ヒマワリ油代替原料への対応

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。英国食品基準庁とスコットランド食品基準庁は、ウクライナ紛争の影響でヒマワリ油の供給が逼迫する可能性を受けて、ヒマワリ油の精製菜種油への代替に関するリスク評価を発表した。ドイツ連邦リスクアセスメント研究所は、食用にできる植物と有毒植物の誤認による食中毒について注意を呼び掛けている。

注目記事

【FSA】FSAとFSSは食品供給の混乱を避けるための食品原料の代用について消費者へ助言

 英国食品基準庁(FSA)とスコットランド食品基準庁(FSS)は、ヒマワリ油を含むと表示された食品の一部において、代わりに精製菜種油が含まれている可能性があることを消費者に通知した。英国のヒマワリ油の大半がウクライナ産のため、国内の食品事業者から、ウクライナ紛争の影響でヒマワリ油の供給が数週間でなくなる可能性があるとの報告を受けている。この状況を受け、FSAとFSSは、ヒマワリ油の精製菜種油への代替に関する迅速リスク評価を発表した。

※ポイント:FSA/FSSと同じく、原料の調達が難しくなったことによる食品の組成や製造工程の変更に関連した記事がアイルランド食品安全局(FSAI)やフィンランド食品局でも公表されています。緊急措置として、代替原料を使用した製品については暫定的にラベル表示の規制緩和を行いつつ、代替原料を使うことによる最大のリスク因子として、アレルゲンや不耐症の原因となる成分の含有については必ず表示するよう事業者に注意を呼びかけています。

【BfR】ワイルドガーリック:「ドッペルゲンガー」は中毒をおこすことがある

 ラムソン(Ramsons)としても知られるネギ属のワイルドガーリック(Wild garlic)は、春になると小さな球根から緑色の披針形の双葉を出し、それが料理に使われる。ドイツ連邦リスクアセスメント研究所のAndreas Hensel長官は「スズランやイヌサフランなどの有毒な『ドッペルゲンガー』(見た目がそっくりなもの)がワイルドガーリックとよく間違われる」として注意を呼び掛ける。BfRの知見によると、それらの誤認により毎シーズン中毒が発生し、場合によっては致死的となる。ドイツのほか、オーストリア、スイス、クロアチアなどでも、とくに4月と5月に頻発している。

※ポイント:春になると食用にできる植物と有毒植物の誤認による食中毒の発生が問題になるのは、万国共通のようです。イヌサフランはネギ属の野生植物と間違えやすく、中毒症状が重篤化することも多いのでとくに注意が必要です。日本ではギョウジャニンニクと間違えることが多いので、採る時には1本ずつ確認するようにしましょう。そして、食べられると確実に判断できない植物は、採らない、食べないこと、直売所などで売らないこと、そして知人や親戚にもあげないようにしましょう。

【MFDS】生活中の「有害物質統合リスク評価」の結果発表

 韓国の食品医薬品安全処(MFDS)、食品医薬品安全評価院は、日常生活で人体に影響を及ぼす可能性があるパーフルオロ化合物やホルムアルデヒドなど合計13種の化学物質に対する「統合リスク評価」を実施した。これは、食品だけでなく、化粧品や生活用品などの多様な製品と環境も含めた、実生活のあらゆる経路による暴露量を総合的に評価したものである。その結果、国民の体内総暴露量は有害影響の懸念がないレベルであることを確認した。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.08(2022.04.13)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2022/foodinfo202208c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. 国際がん研究機関(IARC)

【FAO】
1. 細胞ベースの食品と食品安全の検討 専門家募集
2. Codex

【EC】
1. 委員会は世界食料安全保障と EU の農家と消費者支援のために行動する
2. 査察報告書
3. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 食品中の農薬:最新報告書を発表
2. トロパンアルカロイドに関する FAO/WHO 合同専門家会議の結論の評価
3. EU テオシント(ブタモロコシ)の環境リスク評価の結論と EFSA のリスク管理の助言(2016)の更新
4. FoodEx2メンテナンス2021
5. 農薬関連
6. 新規食品関連

