々のケースで慎重に検討しなければならない
2. 多くの人々がマイクロプラスチックについて懸念している

【RIVM】
1. 使い捨てプラスチック指令の履行後のオランダ市場の代用食品接触物質と溶出する化合物の優先順位付け
2. 化学物質混合物への暴露はあまりにも多いように見え、健康リスクは不明
3. 全ゲノム配列決定を用いて微生物農薬の抗生物質耐性を評価する
4. 深い池や湖でのポリアクリルアミドの分解とアクリルアミドの生成可能性:文献レビュー

【VKM】
1.2023年9月18日、PFAS についてのウェビナー
2. フードサプリメントのヒアルロン酸

【FDA】
1. Robert M. Califf 長官の「食は薬である全国サミット」での発言:「ヘルスケアの変革」
2. FDA はオンライン食料品購入における食品表示に関する情報提供依頼を公表
3. 食品安全に関する国際協力は FDA の最優先課題である
4. アペタミン―違法に輸入された体重増加、体型増強製品
5. 乳児用調製乳のリソースページを見直す
6. 動物バイオテクノロジーに重要なツールを提供するプロジェクトを発表する
7. 将来的な公衆衛生上のリスクへの備えと対応
8. うわさのコントロール
9. 主要な食品アレルゲン表示と交差接触に関するコンプライアンスポリシーガイドの草案を発表
10. IFT 報告書は食品トレーサビリティの推進に向けた協力とイノベーションを推奨
11. 公開中:食品安全近代化法(FSMA)の食品トレーサビリティ規則に関する小規模事業者向けコンプライアンスガイド
12. 疾病調査:アミガサタケ(2023年5月)
13. 消費者向け情報
14. 公示
15. 警告文書

【NTP】
1. 科学助言委員会(2023年5月16日)

【EPA】
1. Biden-Harris 政権は公衆衛生を守り効率と一貫性を向上させるため新規化学物質の審査プロセスの改革を提案

【USDA】
1. 科学者がゲノム編集技術を使って初めての主要ウイルス疾患耐性子牛を生み出した
2. 科学研究戦略は米国農業の力強い転換を目指す

【NIH】
1. ニュースレター2023年5月号
2. コロイド銀:知っておくべきこと

【CFIA】
1. 食品安全検査報告

【FSANZ】
1. 食品基準通知
2.2022食品リコール統計

【MPI】
1. 警告

【香港政府ニュース】
1. 違反情報
2. リコール情報

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 毒草と山菜、混同しないでください!
3. タンパク質の健康機能食品、選択の幅が広がります
4. ポリ塩化ビフェニルの人体暴露レベル、有害影響の懸念なし
5. 生活の中の有害物質安全情報をお知らせします
6. 回収措置

【SFA】
1. リコール情報
2. シンガポール食品統計2022

【HSA】
1. 警告:3製品にステロイドと多量の禁止物質シブトラミンなどの強力な医薬成分が含まれていることが判明;消費者2名が有害影響を発症

【FSSAI】
1. コインバトールの店舗でエチレンを認可されていない方法で使って追熟させたマンゴ
ー575kg を押収
2. 食品事業者による新たに32例の誤解を招く広告や宣伝を発見

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から