トランス脂肪酸排除状況を証明

No.03(2024.02.07)

油脂(イメージ)

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。WHOは工業的に生産されるトランス脂肪酸の排除の達成状況を証明する証明書をデンマーク、リトアニア、ポーランド、サウジアラビア、タイの5カ国に授与した。FAOはFAOSTATポータルに新たに「食料と食事」というドメインを作成した。欧州食品安全機関は新規タンパク質に関する利害関係者向けの簡易調査を開始した。

注目記事

【WHO】工業的に生産されるトランス脂肪の排除が進んだ国を初めて表彰

 世界保健機関(WHO)は、工業的に生産されるトランス脂肪酸(iTFA)の排除の達成状況を証明する初めての証明書を5カ国に授与した。デンマーク、リトアニア、ポーランド、サウジアラビア、タイはそれぞれ、適切なモニタリングと執行システムに支えられたiTFA排除のためのベストプラクティス政策が発効していることを示した。WHOが提示しているベストプラクティス政策の2つの選択肢は次の通りである。
1)すべての食品中の総脂肪100gあたりのiTFAを2g未満とする義務的な国内基準を策定する、
2)すべての食品の成分としての部分水素添加油の生産や使用を全国で禁止する。

※ポイント:WHOは第13次総合事業計画2019-2023年において、食品に含まれるiTFAを2023年までに世界的にすべて排除するという目標を掲げています。各国のiTFA排除の取組はこの5年間でかなり進みましたが、その取組をより加速させるためにWHOが取組の進捗を検証する基準を作成し、独立した専門家からなるトランス脂肪排除技術助言グループがそれらの基準を達成していると認めた国に証明書を発行しています。

【FAO】FAOは食料と食事の統計の新しいポータルを発表

 国連食糧農業機関(FAO)は、FAOSTATポータルに新たに「食料と食事」というドメインを作成した。新ドメインは、散在しているさまざまな食事データを統合して、食料と栄養素の入手可能性、家計消費支出調査データに基づく見かけ上の摂取量、定量的な個人食事調査データに基づく食事由来の摂取量に関する統計データを提供する。

※ポイント:FAOSTATは、FAOがデータを収集し管理している食料、農業、漁業、林業、自然資源管理、栄養に関するオンラインの総合統計データベースで、1961年から近年までの245以上の国または地域に関するデータが集約されています。今回追加されたドメインの他に、生産量、人口、貿易、価格、SDG指標などさまざまな領域に関するデータが収載されており、国別のデータなども調べることができます。新しいドメインは、すべての人に健康的な食生活をというFAOの目標達成にあたり、根拠に基づいた効果的な政策を支える食料と栄養に関する利用可能なデータおよび統計が不十分である、との認識がきっかけだったようです。

【EFSA】新規タンパク質の生産工程:我々の調査に参加しよう!

 欧州食品安全機関(EFSA)は、食品と飼料に用いられる可能性のある新規タンパク質の新素材や生産工程、加工による影響等に関する、専門的な利害関係者向けの簡易調査を開始した。

※ポイント:本調査はGMOおよび新規新規食品のリスク評価に役立てることを目的にEFSAが出資したプロジェクトの一環です。専門的な調査をEFSAのウェブサイト上で公開で実施している点が興味深かったので注目記事に取り上げてみました。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.03(2024.02.07)
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2024/foodinfo202403c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. WHO、工業的に生産されるトランス脂肪の排除が進んだ国を初めて表彰

【FAO】
1. FAO は食料と食事の統計の新しいポータルを発表
2. Codex

【EC】
1. EU 食品ロスと廃棄予防ハブ(月刊ニュースレター)
2. 査察報告書

【EFSA】
1. 食品中のポリ臭化ジフェニルエーテル類(PBDEs)のリスク評価の更新
2. 新しいタンパク質の生産工程―我々の調査に参加しよう!
3. EU メニューガイダンス更新のための助言:ERA の EU メニュープロジェクトの結果
4. ベイジアンベンチマーク用量モデリングのウェブアプリ
5. クロアチアの10歳から99歳までの青年と成人の全国食品摂取調査
6. リスク分析におけるコミュニケーションの強化(ENCOMRAN):最終報告書
7. EFSA の化学物質ハザードの維持、更新及び更なる発展:OpenFoodTox2.0
8. 化学物質モニタリング報告ガイダンス:2024年データ収集
9. 食品酵素関連
10. 新規食品関連
11. 遺伝子組換え関連
12. 農薬関連
13. 飼料添加物関連

