大豆バターの大腸菌O157

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.06(2017.03.15)を発表した。

注目記事

【米国食品医薬品局/米国疾病予防管理センター】大豆バター関連のO157

 米国食品医薬品局(US FDA: US Food and Drug Administration)は、米国疾病予防管理センター(US CDC)および州・地域の関係当局と協力し、複数州にわたり発生している志賀毒素産生性大腸菌O157:H7感染アウトブレイクを調査している。

 米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)には、2017年3月3日の初発情報以降、4州から新たに患者計4人が報告された。

 本アウトブレイクでは、2017年3月7日までに、志賀毒素産生性大腸菌(STEC)O157:H7アウトブレイク株の感染患者計16人が9州から報告されている。

 患者の発症日は2017年1月4日~2月21日である。患者の年齢範囲は2~48歳、年齢中央値は10歳である。14人(88%)が18歳未満で、患者の63%が男性である。8人が入院し、5人が溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症したが、死亡者は報告されていない。

 これまでに得られた疫学的エビデンスから、I.M. Healthyブランドの大豆バター製品「SoyNut Butter」が本アウトブレイクの感染源である可能性が高いことが示唆されている。「SoyNut Butter」は原材料にナッツ類を含んでおらず、ピーナツバターの代用とされる製品である。

 患者および患者の家族に対し、患者の発症前1週間の食品喫食歴およびその他の曝露歴に関する聞き取り調査を行った。その結果、聞き取り調査に回答した患者9人のうち5人が自宅でのI.M. Healthyブランドの「SoyNut Butter」の喫食を報告し、残りの4人が同製品または同製品でコーティングされた同ブランドのグラノーラ製品を給食に使用していた保育施設への通園を報告した。この割合(100%)は、過去のアウトブレイク調査でピーナツバター以外のナッツバターやスプレッドの喫食を報告した患者から予想される割合(約6%)をはるかに上回っていた。

 I.M. Healthyブランドの「SoyNut Butter」は大腸菌O157:H7に汚染され、消費者に疾患を引き起こす可能性がある。CDCは消費者に対し、I.M. Healthyブランドの種々のタイプおよびサイズの「SoyNut Butter」製品、および「SoyNut Butter」でコーティングされた同ブランドのグラノーラ製品を喫食しないよう注意喚起している。

 また、保育施設、学校およびその他の公共施設に対しては、これらの製品を提供しないよう呼びかけている。これらの製品は、さまざまなタイプ・サイズのものが小売店やインターネットを通じて全米で販売され、また全米の公共施設に納入された。当該製品の保存可能期間は2年間である。

【米国食品医薬品局/米国疾病予防管理センター】ソフトチーズに関連して発生しているリステリア

 米国食品医薬品局(US FDA)がVulto Creamery社製のソフトチーズに関連して発生しているリステリア感染アウトブレイクを調査中。米国複数州で発生しているリステリア症アウトブレイクに関連して、Vulto Creamery社(ニューヨーク州Walton)はウォッシュタイプ(外皮を洗いながら熟成させる)の生乳ソフトチーズであるOuleout、Miranda、HeinennellieおよびWillowemocチーズのすべてのロットの回収を開始した。

 米国疾病予防管理センター(US CDC)は、複数州の公衆衛生・食品規制当局および米国食品医薬品局(US FDA)と協力し、複数州にわたり発生しているリステリア(Listeria monocytogenes)感染アウトブレイクを調査している。

 関連する州・地域の保健当局は、患者または患者の家族に対し、発症前1カ月間の食品喫食歴およびその他の曝露歴に関する聞き取り調査を実施した。その結果、患者6人全員がソフトチーズの喫食を報告した。フロリダ州に居住する患者は、発症前にニューヨーク州に旅行しソフトチーズを喫食したと報告した。これまでに得られた情報から、少なくとも患者5人が発症前にチーズを購入した店舗でVulto Creamery社製のチーズが販売されていたことが明らかになっている。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.06(2017.03.15)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2017/foodinfo201706m.pdf

今号の目次

【世界保健機関(WHO)】
1. 新規抗生物質が早急に必要な細菌のリストを世界保健機関(WHO)が発表

【汎アメリカ保健機構(PAHO)】
1. コレラの流行に関する更新情報(2017年2月24日)

【米国食品医薬品局(US FDA)】
1. 米国食品医薬品局(US FDA)が大豆バター製品に関連して複数州にわたり発生している大腸菌O157:H7感染アウトブレイクを調査中(初発情報および2017年3月6日付更新情報)
2. 米国食品医薬品局(US FDA)がVulto Creamery社製のソフトチーズに関連して発生しているリステリア感染アウトブレイクを調査中

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. I.M. Healthyブランドの大豆バター製品「SoyNut Butter」に関連して複数州にわたり発生している志賀毒素産生性大腸菌O157:H7感染アウトブレイク(初発情報および2017年3月7日付更新情報)
2. Vulto Creamery社製の生乳ソフトチーズ製品に関連して複数州にわたり発生しているリステリア症アウトブレイク(初発情報)

【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 公衆衛生通知:ブリティッシュ・コロンビア州産の生および加熱不十分のカキの喫食に関連して発生しているノロウイルス感染胃腸疾患アウトブレイク(2017年3月7日付更新情報)

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【ProMed mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報