クロルピリホスを食品から排除

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。米国環境保護庁(EPA)は食品に使用されるクロルピリホスのすべてのトレランスを取り下げた。エチレンオキシド(ETO)に関する技術会議にEU加盟国、ノルウェー、スイス、欧州食品安全機関(EFSA)、欧州委員会、EUリファレンスラボが出席した。ドイツ当局はニコチンパウチの健康リスク評価を行った。

注目記事

【EPA】EPAはクロルピリホスを食品から排除し、農場労働者と子供の健康を守るために次の段階へ進む

 米国環境保護庁(EPA)は、2021年8月、食品に使用されるクロルピリホスのすべてのトレランスを取り下げる最終規則を発表した。その後、当該規則への意見を募集したところ、トレランス失効の対象範囲、経済や環境への影響、施行時期などを懸念する反対意見が寄せられた。EPAはそれらを注意深く検討したものの、すべての異議申立てを拒否し、次の段階へと進むことを発表する。

 EPAはクロルピリホス製品の登録者に向けて、食品への使用のトレランス失効を受けて、登録をキャンセルするか、ラベルを改訂して食品への使用に関する表示をなくすという選択肢があることを伝えている。自主的にキャンセルしない場合は、連邦殺虫剤殺菌剤殺鼠剤法のもと、キャンセルのための意向通知(Notice of Intent to Cancel)を発出するつもりである。

※ポイント:米国では、クロルピリホスの食品への使用に関するすべてのトレランスが2022年2月28日に失効しました。EPAは食品以外への使用についても引き続きレビューを行うとしています。トレランス失効に合わせて、米国食品医薬品局(FDA)が管轄する食品の流通政策に関する業界向けガイダンスを発表したので、そちらも紹介しています。

【EC】エチレンオキシド(ETO)に関する技術会議概要

 EU加盟国、ノルウェー、スイス、欧州食品安全機関(EFSA)、欧州委員会、EUリファレンスラボが出席し、さまざまな食品からの検出が問題になっているエチレンオキシドとその代謝物2-クロロエタノール(2CE)への対応について議論した技術会議(2022年1月20日)の概要報告。

※ポイント:2020年のインド産ゴマ種子からの検出がきっかけとなった問題ですが、現在は食品添加物やそれを使用した複合食品、サプリメント、ベビーフード、飼料といった加工製品へと問題が広く拡大したため、各加盟国による管理体制が混乱し、さまざまな課題が生じている様子がうかがえます。これまで2CEの毒性が不確実な点として注目されていましたが、近々、欧州食品安全機関(EFSA)が声明を発表する予定とのことです。

【BfR】ニコチンパウチの健康リスク評価

 ニコチンパウチはニコチンを含む粉末を入れた小さな袋である。使用時は上唇と歯茎の間に最大30分間置かれ、主に口腔内の粘膜上皮からニコチンが吸収される。製造業者によると、ニコチン塩の他に微結晶セルロース、各種塩類(例:炭酸ナトリウムおよび炭酸水素塩)、クエン酸および香料化合物などが混合されているが、タバコは含まれていない。

 ドイツの中毒情報センターにはニコチンパウチの使用が関連するいくつかの中毒事例が報告されている。ドイツ当局は、ニコチンパウチを新規食品として分類している。これら製品による健康への影響の可能性について、ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)が評価結果を公表した。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.05(2022.03.02)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2022/foodinfo202205c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. INFOSAN2021年第4四半期まとめ
2. 半分以上の両親と妊娠女性が強引な乳児用調製乳マーケティングに晒されている

【FAO】
1. 我々の食料供給はリスクに晒されているか?
2. Codex

【APEC】
1. APEC 食品安全リスクコミュニケーションの枠組みとガイドライン

【EC】
1. 新規食品:イエコオロギが EU で食品成分として認可された3番目の昆虫になった
2. 食品ロスと食品廃棄についての EU プラットフォーム:新たな負託(2022-2026)の優先度を決める
3. エチレンオキシド(ETO)に関する技術会議概要
4. 生物保護製品に使用される微生物
5. 査察報告書
6. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【ECHA】
1. EU 全体で泡消火剤の「永遠の化合物」禁止提案

