入門・キャッシュレス決済導入

特別寄稿

中小・小規模店舗によるキャッシュレス手段を使ったポイント還元などを支援するキャッシュレス・消費者還元事業の加盟店登録が5月13日から始まった。この支援には、キャッシュレス端末導入費や決済手数料の一部補助などが盛り込まれており、事業者にとっては設備と費用面でのハードルが下がるだけでなく、消費者還元による集客力アップも見込まれるため、この機会にキャッシュレス決済導入を検討している向きも多いと考えられる。

 だが、ひとくちにキャッシュレス決済と言っても種類が多く、複雑でわかりにくいといった声も聞かれる。そこで、今回は 1.中小・小規模店舗の事業者が知っておきたいキャッシュレス決済の種類と、2.キャッシュレス決済サービスの選び方、3.キャッシュレス・消費者還元事業のあらましについて解説する。

1.キャッシュレス決済の種類

代表的なキャッシュレス決済は4種類

 さまざまな種類があるキャッシュレス決済だが、今回は代表的なものを4つ選び、それぞれの概要と特徴を説明する。

●クレジットカード

 クレジットカードは歴史があり、キャッシュレス決済として真っ先に思い浮かぶ決済手段だろう。今日、店舗では専用端末に差し込んだりスワイプしたりして使う決済手段となっている。

 クレジットカードには多数の種類があるが、主要国際ブランドとされるものは7つあり、ほとんどのクレジットカードにいずれかの国際ブランドが付いている。

主要国際ブランド

VISA、Mastercard、UnionPay(銀聯)、American Express、JCB、Diners Club、Discover

●電子マネー

 電子マネーという言葉の定義はさまざまだが、ここではカードやスマートフォンなどを専用端末にかざして(タッチして)支払いを行う決済手段として説明する。

 日本では非接触型ICカード(FeliCa)を使ったSuicaやPASMOなどが普及しているが、近年はQUICPayやApple Payなどスマートフォンでのタッチ決済も見慣れた光景になってきている。

 これらは、主に鉄道会社が発行する「交通系」と、それ以外の「非交通系」に分けられる。また、使用する金額を予めチャージしておくプリペイド(前払い)式と、クレジットカード等の決済手段と紐付けるなどして後で支払うポストペイ(後払い)式とがある。

主要交通系電子マネー

Suica、PASMO、Kitaca、TOICA、manaca、ICOCA、PiTaPa、SUGOCA、nimoca、はやかけん

主要非交通系電子マネー

iD、QUICPay、楽天Edy、WAON、nanaco

●QRコード

 店頭で表示したQRコードを、お客のスマートフォンやタブレットなどで読み取ることで支払いが完了する決済手段を指す。

 とくに中国や韓国では現金決済よりも一般的な決済手段になっていることから、日本でも訪日外国人旅行者(インバウンド)対策として注目され、対応する店舗が増えている。そして、今後国内でも新たなブランドが参入してくる見込みだ。

主要海外ブランドQRコード決済

Alipay、WeChat Pay、Amazon Pay

主要国内ブランドQRコード決済

楽天ペイ、PayPay、LINE Pay、d払い、Origami Pay、メルペイ

●ポイントプログラム

 顧客に一定の条件でポイントを付与し、顧客がそれを貯めたり、商品・サービスの代金として利用できるもの。ポイントカードとして普及したが、アプリ化される例も増えている。

 ここでは、店舗・チェーンや地域を越えて利用できる共通ポイントを例として挙げる。

共通ポイントの例

Tポイント、Ponta、WAON POINT、nanacoポイント、楽天スーパーポイント、dポイント

2.キャッシュレス決済サービスの選び方

決済サービス導入は手間とレジ周りのスペースで考える

複数のキャッシュレス決済を個別に契約するとレジ周りが端末だらけに。
複数のキャッシュレス決済を個別に契約するとレジ周りが端末だらけに。

 キャッシュレス決済について、主要な4種類について見ただけでもサービス/ブランドが非常に多いことがわかる。「複雑でわかりにくい」と言われるのももっともだ。

 しかし、その複雑さを回避し、店舗運営上もメリットの多い方法として、「複数の決済サービスをまとめて導入する方法」があることを説明し、とくに中小・小規模店舗にはその方法をおすすめしたい。

 その前に、もしも、これまでに述べたキャッシュレス決済サービス/ブランドを「一つずつ契約して導入する」場合はどうなるだろうか。利用する決済サービス/ブランドを限定して、選んだもののみを導入したいと考える場合はこの方法になるが、まず、一つひとつのサービス/ブランドについて、その都度申し込みや契約が必要になり、手間がかかる。

 しかも、サービス/ブランドごとに専用端末が必要になるため、対応する決済サービスが多くなればなるほど、レジ周りに端末が複数並び、スペースを圧迫し、見た目も雑然としてしまうことになる。これは中小・小規模店舗にとって無視できないことだ。

 これに対して、「複数の決済サービスをまとめて導入する」という手があるのだ。前段で述べたような多くの決済サービス/ブランドに対応したモバイル決済と呼ばれる決済サービスがあり、その一つを導入すれば、さまざまな決済サービス/ブランドを一気にまとめて導入することになる。これであれば手間は少なく、レジ周りが複数の決済端末であふれるということもない。

 中小・小規模店舗がこれからキャッシュレス決済を導入するのであれば、ぜひこの方法を検討していただきたい。

複数の決済サービスにまとめて対応することができるツール(モバイル決済)の例

Airペイ、楽天ペイ(実店舗決済)、Square、Coiney

各種のカードとスマホに対応するモバイル決済のカードリーダーの例(Airペイ)
各種のカードとスマホに対応するモバイル決済のカードリーダーの例(Airペイ)

