WHOが糖摂取5%勧告ガイドライン案にパブリックコメントを募集

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.06(2014.03.19)を発表した。

注目記事

【WHO】WHOは砂糖ガイドライン案に意見募集を開始

 世界保健機関(WHO)は、砂糖の摂取に関するガイドライン案にパブリックコメントを募集する(2014年3月5~31日)。WHOは、2002年から砂糖の摂取量を1日の総エネルギー摂取量の10%以下にすることを薦めている。新しいガイドライン案でも同様としながらも、総エネルギー摂取量の5%以下にすることでさらに追加のメリットがあるだろうと付け加えている。総エネルギー摂取量の5%は、普通のBMIの成人で大体25gに相当する。

※ポイント:糖の摂取量を5%にするというWHOの勧告が大きな波紋を投じて、さまざまなところでニュースになっています。10%目標はそのまま残るのでわかりづらいかもしれませんが、英国国営保険サービス(NHS)の記事も一緒に読んでいただくと、5%の意味が理解できると思います。

 問題になるのは遊離の単糖と二糖で、もともと食品に含まれているものと添加されたものを区別していません。「追加のメリット」とは虫歯予防効果などです。欧米諸国では、10%でも達成できていないのが現状なのに5%は厳しすぎるとの意見も多いようです。

【HSE】For Information:パンの発表された結果にMRL適用

 英国健康安全局(HSE)は、パンに定期的に検出されている農薬に対して穀類の最大残留基準値(MRL)を適用するためには、加工係数を使い始めるのが適切であろうと決定した。これにより、パンの製造に使われる穀類がMRLを遵守しているのかを確認できるとしている。

 英国では、最近になって、原料が単一のワインや水分含量が変化したのみの乾燥果実などには、加工係数や乾燥係数を考慮した上で原料のMRLと比較して原料が残留農薬基準を遵守しているか確認するという手法を、初期チェックとして取り入れている。

※ポイント:食品の基準値の適用と検査には、どのような状態のものを対象としているのか(対象品目の詳細)が重要になります。残留農薬のMRLは、通常は取引される一次生産品(原料)に適用されるものです。現時点のEU規制でも特定の加工係数は示されていません。しかしながら、最近の傾向としては、適切な加工係数が設定できるようなものについては、その係数を考慮した上でMRLを適用できるように検討していこうとしているようで、その対象として今回はパンが選択されたというわけです。

【EPA】EPA、Sergeant’s Pet Care及びWellmark International社は有害な可能性のある殺虫剤製品の取り消しに合意

 Bansect、Sentry、Zodiac 、Biospotの製品名で販売されているプロポキスル(プロポクスル)を含むペット用ノミやダニ対策製品を取り消すことに合意した。当該製品を使用したペットを抱きかかえたり触ったりする子どもへのリスクを考慮した処置である。

※ポイント:ペット用製品についてですが、身近な問題で、もしかしたら日本にも何らかの影響が出てくるかもしれないと思い紹介しました。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(化学物質)No.06(2014.03.19)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2014/foodinfo201406c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. WHOは砂糖ガイドライン案に意見募集を開始
2. 国際がん研究機関:IARCがん予防ハンドブック再開

【FAO】
1. 取引されている食品や飼料に低レベルのGM作物が検出される頻度は増加し続けている

【EC】
1. 食品獣医局(FVO)査察報告書:スウェーデン、ブラジル、ケニア、スペイン、中国
2. 歯科用アマルガム由来の水銀の環境リスクと間接的健康影響についての最終意見
3. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. EFSAは無機ヒ素の食事暴露推定を引き下げる
2. ビオチンの食事摂取基準についての科学的意見
3. パントテン酸の食事摂取基準についての科学的意見
4. 臭素化難燃剤 ― 委員会からの国家モニタリング要請
5. 農薬リスク評価のためのメカニズム効果モデルに関連した優良モデル実践に関する科学的意見
6. 植物と植物調整品の安全性評価のためのQPSアプローチに関する科学的意見
7. 遺伝子組換え関連
8. 健康強調表示関連

【FSA】
1. COTがEFSAのBPAについての意見募集に対応
2. FSAは主任科学アドバイザーを任命
3. 新規食品成分としてのシクロアストラゲノールについて意見募集

【HSE】
1. 残留農薬モニタリング:2013年第3四半期の結果
2. For Information:パンの発表された結果にMRL適用

【NHS】
1. Behind the headlines:WHOは砂糖の目標値を半分にすると追加のメリットがあるという

【ASA】
1. ASA裁定:プロバイオティクスインターナショナル社

【BfR】
1. グドゥチハーブティー由来の健康問題が起こりうる ― しかし、入手可能なデータはまだ十分ではない
2. パー及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS)の検査を開始

【ANSES】
1. 農業労働者の農薬暴露:ANSESは文献レビュー報告書を発表し、追加のデータ募集を開始

【FSAI】
1. フルーツジュースと関連製品の表示
2. 2013年FSAI相談電話への食品苦情は12.5%増加
3. Shellfish De La Mer社が冷凍加熱済みアイルランドイガイ身の2バッチを回収

【FDA】
1. GRAS(一般的に安全とみなされる)決定についてのFDAの声明
2. FDAは製造安全性規則案の環境影響声明の範囲についての公聴会と意見募集期間の延長を発表
3. FDAは食品の表示用語としての濃縮サトウキビジュースについての企業向けガイダンス案に意見募集を再開
4. 公示
5. 警告文書(2014年3月4日、11日公表分)
6. Pain Free by Natureは未表示の医薬品成分を含むReumofan Plus錠剤を自主回収
7. SNI Nationalは未表示の医薬品成分を含むKratom XL 4 パック、Maeng Da Kratom 10 パック、Max Kratom 20 パック及びBali Kratom 40 パックを自主回収

【EPA】
1. EPA、Sergeant’s Pet Care及びWellmark International社は有害な可能性のある殺虫剤製品の取り消しに合意

【CFIA】
1. 日本の核危機:輸入及び国産食品についてカナダ人向け情報

【FSANZ】
1. 食品基準通知

【APVMA】
1. 2005年7月から2010年6月までにオーストラリアで動物用に販売された抗菌剤製品の量についての報告書

【TGA】
1. 色素タートラジンのレビュー

【NSW】
1. NSWの北部、中部、極北沿岸漁師への助言

【MFDS】
1. 参考資料 日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 説明資料(「米国のパン・菓子500種に発がん性が疑われる化学物質含有」の内容に関連して)
3. 集団給食業者が提供する農水産物の検査結果
4. 乳・幼児食品、健康機能食品のトレーサビリティ管理、段階的義務化
5. 健康機能食品の国内で製造された原料は増え、機能性の多様化
6. ベンゾピレンの基準超過検出「香味油」製品の回収措置
7. 食品添加物の正しい摂取用量などの安全情報を提供

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(EurekAlert)魚油を多く摂るのは心血管系の健康に良いかもしれないことをピッツバーグの公衆衛生研究者が見いだした
・(ProMed-mail)ダイエタリーサプリメント、肝毒性 米国