【EFSA】
1. 北マケドニア共和国の全国子供食事調査
2. 多年生作物と一年生作物の土壌の植物保護製品(PPP)の予測環境中濃度(PEC)を算出するソフトウエアツール:バグの修正と更新報告
3. 動物の福祉:「農場から食卓まで」ガイダンスに関するパブリックコメント募集開始
4. YouTube 動画
5. 飼料添加物関連
6. 食品接触物質関連
7. 香料グループ評価

【FSA】
1. ミツバチの巣箱から瓶まで、蜂蜜の真正性の複雑さ
2. 研究プロジェクト
3. 予防的アレルゲン表示-含まれるかもしれないに意見募集
4.3月の FSA 理事会ペーパーが発表される
5. FSA はすべての新規の食品事業者に地方当局への登録を促すキャンペーンを開始する
6. リコール情報

【FSS】
1. 食品業界の「ネット・ゼロ」達成を支援
2. 食生活を少し変えるだけで、健康的な未来につながる

【DEFRA】
1. 食品の組成基準と表示共通枠組み・合意と協定の概要を示す暫定枠組み

【ASA】
1. ゼロアルコール製品の広告
2. ASA 裁定

【BfR】
1. ニコチンパウチの健康リスク評価
2. 食用昆虫の安全性についての研究プロジェクト
3. 妊娠を計画している? -葉酸を忘れずに!
4. ヨウ素、葉酸と妊娠-実践的助言

【RIVM】
1. 食品中の塩、砂糖、飽和脂肪の量の新たな基準
2. オランダ北部成人の2020/2021塩とカリウム摂取:ライフラインコホートの栄養状態モニタリング

【ANSES】
1. 動物用医薬品についての新たな欧州規制で何が変わる?
2. 農薬のパーキンソン病への影響を探るモデルとしてのショウジョウバエ
3. いくつかの職業部門でホルムアルデヒドの代替を勧める

【DGCCRF】
1. エチレンオキシドによるリコール対象品の表更新

【FSAI】
1. リコール情報

【FDA】
1. 米国農務省の学校用食品に関する暫定栄養基準で強調されたFDAのナトリウム削減の取り組み
2. 業界向けガイダンス:クロルピリホスが残留しているヒト用食品品目の流通政策に関する質問と回答
3. LAAF 申請ポータルを開設
4. チアネプチン製品による重篤な障害、過剰摂取、死亡の関連性
5. 農業バイオテクノロジー
6. リコール情報
7. 警告文書

【EPA】
1. EPA は飲料水中の鉛を減らすため2000万ドルの提供を発表
2. 新しい化学物質共同研究計画
3. EPA はクロルピリホスを食品から排除し、農場労働者と子供の健康を守るために次の段階へ進む

【USDA】
1. USDA は学校の再建を支援し、新年度の暫定栄養基準を発表する
2. 脂肪酸と死亡率:ARS の科学者が問題の核心に迫る
3. 花咲くヘンプ:畑と温室から CBD へ

【FTC】
1. FTC は Teami の詐欺的に宣伝されたお茶を購入した消費者に93万ドル以上を返金

【カナダ政府】
1. 有害な化学物質や汚染物質からカナダ国民と環境を守るための保護を強化

【CFIA】
1. リコール情報

【FSANZ】
1. 食品基準ニュース
2. 食品基準通知

【APVMA】
1. モリネート再検討完了

【香港政府ニュース】
1. CFS は肉における二酸化硫黄の使用に関するターゲットサーベイランスの検査結果を発表する
2. ニュースレター
3. 法令違反

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 食薬処、輸入産サネブトナツメの実と種の真偽確認のための企画検査結果
3. 食薬処長、健康脆弱階層(生活習慣病患者、高齢層)対象オーダーメード型メニューと栄養管理政策方向について議論
4. 食品安全国で皆さんの大切な意見を聞きます
5. 食薬処長、ヒト中心の有害物質管理の中長期政策方針について議論
6. すべて同じハイガイ(Tegillarca)ではない! ハイガイ類の簡単な区別法
7. 乾燥した冬季、毛髪・肌健康関連の不当広告に注意してください!

【SFA】
1. リコール情報

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・ProMED-mail2件