 この種のサービスを理解していただくために、ここでは弊社で展開しているAirペイを例に説明する。

 Airペイは、iPadまたはiPhoneと専用カードリーダー1台で決済ができるサービスだ。専用カードリーダーは弊社からお届けするもので、磁気、ICチップ、非接触ICカードに対応している。つまり、お客が決済手段として使うものが各種のカード類でもスマホでも、物理的にはこれだけのもので対応できるので、まずレジ周りの省スペース化を図ることができる。

 対応している決済サービス/ブランドも、クレジットカード主要国際ブランド6種(VISA、Mastercard、American Express、JCB、Diners Club、Discover)、Suica、PASMOをはじめとする交通系電子マネー9種、Apple Payなどを網羅している。

 また、オプションとしてQRコード決済と共通ポイントサービスにも対応している。前者はAirペイ QRで、非常に普及している中国のQRコード決済の支付宝(アリペイ)、WeChat Payや、国内サービスのLINE Pay、d払い、PayPay(※)に対応。後者はAirペイ ポイントで、Tポイント、Ponta、WAON POINTといった3種類の共通ポイントサービスに対応している。

 これら対応決済サービス/ブランドは全部で26種類となる。今後もあらゆる決済サービスにAirペイ一つで対応できるよう推進していく計画だ。

 なお、導入初期費用や月額固定費といった設定はない。決済手数料はそれぞれの決済サービス/ブランドごとに率を設定しているが、キャッシュレス・消費者還元事業の加盟店に登録した場合はそれよりも低い率が適用される(次段参照)。

※2019年5月下旬対応予定。

【参考】Airペイ(エアペイ)|カード・電マネ・QR・ポイントも使えるお店の決済サービス
https://airregi.jp/payment/

Airペイで全26種類の決済手段に対応する。
Airペイで全26種類の決済手段に対応する。

3.キャッシュレス・消費者還元事業のあらまし

中小・小規模店舗に3つのメリット

 さて、このほど加盟店登録が始まったキャッシュレス決済・消費者還元事業とはどのようなものだろうか。

 この事業は、2019年10月1日に予定されている消費税率引き上げ後の一定期間(2019年10月~2020年6月末までの9カ月間)に限り、中小・小規模店舗によるキャッシュレス手段を使ったポイント還元などを支援する事業だ。消費税率引き上げに伴う需要平準化対策として実施されるものだが、キャッシュレス対応による生産性向上や消費者の利便性向上を促進する意味合いもある。

 支援は導入費用の補助、決済手数料の固定と補助、消費者へのポイント還元という形で実施される。中小・小規模店舗にとっては、これらによって以下のようなメリットがある。

キャッシュレス・消費者還元事業で加盟店登録した場合の3つのメリット

端末導入の負担なし

キャッシュレス対応に必要なカードリーダーなどの端末導入や設置費用に対し、国が2/3を補助し、店舗向けキャッシュレス支援事業者が1/3を補助する。このため、店舗側に導入コストはかからない。

決済手数料3.25%以下

中小・小規模店舗が負担する決済手数料が3.25%以下になる。さらに、消費税率引き上げ後の一定期間(2019年10月~2020年6月末までの9か月間)は、国がその1/3を補助する。したがって、当該期間中は決済手数料が実質2.17%以下となる。

消費者還元で集客アップ

加盟店登録済みの中小・小規模店舗でキャッシュレス決済を利用した消費者には、決済金額の5%分のポイントが還元される。このため、消費者の店選びの一つのきっかけになり得る。

 中小・小規模店舗(※)がこれら3つのメリットを店舗が享受するために必要なことは、ただ一つ、キャッシュレス・消費者還元事業に登録するだけだ。それも、登録決済事業者が代行申請するので、登録決済事業者に連絡を取るだけでよいということになる。

 加盟店として登録されれば、決済手数料の計算や消費者に還元するポイントの計算などはキャッシュレス加盟店支援事業者が行うため、キャッシュレス決済を導入しても、店舗側の事務的な業務が増える心配はない。

※原則として、業種ごとに定められた資本金の額や従業員数の要件に該当する事業者が対象となる。

【参考】キャッシュレス消費者還元事業公式ページ(経済産業省/キャッシュレス推進協議会)
https://cashless.go.jp/

Airペイの取り組み

 最後に、Airペイのキャッシュレス・消費者還元事業に関する取り組みを紹介させていただく。

 Airペイを展開する弊社リクルートライフスタイルもキャッシュレス・消費者還元事業の登録決済事業者に登録されており、上記3つのメリットに対応しているが、さらに、端末導入と決済手数料について以下の補助内容を発表している。

●機器導入補助

 Airペイに必要な機器として、iPad+専用カードリーダーが0円となる「キャッシュレス0円キャンペーン」(https://airregi.jp/payment/campaign/cashback/201704/)を実施している(希望の場合にiPadを0円で貸与。通常は、iPadまたはiPhoneを店側で用意してもらっている)。

●決済手数料補助

 2019年10月~2020年6月末までのポイント還元期間中は、手数料の1/3を国が補助するため、いずれの決済サービス/ブランドでも実質2.16%で提供を予定している。

About 林裕大 1 Article
株式会社リクルートライフスタイル ネットビジネス本部Air事業ユニット ユニット長兼Airシリーズ統括プロデユーサー はやし・ゆうだい 1983年生まれ。大学卒業後2006年に株式会社リクルート入社。「ホットペッパーグルメ」の営業として中小・小規模店舗から大手飲食チェーンまで幅広く担当したのち、2011年4月よりネットビジネス本部。新規事業の立ち上げ、UX(ユーザーエクスペリエンス)や商品企画グループのマネージャーを経て、2018年10月より現職。