新しいリスク評価の考え方へ

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.10(2013.05.15)を発表した。

注目記事

【EC】リスク評価の新しい課題に対応する

 SCHER(健康および環境リスクに関する科学委員会)、SCENIHR(新興および新規健康リスクに関する科学委員会)およびSCCS(消費者の安全性に関する科学委員会)が、化学物質(食品以外)のリスク評価に関する将来の課題をまとめた報告書を発表した。

※ポイント:これは、食品安全情報2012年22号で紹介した報告書案の最終版です。報告書でとくに指摘されているのは、これまでのハザードベースの考え方から、作用機序も踏まえた暴露ベースの考え方へ移行することが必要だという点です。これまでは、一定の毒性試験を実施し、その中で見られた(有害)影響をエンドポイントとしてリスクを評価していました。その際、臓器重量や血液生化学検査等でも投与群で有意差があればそれを「有害影響」とみなして安全係数を考慮するという手法を用いていましたが、それが実際にヒトにとって妥当なエンドポイントなのかについては、保守的に考えるという形にして詳細には議論されてきませんでした。それを、今後は、現実的なヒト暴露状況でヒトに起こる可能性のある有害影響を同定する方向で、リスク評価を実施していきましょうというものです。

【FDA】FDAは意図的食品汚染予防のための新しいツールを発表

 米国食品医薬品局(FDA)は、テロおよび偽造等の意図的行為による食品汚染に対する防御対策の一環として、食品施設の所有者および運営者が食品防御計画を作成する際に役立つソフトウェア「Food Defense Plan Builder」を発表した。

※ポイント:米国はテロ対策の一環として食品安全(food safety)の他に、食品防御(food defense)という取り組みが行われています。FDAは食品業界に対し、強制ではありませんが、食品安全対策だけでなく意図的混入に関する食品防御対策の実施も推奨しています。発表されたソフトウェアはダウンロードしなければならないのですが、国内だけでなく国際的にも利用できると述べているので、気になる方は参考にしてみるのもよいかもしれません。

※発表内容
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm352093.htm

※Food Defense Plan Builder ダウンロードページ
http://www.fda.gov/Food/FoodDefense/ToolsEducationalMaterials/ucm349888.htm

【MFDS】食品医薬品安全処、政府の中長期5カ年計画を発表

 韓国・食品医薬品安全処は、食品安全強国の実現のために「汎政府中長期5ヶ年計画」を発表し、5月8日に「汎政府不良食品根絶推進団」を本格稼動すると発表した。

※ポイント:韓国では食品安全担当省庁の編制が行われるとともに、食品安全を強化するための5ヶ年計画が発表されました。内容を見ると、生産から消費までのフードチェーンアプローチを取り入れて、食品検査をするだけでなく、リスクの根本的な原因を特定し、それを改善していくという方針を立てたようです。その一環として、警察との業務提携を発表し、食品安全担当省庁だけでなく警察も一緒に取り組むようです。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(化学物質)No.10(2013.05.15)
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2013/foodinfo201310c.pdf

今号の目次

【FAO】
1. 特別な国連会議が世界の化学物質安全性強化のための歴史的一歩を踏み出す

【EC】
1. リスク評価の新しい課題に対応する
2. 安全な食品のためのより賢い規則
3. 食品獣医局(FVO)査察報告書:韓国、メキシコ、ドイツ、イタリア等
4. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. フェノールの毒性学的評価に関する科学的意見
2. 食品添加物としてのステアロイル乳酸ナトリウム(E 481)及びステアロイル乳酸カルシウム(E 482)の再評価に関する理由付き意見
3. 飼料用添加物関連
4. アスパルテームに関する意見の公表は2013年11月までに変更

【DH】
1. トランス脂肪酸に特に関連した一連の加工食品の栄養分析 要約報告書

【ASA】
1. ASA裁定

【BfR】
1. 可塑剤DEHPは主に食品から摂取される

【RIVM】
1. In vivo小核試験から化学物質の発がん性の強さを推定する
2. オランダの優先順位の高い化学物質政策枠組みにREACHのリスク限度を使うことの妥当性:品質基準設定ロードマップ

【FDA】
1. 消費者向け情報:FDAは添加されたカフェインについて検討する
2. FDAは意図的食品汚染予防のための新しいツールを発表
3. 公示
4. 警告文書(2013年4月30日、5月7日公表分)

【NTP】
1. カビ

【CDC】
1. 子どものアレルギーの傾向:米国1997~2011年

【USDA】
1. USDA とEPAがミツバチの健康についての新しい報告書を発表
2. 動植物衛生検査局(APHIS):マレーシアからのジャックフルーツ、パイナップル、スターフルーツの輸入
3. USDAは遺伝子組換え植物の規制解除のためのレビューに向けて環境影響声明を準備する意向を発表

【NIH】
1. ODS:消費者向けダイエタリーサプリメントファクトシート:葉酸

【CFIA】
1. 企業への通知:肥料規制改正により安全性に集中
2. 地元産食品表示

【FSANZ】
1. 食物アレルゲンポータル

【TGA】
1. 警告

【香港政府ニュース】
1. 8食品が安全性検査に不合格
3
2. 水銀汚染錠剤リコール
3. 女性が紙の護符で病気に

【MFDS】
1. 食品医薬品安全処、政府の中長期5カ年計画を発表
2. 食品医薬品安全処と警察庁間の業務提携の契約締結
3. 「鎮痛剤成分」配合、輸入健康機能食品の販売業者摘発
4. ベンゾピレン超過検出「ごま油」製品回収措置
5. 「ハヌルガエ、国産農産物チャルギジャン米」アフラトキシン(Aflatoxin)超過検出で流通・販売禁止及び回収措置

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(NRC)連邦機関は農薬が絶滅危惧種に与える影響を評価するのに通常のアプローチを用いるべきである
・(EurekAlert)北大西洋の海藻は食べても安全
・(EurekAlert)シナモンとシナモンベースの製品のクマリンについての研究