欧州食品安全機関のリスコミ

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.15(2012.07.25)を発表した。EFSAは欧州人の食事由来の鉛暴露の推定値を発表した。また、食品安全システム上のリスクコミュニケーションを強化するための実用的ガイドラインを発表した。FSAは英国の“食品衛生格付け方式(FHRS)等の取り組みを加速。店舗の衛生状態を格付けし、店頭表示を推奨している。

注目記事

【EFSA】欧州人における食事由来の鉛暴露

 欧州では、ヒトでの鉛の主要な暴露源は食事である。過去9年間に採集した食品中の鉛含量データ144,206件について検討した。半分以上の食品の鉛含量は、検出限界または定量限界以下であった。欧州人の生涯食事暴露量の平均は1日あたり0.68μg/kg体重と推定された。

 暴露量が最も多いのは幼児の1.32μg/kg体重/日、他の子どもの1.03μg/kg体重/日であった。一方、乳児は0.83~0.91μg/kg体重/日、成人は0.50μg/kg体重/日であった。鉛暴露にとって重要な食品群は、パン及びロールパン(6.2%)、茶(6.2%)、水道水(6.1%)、ジャガイモ及びジャガイモ製品(4.9%)、発酵乳製品(4.2%)、ビール及びビール様飲料(4.1%)であった。

※ポイント:食品安全委員会、化学物質・汚染物質専門調査会の鉛ワーキンググループがまとめた「(案)汚染物質評価書 鉛」によると、わが国におけるトータルダイエットスタディに基づいた2008年の食事由来の暴露量は30.6μg/日と報告されています。これは、成人体重53.3kgで除すと0.57μg/kg体重/日となります。また、食品群の寄与率については、米類27.2%、嗜好品(酒類、茶、コーヒー、その他嗜好飲料)13.1%、野菜・海草類11.6%、乳・乳製品9.0%、雑穀・芋6.3%、肉・卵5.9%及び有色野菜5.7%であり、米の寄与が大きいのは米の中の濃度というよりも摂取量の多さに起因するとのことです。

【EFSA】リスクコミュニケーションガイドラインを発表

 欧州の食品安全システム上のリスクコミュニケーションを強化するために、すべての加盟国が学んだことや経験を共有したいという望み、また実用的ガイドラインが必要だという認識の結果として、リスクコミュニケーションに関するガイドラインが完成した。

※ポイント:リスクコミュニケーションで最も重要なことは、相互的であるということです。ディスカッションに慣れていない日本人には簡単ではないかもしれませんが、このガイドラインでも強調されているように、行政決定や評価結果を一方的に説明したり聞いたりするだけではなく、それらを決定する過程でも互いに知識や意見を出し合って理解を深めていくという姿勢が求められています。

【FSA】2011/2012年次報告書及び会計を発表

 FSA(英国食品基準庁)は2011/2012年次報告書及び会計を発表した。FSAはイングランド、ウェールズ及び北アイルランドにおける“食品衛生格付け方式(FHRS:Food Hygiene Rating Scheme)”及びスコットランドでの“食品衛生情報プログラム(FHIS:Food Hygiene Information Scheme)”の取り組みを急速に進めている。

※ポイント:FHRSとは、食品の販売店や飲食店の衛生状態を0~5の6段階(5が最も良い)で格付けするという取り組みです。FHRSの結果は、店頭に貼ることが推奨されています。オリンピック開催のため渡英される方も多いことでしょう。FHRSの格付けをお店を選ぶ際の1つの参考にするのもよいかもしれません。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(化学物質)No.15(2012.07.25)
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2012/foodinfo201215c.pdf

今号の目次

【EC】
1. フードチェーン及び動物衛生に関する常任委員会(2012年5月29日、7月11日開催)
2. 食品獣医局(FVO)視察報告書:ナミビア、ブラジル、ギリシャ
3. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 欧州人における食事由来の鉛暴露
2. 2011年のEFSA:質の高い科学、中核戦略開発、危機対応
3. FSA及び加盟国はリスクコミュニケーションガイドラインを発表
4. ダイオキシン及びPCBの報告は食事からの暴露が過去10年で減少したことを示す
5. 食品と飼料中のバッカク(麦角)アルカロイドについての科学的意見
6. 燻製香料一次製品の安全性に関する科学的意見-2012更新
7. 香料グループ評価
8. 健康強調表示関連
9. 新規食品成分関連
10. 飼料添加物関連

【FSA】
1. 科学的データと資金を共有する枠組み
2. 多動と関連する色素を含まない製品更新
3. アレルゲン助言表示調査
4. 2011/2012年次報告書及び会計を発表
5. 食品業者向けライブTweetChat
6. データ公開はパンドラの箱?(FSA主任科学者のコメント)

【MHRA】
1. MHRAは関節炎患者に対し認可されていない関節炎治療薬の購入について警告

【HSE】
1. 食品や飼料中に塩化ジデシルジメチルアンモニウム(DDAC)が存在することについてのEUガイドライン採択

【BfR】
1. 食品中残留塩化ジデシルジメチルアンモニウム(DDAC)の健康評価

【FSAI】
1. FSAIは新しい食品情報規制についての小冊子を発行

【FDA】
1. 警告文書(2012年7月10日公表分)
2. FDAはNYの会社のダイエタリーサプリメントの製造・販売の禁止を要請

【NTP】
1. スチレンアクリロニトリルトリマーのF344ラット周産期と出生後の混餌投与試験

【USDA】
1. USDAは遺伝子組換え甜菜の規制解除を発表

【FSANZ】
1. 食品基準改正

【APVMA】
1. トリフルラリンのバッチ回収:APVMAの調査は継続

【香港政府ニュース】
1. 水の安全性基準強化
2. 中国経口用製品に警告

【KFDA】
1. 韓国の成人の半分以上が、健康機能食品の購入を経験

【HSA】
1. HSAは重大な有害反応を引き起こす違法及び異物混入されたカプセルについて警告
3

【FSSAI】
1. チェンナイでの汚染ピクルスの販売に関する助言

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(EurekAlert)C型肝炎治療に使われるハーブレメディに効果はないことが証明された
・(ProMED-mail)神経毒中毒、巻貝 中国 警告