部分水素添加油脂で最終規則

No.17(2023.08.16)

ショートニング(イメージ)

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。米国食品医薬品局(FDA)は食品への部分水素添加油(PHO)の使用はもはや一般的に安全と認められるもの(GRAS)ではないとする直接最終規則を発行した。重要な反対意見がなければ2023年12月22日に発効する予定である。ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)はPFASに関するQ&Aを更新した。

注目記事

【FDA】FDAは食品中の部分水素添加油に関する最終行政措置を完了する

 米国食品医薬品局(FDA)は、トランス脂肪削減対策の一環として2015年に発表した、食品への部分水素添加油(PHO)の使用はもはや一般的に安全と認められるもの(GRAS)ではないとする最終決定に関連する行政措置を完了するため、直接最終規則を発行した。同官報には付随する提案規則も発表した。FDAは、直接最終規則と提案規則について2023年10月23日まで意見を募集し、この間に直接最終規則について重要な反対意見がなければ2023年12月22日に発効する予定である。

※ポイント:GRAS制度は、1958年の食品添加物に関する法律の改定により導入されました。導入当初は、目的の物質がGRASに該当するのかをFDAが評価して認証していました(GRAS Affirmation)。その後、1997年4月17日に制度が変更されて、事業者が自らGRASであることを評価してFDAに通知し(GRAS notification)、通知された内容にFDAが異議を申し立てなければGRAS Notice Inventoryに収載されるという現在の形式になりました。

 今回のFDAの対応は2015年の最終決定の際に個別対応が必要だとして残されていた案件で、PHOの使用が、1958年以前に認められていたもの、GRASとしてFDAが過去に認証していたもの、個別の食品規格の任意成分として規定されていたものについて規則を廃止することが目的です。

 通常の規則制定では、FDAが提案規則を発表して意見を募集した上で最終規則にするという手続きが取られます。しかし、今回の場合はPHOに関する最終決定の遵守日も過ぎてメーカーの対応も済んでおり、特段の重要な反対意見はないだろうと予想されるため通常の手続きを踏まずに直接最終規則として発表されました。意見募集の期間中に重要な反対意見が寄せられた場合には、同時に発表した提案規則をもとに改めて通常の手続きを進めるとのことです。

【別添 BfR】ずっととどまる:食品や環境中のパーおよびポリフルオロアルキル化合物

 ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)が、パーおよびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)に関するQ&Aを更新した。PFASに関する基礎情報やドイツ国内の状況とともに、欧州食品安全機関(EFSA)が2020年に発表した評価結果、欧州化学品庁(ECHA)の最近の動向を踏まえたEUの規制状況などを紹介している。

【開催案内】令和5年度国立医薬品食品衛生研究所シンポジウム

「食品の安全を守るレギュラトリーサイエンス研究」

日時:令和5年8月23日(水)13:30〜16:30

形式:オンライン開催(Webex Meeting)要登録

HP:http://www.nihs.go.jp/oshirasejoho/symposium/index.html

ポスター:http://www.nihs.go.jp/oshirasejoho/symposium/R5/poster.pdf#zoom=100

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.17(2023.08.16)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2023/foodinfo202317c.pdf
食品安全情報(化学物質)No.17(2023.08.16)別添
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2023/foodinfo202317ca.pdf

今号の目次

【WHO】
1. ヨウ素状態評価のための指標の更新計画についてパブリックコメント募集
2. 医薬品警告:N°6/2023:質の悪い(汚染)シロップ薬

【FAO】
1. Codex

【EC】
1. 査察報告書
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 食品に関連する健康のリスクとベネフィットのコミュニケーション:システマティックレビュー(2018‐2022)
2. EFSA 内のアプリケーションのトピックモデリングとテキスト分類モデル
3. EFSA-EU-ANSA 危機準備訓練
4. カルシジオール一水和物の変換係数の導出を含む、ビタミン D の耐容上限摂取量に関する科学的意見
5. AI Vertical の使用例の実践―シナリオ1
6. 食品添加物関連
7. 食品酵素関連
8. 食品接触物質関連
9. 農薬関連
10. 飼料添加物関連

【FSA】
1. FSA 議長のニューデリーでの世界食品規制サミットでのスピーチ
2. FSA の主要調査は食料不足が増大し続けていることを示している

【FSS】
1. 食品犯罪から企業を守る新しいオンラインツールを発表する

【MHRA】
1. 入院が増加したためアナフィラキシー緊急ガイドを強化

【FSAI】
1. 二酸化硫黄-亜硫酸塩(E220-228)に関する欧州委員会のステークホルダー協議

【BfR】
1. 新たな EFSA リスク評価:食品中の一部のミネラルオイル残留物は健康上の懸念が残る

【FDA】
1. 食料生産動物用の抗菌剤使用に関するデータ収集と分析の枠組みについてパブリックコメントを募集する
2. FDA 規制製品のリコールを近代化するための公開会議を発表する
3. FDA は食品中の部分水素添加油に関する最終行政措置を完了する
4. 警告文書

【EPA】
1. NASEM が IRIS ホルムアルデヒド評価案のピアレビュー報告を発表した

【NIH】
1. スクープ-2023年夏-うわさとは? ビタミンミネラルに関するよくある誤解について

【CFIA】
1. マメ製品及び植物油中の農薬及び金属(2019年4月1日から2020年3月31日)
2. 食品安全警告
3. リコール情報

【FSANZ】
1. 食品基準通知

【MPI】
1. 本日よりアルコール飲料に対する妊娠警告が義務付けられる
2. 登録食品輸入業者のための新食品安全規則
3. リコール情報

【香港政府ニュース】
1. ニュースレター:グルタミン酸塩、ギンナン中毒
2. 違反情報

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 食薬処-韓国消費者院、国内ヘンプシードオイル(大麻種子油)の安全実態点検の結果発表
3. 健康機能食品の安全は強化され、摂取の利便性は改善されます
4. 麻薬のない健康的な社会! 厳しい輸入食品検査体系!
5. 回収措置

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・ProMED-mail1件
・Eurekalert1件

別添

【BfR】ずっととどまる:食品や環境中のパー及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS)