バーベキューでは生の食品と加熱済み食品を別の皿に

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.19(2014.09.17)を発表した。

注目記事

【Health Canada】カナダ政府がテンダライズ処理した牛肉のラベル表示を義務化

 カナダ保健省(Health Canada)は、消費者が牛肉を購入する時に、それがテンダライズ処理した牛肉(MTB:mechanically tenderized beef)であること、およびその調理法を知ることができるようにするため、MTB製品にラベル表示を義務付ける新しい要件を発表した。

 カナダ国内で販売されるすべてのMTB製品は、“mechanically tenderized”の明確な記載および安全な調理方法の説明をラベル表示することが義務付けられる。新しいラベル表示では、有害な食中毒菌を死滅させるためにMTBを内部温度が63℃(145°F)以上になるまで加熱し、さらにステーキの場合は加熱中に2回以上返すことの重要性を強調しなければならない。ラベル表示が新しい要件を満たしているかの検証はカナダ食品検査庁(CFIA)が行う予定である。

【EFSA】欧州のA型肝炎アウトブレイクの原因食品の追跡調査

 欧州食品安全機関(EFSA: European Food Safety Authority)は、欧州の複数国にわたり発生しているA型肝炎アウトブレイクの原因食品の追跡調査に関して欧州諸国の協調と調整の役割を担ってきた。2013年1月以降、欧州12カ国で1,440人以上のA型肝炎患者が報告されており、遺伝子型の決定により331人のアウトブレイク株への感染が確定している。

 2013年5月、国外旅行歴のあるA型肝炎ウイルス(HAV)遺伝子型IA感染患者がドイツから報告され、イタリアからはHAV患者数の全国的な増加とアウトブレイクの発生が報告された。アウトブレイク株(KF182323)感染の確定患者が、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポーランド、スウェーデンおよび英国の計11カ国(計331人)から報告されている。

 イタリア、フランスおよびノルウェーで、冷凍ミックスベリー(14ロット)およびミックスベリーケーキ/ペストリー(2ロット)からHAVが検出されている。アイルランド、オランダおよびスウェーデンでは、食品喫食歴と聞き取り調査の結果の分析により、確定患者が喫食した可能性があるベリー類・ベリー製品が特定された。

【UK FSA】バーベキューを行う際の食品安全に関する調査

 英国食品基準庁(UK FSA: Food Standards Agency, UK)が実施した調査の結果、調査対象の10人中9人以上がバーベキューの際に本人および参加者の健康に危険を及ぼす習慣を少なくとも1つ持っていることが確認されたため、FSAは戸外で料理をする際にも食品安全基準を遵守するようバーベキュー愛好者に呼びかけている。さらに重要なことは、5人中1人(21%)がバーベキューで喫食した食品が原因で病気になったことがあると考えていることである。

 調査結果によると、バーベキューでの調理時に生の食品と加熱済み食品を別の皿に載せない者が5人中約1人(19%)、生の食肉を取り扱った後に手指を石けんで洗わない者が21%、食品を使用直前まで冷蔵しない者が半数近く(47%)、生の食肉と加熱済み食肉に同じトングを使用して交差汚染のリスクを冒す者がほぼ半数(51%)存在し、94%の人が食品安全の基本原則の少なくとも1つを破っていた。

調理後にも食品安全上の問題が存在することが明らかになった。バーベキューでハンバーガーやソーセージが完全に加熱されたかどうかを喫食の前に確認しない者が1/3近く(28%)存在し、鶏肉の場合はそれよりやや多い割合(32%)の者が確認していなかった。一方、10人中4人以上(42%)はバーベキューの時の方が台所での調理時より食品安全に注意していると答えた。しかし13%はバーベキューでの食品安全に関して特別なことはしていなかった。

食品安全のための簡単なヒント
FSAはすべてのバーベキュー愛好家に以下の簡単なヒントを忘れないよう呼びかけている。

  • 交差汚染を避ける。
  • 生の鶏肉は洗わない。
  • 事前に加熱しておく。
  • 焦げは十分な加熱を意味しない。
  • 使い捨てのバーベキュー器具を使用した場合は十分な加熱に時間がかかる。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(微生物)No.19(2014.09.17)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2014/foodinfo201419m.pdf

今号の目次

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 生のクローバースプラウトの喫食に関連して複数州にわたり発生した志賀毒素産生性大腸菌O121感染アウトブレイク(最終更新)
2. Foster Farmsブランドの鶏肉製品に関連して複数州にわたり発生した多剤耐性サルモネラ(Salmonella Heidelberg)感染アウトブレイク(最終更新)

【カナダ食品検査庁(CFIA)】
1. アルバータ州で発生している大腸菌O157:H7感染アウトブレイクの調査

【カナダ政府(Government of Canada)】
1. カナダ政府がテンダライズ処理した牛肉のラベル表示を義務化

【欧州疾病予防管理センター(ECDC)】
1. 欧州連合(EU)/欧州経済領域(EEA)でこれまで見られなかったMLVAパターンを示す単相性(monophasic)Salmonella Typhimuriumの感染患者クラスター

【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 欧州で複数国にわたり発生しているA型肝炎アウトブレイクの原因食品の追跡調査

【欧州委員会健康・消費者保護総局(EC DG-SANCO)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【英国食品基準庁(UK FSA)】
1. カンピロバクター汚染調査に関する更新情報
2. バーベキューを行う際の食品安全に関する調査の結果

【アイルランド食品安全局(FSAI)】
1. アイルランド食品安全局(FSAI)が輸入冷凍ベリー類の煮沸を推奨する助言を再度発表

【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. 2013年にドイツで発生した食品由来疾患アウトブレイクの原因食品

【ProMed mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報