優先アレルゲンの見直しと閾値

No.03(2023.02.01)

(イメージ)

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。コーデックス食品表示部会へ優先アレルゲンの閾値について助言を提供するための第2回FAO/WHO合同特別専門家会合が開催された。米国食品医薬品局は、子供向け加工食品中の鉛のアクションレベルに関するガイダンス案を発表した。フィリピンでβカロテンが豊富なMalusogライス100t以上が初めて収穫された。

注目記事

【WHO】食物アレルゲンのリスク評価:パート2:優先アレルゲンの見直しと食品中の閾値の設定:会合報告

 食物アレルゲンのリスク評価に関する第2回FAO/WHO合同特別専門家会合が開催され、優先アレルゲンの見直しと食品中の閾値の設定に関する科学的助言をまとめた報告書が公表された。専門家会合は、優先アレルゲンの閾値(食物アレルギーのある消費者の大半に有害な反応が生じないアレルゲンの量)として参照用量(RfD)に合意した。RfDはアレルゲンとなる食品の総タンパク質量(mg)とし、RfDを消費される食品の量(kg)で除した値をアクションレベルとして提案している。

※ポイント:コーデックス食品表示部会(CCFL)へ優先アレルゲンの閾値について助言を提供するために開催された専門家会合の報告書です。CCFLでは、包装済み食品の表示に関する一般規格のアレルゲン表示に関する条項の見直しと、予防的アレルゲン表示に関するガイダンスの策定が議題となっており、その検討で今回のRfDとアクションレベルが考慮されることになるでしょう。

【FDA】FDAはベビーフード中の鉛のアクションレベルに関する事業者向けガイダンスを発表

 米国食品医薬品局(FDA)は、「よりゼロに近づける」(Closer to Zero)行動計画の一環として、赤ちゃんおよび小さい子供向け加工食品中の鉛のアクションレベルに関するガイダンス案を発表した。アクションレベルは、FDAが食品を異物混入(adulterated)とみなす可能性がある濃度であり、執行措置を行うべきかどうかを検討する際に考慮される。

 提案されているアクションレベルは、「果物、野菜(根菜類の単一食材の製品を除く)、混合品、ヨーグルト、カスタード/プリン、単一食材の肉類」の製品10ppb、「根菜類(単一食材)」の製品20ppb、「乾燥乳児用シリアル」の製品20ppbであり、事業者が汚染低減のための措置を講じれば達成可能な濃度であるとしている。

※ポイント:2021年4月に開始した行動計画では、ベビーフード中の鉛、ヒ素、カドミウム、水銀のアクションレベルの設定を目指しており、鉛が最初に設定されました。

 子供への健康影響に関する暫定参照値(IRL)と国内流通品の汚染実態が考慮されており、IRLは米国疾病管理予防センター(CDC)が血中鉛参照値を見直したため以前(3.0μg/日)よりも低い2.2μg/日が採用されています。また、対象品目が細かくなり過ぎないように配慮されています。FDAの計画では、次はヒ素への設定が予定されています。

【PhilRice】Malusogライス(ゴールデンライス)が収穫された

 フィリピンにおいて、βカロテンが豊富なMalusogライス100t以上が初めて収穫され、ビタミンA欠乏リスクのある就学前の子供、妊娠中あるいは授乳中の母親のいる家庭に配布された。現在、商用栽培のために種子を増やしており、2024年後半には完全商用化されると期待されている。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.03(2023.02.01)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2023/foodinfo202303c.pdf

今号の目次

【WHO】
1.50億人が心疾患につながるトランス脂肪から守られていない
2. WHO は子供たちを汚染された医薬品から守るための対応を強く求める
3. 食物アレルゲンのリスク評価:パート2:優先アレルゲンの見直しと食品中の閾値の設定:会合報告

【FAO】
1. Codex

【EC】
1. SCHEER(環境及び新興リスクに関する科学委員会)
2. 食品廃棄についての欧州市民委員会第二回
3. 委員会は動物の健康に関する情報提供要請を開始
4. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 銅の総摂取量は新しい安全レベル未満
2. セレンの許容上限摂取量に関する科学的意見
3. 遺伝子組換え関連
4. 食品酵素関連
5. 食品接触物質関連
6. 農薬関連
7. 飼料添加物関連

【FSA】
1. タイムズヘルス委員会に関する FSA 声明
2. 意見募集
3. ウェールズ食品諮問委員会の公開会議―2023年2月8日

【FSS】
1. スコットランドの食品及び飲料環境

【DEFRA】
1. 食品中の残留農薬:2022年第2四半期のモニタリング結果

【DWI】
1.「難分解性、流動性、有害物質-イングランドとウェールズの飲料水へのリスク」(フェーズ2)研究報告書発表

【BfR】
1. 集団におけるヨウ素摂取量の減少:小児及び青年のヨウ素摂取量を改善するモデルシナリオ
2. 食品には何が入っている? 調理鍋の中の科学

【RIVM】
1. 欧州 PFAS 禁止案が正式に提出される
2. マイクロプラスチックの環境影響研究の緊急な必要性

【ANSES】
1. クレオソート:処理済の枕木を再利用しないこと

【Tukes】
1. 水質と摂取についてのより良い情報が入手可能

【FDA】
1. FDA はベビーフード中の鉛のアクションレベルに関する事業者向けガイダンスを発表
2. 食品と子供の発達における栄養素と環境汚染物質に関する研究を探る科学ワークショップの登録を開始する
3. FDA と連邦政府のパートナーは子供の成長と発達におけるシーフード摂取の役割に関する研究を開始する
4. FDA は着色料認証料引き上げを提案する
5. Food Code2022の変更点概要
6. FDA は包装前面表示に関する消費者調査について手続き通知を発行する
7.2022年のよりスマートな食品安全の新時代における成果
8. 警告文書

【EPA】
1. EPA は2024-2027会計年度の国家執行及び遵守イニシアチブに、気候変動、PFAS を加えることを提案
2. EPA は PFAS 限度や栄養についての新しい研究を含む排水規制と研究の新しい計画を発表

【USDA】
1.2025食生活指針助言委員会を発表
2. USDA はオーガニック執行強化最終規則を発表

【CFIA】
1. カナダ政府は食品安全と植物の健康を向上させる解決方法を開発するカナダのイノベーターに投資する
2. リコール情報

【FSANZ】
1. 食品基準通知

【香港政府ニュース】
1. ニュースレター
2. 違反情報

【MFDS】
1. コーティングフライパンについて学びましょう!
2. 有害物質が検出された健康機能食品の回収措置
3. 輸入食品の迅速通関を拡大し、食品原料の需給安定性を確保
4. オンライン販売人気製品、消費者の目で安全を守る!
5. 食薬処、「食医薬規制革新100大課題」50%推進率を示す
6. 食品に表示・広告を禁止する韓薬類似名称の範囲拡大

【SFA】
1. シンガポールは食品安全を確保するために、オンラインプラットフォームでの食品の販売についての業界規格を導入する
2. リコール情報

【FSSAI】
1.「ギー/バター」と同じ名前で誤解を招く製品が販売されている

【PhilRice】
1. Malusog ライス(ゴールデンライス)が収穫された

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から9件
・ProMED-mail1件