アマメシバは完全に加熱料理を

No.14(2022.07.06)

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。欧州食品安全機関の新しい運営理事会にはメンバーとして市民とフードチェーン関係者、欧州自由貿易連合(EFTA)/欧州経済領域(EEA)が入った。米国環境保護庁(EPA)は、飲料水の新しい健康勧告値を設定した。アマメシバの利用では調理法に注意すべきである。

注目記事

<注目記事>

【EFSA】EFSAのガバナンスの強化:新しい運営理事会始動

 欧州食品安全機関(EFSA)の新しい運営理事会が2022年7月1日より活動を開始した。運営理事会は、全EU加盟国、欧州委員会、欧州議会の代表および市民社会とフードチェーン関係者の代表で構成され、EFSAが効果的・効率的に機能し、設立規則に定められている使命を果たし、欧州や国の機関、関係者、一般人の期待に応えられるようにする。

※ポイント:新しい運営理事会は人数が倍になっただけでなく、メンバーとして市民とフードチェーン関係者、欧州自由貿易連合(EFTA)/欧州経済領域(EEA)が入ったことが注目すべき点だと思います。以前は専門知識をもつ人と欧州委員会の代表で構成されていたとのことですが、2019年に施行された透明性規則によって、EU域内で流通する食品に係わるすべての分野の人が運営に携わるように改編されたようです。

【EPA】EPAはPFAS化合物に新しい飲料水健康勧告値、健康保護強化のための超党派インフラ法での10億ドルの資金提供を発表

 米国環境保護庁(EPA)は、GenXとPFBSについて飲料水の新しい健康勧告値を設定し、PFOAとPFOSについては健康勧告値を引き下げた。

  • PFOA(パーフルオロオクタン酸):0.004ppt
  • PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸):0.02ppt
  • GenX(ヘキサフルオロプロピレンオキシドダイマー酸およびそのアンモニウム塩):10ppt
  • PFBS(パーフルオロブタンスルホン酸およびそのカリウム塩):2,000ppt

※ポイント:昨年にEPAが予告していた飲料水中のPFASの健康勧告値が発表されました。これまではPFOSとPFOAの合計で70ppt(ng/L)としていましたが、改訂された健康勧告値は個々に設定され、引き下げ幅も非常に大きいものとなりました。ただし、これはEPAが健康への有害影響をもたらさない濃度の指標として提示しているもので、連邦規則のような法的強制力はありません。

【SFA】アマメシバ摂取のリスク

 アマメシバ(Cekur Manis、学名Sauropus androgynus)は、東南アジア原産の人気の葉物野菜であり、茹でたり炒めたりしてよく食べられている。しかし、アマメシバを生のまま大量に食べると、閉塞性細気管支炎という永久的な肺疾患になる可能性がある。アマメシバが肺疾患の原因となる正確な理由は科学者らがまだ研究中であるが、現時点の知見では、アマメシバには肺組織の炎症と死を誘発する何らかの化学物質が含まれていると考えられている。その一方で科学者らは、アマメシバは完全に加熱調理すれば安全に摂取できることを発見した。

※ポイント:日本でも生のアマメシバによる有害事象が報告されたことがあり、記憶に残っている方もおられるでしょう。健康志向や特産品の開発などで新しい食材や食べ方を目にすることもありますが、生のアマメシバによる有害事象は、従来と異なる方法で食べることには慎重にならなければいけないという教訓を示していると思います。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.14(2022.07.06)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2022/foodinfo202214c.pdf

今号の目次

【FAO】
1. 世界食料デー2022
2. カーボンニュートラル:ユートピアか新たなグリーンウェーブか?
3. Codex

【EC】
1. 査察報告書
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. EFSA のガバナンスの強化:新しい運営理事会始動
2. EFSA と EU 加盟国の仕組み
3. YouTube 動画
4. 農薬関連
5. 新規食品関連
6. 食品添加物関連
7. 食品接触物質関連
8. 食品酵素関連
9. 遺伝子組換え関連

【FSA】
1. 英国食品基準に関する初の報告書では今後の課題も示す
2. FSA は CBD 製品の公開リストの更新を公表する
3. 研究プロジェクト
4. リコール情報

【FSS】
1. メニューのカロリー情報提供を後押しする理由

【DEFRA】
1. 英国は持続可能な食料生産のための世界的連帯に署名

【BfR】
1. タトゥーインク成分に必要な規格:BfR の専門家議論

【RIVM】
1. Helmond の Volkstuin Delta 割り当て複合区の菜園作物の PFAS のリスク評価

【FSAI】
1. テーブルエッグの生産チェーンで実施された公的管理の監査
2. リコール情報

【FDA】
1. 乳児用調製乳情報更新
2. FDA は安全で栄養価の高い乳児用調製乳の供給と入手の可能性を高める取り組みに関する最新情報を提供する
3. 食品安全規格相互承認協定の対象となる食品に対する FDA の監視
4. FDA は JUUL 製品の販売認可を否認
5. FDA は食用動物における意図的な低リスクのゲノム改変に関するアニマルバイオテクノロジーウェビナーを発表する
6. FDA は JANAAC を FSMA-第三者認証計画の認定機関として認定する
7. FDA は食品プログラムの2022年優先ガイダンスの更新を発表した
8. FDA は5年間の動物用医薬品管理計画の進捗状況を報告し、畜産における抗菌薬の販売、使用、耐性データに関する報告書を発表した
9. FDA は Plug Heist Trap House EST.2017の自家製乳児用調製乳に警告
10. リコール情報
11. 警告文書

【NTP】
1. テクニカルレポート公表

【EPA】
1. EPA は PFAS 化合物に新しい飲料水健康勧告値、健康保護強化のための超党派インフラ法での10億ドルの資金提供を発表
2. EPA は全国受粉媒介者週間に、脆弱な種を農薬から守るのに役立つ予備的プロジェクトとリソースポータルを発表

【USDA】
1. 冬のミツバチはよくある殺虫剤に耐性を示す
2. ミツバチゲノムライブラリーを集める
3. 受粉媒介者についてのバズ
4. 米国のフードシステムを転換する

【FTC】
1. FTC はサプリメント販売者の詐欺的マーケティングを禁止する命令を最終化

【FSANZ】
1. 食品基準通知

【TGA】
1. 広告規約の適用に関するガイダンス
2. 警告文書が求められるAndrographis paniculataを含む指定医薬品
3. 安全性助言

【NSW】
1.2022冬の Foodwise ニュースレター

【香港政府ニュース】
1. CFS は加熱調理済み野菜の保存後の亜硝酸塩含有量の変化に関する研究結果を発表
2. CFS の新たな宣伝カーが稼働する
3. プレスリリース
4. 違反情報

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 食薬処、食医薬データを国民に公開推進
3. 農産物直売場で販売する農産物の収去検査の結果発表
4. 食薬処長、フードテックなど食品産業発展方案を議論
5. 安全で優秀な家庭簡便食供給のためにコミュニケーション強化

【SFA】
1. 将来の食料の途絶に備え、準備と安定性を保つ
2. アマメシバ摂取のリスク
3. ヒジキ中の無機ヒ素
4. フグの輸入要件を改定
5. リコール情報

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・ProMED-mail1件