【FSA】
1.2023年12月消費者調査(Consumer Insights Tracker)
2. 研究プロジェクト:食肉分野における規制相違の可能性に対する消費者の見解
3. 英国内の食品安全規則の相違の可能性に対する消費者の見解
4. リコール情報

【FSS】
1. 食品事業者に対するスラッシュアイス飲料販売のガイダンスに関する注意
2. FSS はスコットランドの子供と若者の食習慣を理解するために、家庭にオンライン調査に回答するよう呼びかける

【DEFRA】
1. PRiF年次報告書

【COT】
1.2024年2月6日の会合

【FSAI】
1.2024年1月より英国輸入規制が変更される

【BfR】
1. 子供向けフードサプリメント – 良い考えではない?!

【FDA】
1. Web キャスト:よりスマートな食品安全の新時代における文化のコラボレーション
2. FDA とクラトム
3. 高濃度の鉛及びクロムの調査:シナモンアップルソースパウチ(2023年11月)
4. シーフード安全性更新
5. FDA 技術が可能にするトレーサビリティのビデオシリーズを開始する
6. 有毒なキバナキョウチクトウで代用された特定のサプリメントについて警告を発した
7. 事業者向けガイダンス案:ヒト用食品のハザード分析とリスクに基づいた予防的管理8. FDA は作成中の規則をリストにし、食品プログラムの優先ガイダンストピックを更新する
9. 毒性学研究
10. FDA は、重篤なリスクがあるため Neptune’s Fix やあらゆるチアネプチン製品を購入・使用しないよう消費者に警告
11. 消費者向け情報
12. 警告文書
13. 公示

【EPA】
1. Biden-Harris 政権は地域を PFAS 等の懸念となる新興化合物から守るために新たなステップを発表

【CDC】
1. シナモンアップルソースパウチ製品に関連した鉛中毒の発生

【USDA】
1. APHIS は規制状態レビュー回答を発表

【CFIA】
1. 食品輸入業者:カナダのための安全な食品ライセンスが必要である
2. リコール情報

【FSANZ】
1. 食品基準通知

【TGA】
1. 安全性助言
2. リコール情報

【NSW】
1. Port Macquarie 小売フードサービスセッションの登録
2. リコール情報

【MPI】
1. 公衆衛生警告:公衆衛生上の警告:北島東海岸の貝類バイオトキシンに関する警報は解除されたが、ロブスターに関する警告は継続されている

【NZMH】
1. Medsafe は虚偽の「奇跡の治療薬」販売者の起訴に成功

【香港政府ニュース】
1. ニュースレター
2. 食品中のメトキシクロル
3. グラヤノトキシン中毒に注意
4. 違反情報

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 紅参、ビタミンなどの健康機能食品を個人間で再販売する道を開く
3.2024年健康機能食品の再評価原料として大豆イソフラボンなど9種を選定
4. 残留農薬が基準超過で検出された輸入「マンゴー」の回収措置
5. 食品栄養成分データベース約2万5千件を追加提供
6. 韓国産ラーメンの欧州への輸出額、前年比約72%増加
7. バナバ葉抽出物など健康機能食品の機能性原料9種「摂取時の注意事項」を追加
8. オンライン自律管理モデル事業を実施、計17,270件の虚偽・誇大広告などを改善

【SFA】
1. 食料安全保障の強化におけるそのまま喫食可能な食事とその可能性に関するファクトシート
2. 発泡スチレン容器を安全に使用する
3. リコール情報

【FSSAI】
1. CEO, FSSAI はアッサムのお茶栽培者とお茶生産の安全性と品質を確保することについて議論した

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・ProMED-mail1件