2011年食の10大ニュース[13]

  1. 東日本大震災の被災地で外食奮闘
  2. 外食のアジア進出が本格化
  3. 原発事故による食材クライシス
  4. ユッケ騒動で焼肉に大打撃
  5. 郊外では「食べ放題」が百花繚乱
  6. ワイン酒場が居酒屋の新市場を開拓
  7. ドライブスルーが有力な「売り方」に
  8. フレンチ低迷のなかビストロが元気
  9. サイゼリヤが1000店に到達
  10. クラフトビール専門店の台頭

1. 東日本大震災の被災地で外食奮闘

 幸楽苑、カルラ、半田屋など被災した地元企業が早期に営業再開したことに加え、大手を中心に外食企業が炊き出しなど積極的な被災地支援を展開。食の部分で人々の生活を支えた。塩害を受けた土地で野菜の栽培を始めたサイゼリヤ、石巻に本社を移したホットランド(築地銀だこ)のように、雇用創出で現地に貢献しようという取り組みも特筆される。

2. 外食のアジア進出が本格化

 国内マーケットの停滞を受けて、アジア諸国に活路を見出そうという動きが活発化。香港、上海を拠点に巨大市場の中国攻略をめざす企業、タイやベトナム、シンガポールといった新興国に照準を合わせる企業と、取り組みはさまざま。コンビニもアジア各国で定着し、日本の食文化が着実に浸透し始めた。

3. 原発事故による食材クライシス

 東日本大震災による福島第一原子力発電所事故で、食材の一大供給地だった東北地方に大打撃。ソバや肉牛など日本有数の品質を誇る福島の農産物をはじめ、多くの食材が出荷制限を余儀なくされた。海外で高い評価を得ていた食材も多く、今回の事故は日本ブランドを大きく傷つけている。

4. ユッケ騒動で焼肉に大打撃

 新興焼肉チェーンの食中毒事件をきっかけに、厚生労働省が肉の生食の規制を大幅強化。これによりユッケが焼肉業界から事実上締め出された。食の安全確保のためとはいえ、一つの食文化が消えたことの衝撃は大きい。事件当事者の社長の稚拙なマスコミ対応、肉の取引業者の杜撰な安全管理など、外食の危機管理対策という点でも多大な教訓を残した。

5. 郊外では「食べ放題」が百花繚乱

 ステーキ、ハンバーグに食べ放題のカレーやサラダバーを組み合わせた「ステーキハンバーグ&サラダバーけん」の後を追って、すかいらーくの「ステーキガスト」、ロイヤルの「カウボーイ家族」など類似業態が続々登場。不況を反映し、実質的な満足度を求めるファミリー向け業態の最右翼に浮上した。

6. ワイン酒場が居酒屋の新市場を開拓

 かつての通好みな「ワインバー」と違い、低廉なワインを幅広く揃えたカジュアルな業態「ワイン酒場」が台頭。カジュアルとはいえ客単価3000円超を確保し、低価格競争に明け暮れる既存の居酒屋業態を尻目に新しい領域を開拓しつつある。

7. ドライブスルーが有力な「売り方」に

 かつてはファストフードの“専売特許”だったドライブスルーが、さまざまな業態で導入され始めた。郊外店では標準装備としている牛丼の「すき家」をはじめ、カレーの「CoCo壱番屋」「リンガーハット」など。消費者のタイムセービングニーズに対応した売り方として急浮上。

8. フレンチ低迷のなかビストロが元気

 東日本大震災以降、厳しい経営環境が続くフランス料理店の中にあって、低価格のビストロが若い客層に大人気。1人5000円以下で十分に満足できる価格設定で、フレンチの新しいマーケットを開拓。

9. サイゼリヤが1000店に到達

 11月オープンの「銀座インズ店」でサイゼリヤが総店舗数1000店に到達。直営のテーブルサービスで単一業態、バーチカルマーチャンダイジングをはじめチェーンストアの王道を行く戦略を貫いての大台到達は、間違いなく日本の外食産業における金字塔。

10. クラフトビール専門店の台頭

 マイクロブルワリーのビールを多数集めた新しいビアパブ「クラフトビール専門店」が都心部で急増。ビール離れが顕著ななか、マニアックなビール好きの人気を集めるが、これはビールが“特殊な商品”化しつつあることの表れか?


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土肥大介
About 土肥大介 6 Articles
柴田書店代表取締役 とひ・だいすけ 1987年明治大学卒業。柴田書店入社。「月刊食堂」編集長を経て、2005年代表取締役就任。