【FSA】
1. FSA と FSS は食品供給の混乱を避けるための食品原料の代用について消費者へ助言
2. FSA はオープン環境から回収されるプラスチックの安全性に関するエビデンスを募集する
3. 食品及び飼料用途の9種類の遺伝子組換え生物の申請に関する協議:利害関係者の意見の要約
4. FSA は CBD 市場を規制するための次の段階の措置を講じる
5. 安全性警告
6. リコール情報

【FSS】
1. 牛の鉛中毒を防ぐため、農家に今すぐ行動するよう促す
2. スコットランドに住む家庭の COVID-19が食生活に与える深刻な影響についての声

【DEFRA】
1. 食品中残留農薬:2021年四半期モニタリング結果

【DHSC】
1. 健康格差への取り組みに役立てるため、ビタミン D の新しいレビュー開始
2. 国民の健康増進のために新しいカロリー表示規則が発効

【BfR】
1. 食品と日用品:国民の関心事は?
2. ワイルドガーリック:「ドッペルゲンガー」は中毒をおこすことがある
3. 化学物質安全性が焦点:人々と環境を守るための共同研究
4. 海水魚のシガトキシン:非常に高度な検査戦略が魚中毒を検出可能に

【RIVM】
1. 循環経済と消費者製品安全性。保健福祉スポーツ省での展望開発のための最初の覚え書き

【FSAI】
1. ウクライナとロシアの危機に起因する食品表示の問題に関するガイダンス

【Ruokavirasto】
1. フィンランド食品局はウクライナ戦争時の食品表示を緩和

【FDA】
1. デルタ-8テトラヒドロカンナビノールについて知っておくべき5つのこと
2. FDA は「ヘルシー」シンボルに関する消費者研究の追加手続き通知を発行する
3. シーフード関連毒素とスコンブロトキシン中毒の報告
4. FDA は重要な公衆衛生の強化、中核的な食品及び医療製品の安全プログラムへの追加投資のために84億ドルを求める
5. FDA はある種の遺伝子組換えキャノーラ種子の不注意による低レベル存在について企業に助言
6. FDA はヨーグルトの同定基準を改定
7. 栄養改善による食事関連慢性疾患への対応
8. Leslie Kux 食品安全・応用栄養センター規制政策、栄養及びエンゲージメント担当副センター長による食品医薬品法研究所(FDLI)での発言
9.2022年の行動における FDA のテクノロジーとデータの近代化
10. FDA はダイエタリーサプリメント中の NAC に関する2件の市民請願に回答を発表する
11. リコール情報
12. 警告文書

【USDA】
1. 全国栄養月間に多様な食品と風味を楽しんで
2. 食品中の鉛を低減するための米国 Codex 事務所の仕事

【NIH】
1.2022年ダイエタリーサプリメント研究演習登録開始

【FTC】
1. 連邦裁判所は、禁煙・減量・性機能補助のために使われた違法な戦略を停止する、FTC に有利な判決を下す

【CFIA】
1. カナダ最大の科学に基づく規制当局は食品、植物及び動物の保護に取り組み、25周年を迎える

【FSANZ】
1. 食品基準通知

【TGA】
1. 安全性助言

【NSW】
1. リコール情報

【香港政府ニュース】
1. 法令違反

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 青少年の高カフェイン飲料の摂取を減らすモデル事業
3. 生活中の「有害物質統合リスク評価」の結果発表
4. 食薬処、食品売場の「冷蔵庫ドアの設置」本格施行
5. パキスタン産その他塩に対する輸入者検査命令施行
6. 海鮮蒸し物の中のホヤはシロボヤだったの?
7. ナトリウムを減らす方法! 実践飲食店を利用してください
8. 食品中のヘキサクロロブタジエン(HCBD)安全なレベル
9. フグ、安全に召し上がって下さい
10.「アセタミプリド」が基準を超過して検出された月桂樹の葉の回収措置
11. 高齢者を対象に「関節健康」不当広告する食品など注意して下さい

【FSSAI】
1.2022年3月29日付の2006年食品安全基準法第16条(5)による FSS 規制2022の運用に関する指示
2. FSSAI はコーヒーの表示に関連する違反の監視強化-チコリ混合物製品
3. マスタードオイルを他の食用油と混合することのチェックを厳しくするよう指示

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・ProMED-mail3件