WHOが食品規格で呼びかけ

No.14(2023.07.05)

(イメージ)

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。世界食品安全デー2023は、「食品規格がいのちを救う」(Food standards save lives)をテーマに、食品の規格がどのように食品の安全性を確保するかについて注目した。WHOは、政策決定者、食品事業者、教育関係者、消費者それぞれに向けて行動の呼びかけを行った。

注目記事

【WHO】2023年世界食品安全デー「食品規格がいのちを救う」

 世界保健機関・西太平洋地域事務局(WHO WPRO: World Health Organization Regional Office for the Western Pacific)発。

 2023年6月7日の世界食品安全デーは、「食品規格がいのちを救う」(Food standards save lives)をテーマに、食品の規格がどのように食品の安全性を確保するかについて注目した。

 世界では毎年10人に1人が食品由来疾患に罹患している。西太平洋地域においては、安全でない食品によって年間1億2,500万人以上が健康被害を受け、5万人以上が死亡している。食品由来疾患患者のうち4,000万人が5歳未満の小児と推定されている。食品由来疾患による死亡は防ぐことができるものである。

 食品規格は、食品の安全性と品質を確保するための手段である。食品規格により、食品の衛生的な取り扱いについて農業従事者や食品製造・加工業者向けの指針が示されている。これらは、添加物、汚染物質、残留農薬および動物用医薬品について、誰もが安全に摂取可能な最大基準値を規定している。また、安全性確保のため、食品がどのように計量・包装・輸送されるべきであるかについて規定している。栄養成分表示やアレルゲン表示などについても規格が適用されるため、消費者は、それらの食品が自分自身の健康に良いものかどうかを知ることができる。

行動の呼びかけ

《政策決定者に求められる行動》

 政策決定者は、食糧支援、学校給食、その他の食糧配給制度などの公的な支援プログラムの策定により、消費者が安全な食品を容易に選択できるようにすべきである。

 国の頑健な食品安全システムの構築に注力し、国際食品安全規格に確実に適合するものにすべきである。

 地域・国・国際レベルでの分野横断的な連携を推進し、以下の項目を実施すべきである。

  • 国際食品安全・品質規格の策定にあたり、食品管理システムが確実に目的に適合するようにする。
  • 自国の食品流通チェーンの安全保護を目的とした基準が政府の方針に確実に含まれるようにする。
  • 食品流通チェーン(農場から食卓まで)の全ての段階において適正規範が確実に遵守されるよう各段階の相互の連携を推進する。

《食品事業者に求められる行動》

  • 食品安全文化を成長・発展させるため、従業員、供給業者およびその他の関係者に参加を促す。
  • 自国の食品規格および国際的な食品規格を遵守する。
  • 施行されている規則・規制について消費者および食品事業従事者が認識していることを確認する。

《教育施設および職場に求められる行動》

  • 食品の安全な取扱いを推進する。
  • 家族にも働きかけ、食品安全への取り組みに参加してもらう。
  • 食品安全教育を支援する。

《消費者に求められる行動》

  • 家庭で食品の安全な取扱いを実践し、世界保健機関(WHO)が推奨している「食品安全のための5つの鍵(Five Keys to Safer Food)」(「清潔に保つ」「生の食品と加熱済み食品とを分ける」「よく加熱する」「安全な温度に保つ」「安全な水と原材料を使う」)を遵守する。
  • 食品の安全性について情報入手を継続し、向上に努める。
  • 食品の安全性について学び、世界食品安全デーのキャンペーン「#WorldFoodSafetyDay campaign」(https://who.canto.global/v/WorldFoodSafetyDay2023/)に参加する。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.14(2023.07.05)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2023/foodinfo202314m.pdf

今号の目次

【世界保健機関・西太平洋地域事務局(WHO WPRO)】
1.2023年世界食品安全デー「食品規格がいのちを救う」

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 冷凍の有機栽培イチゴに関連して複数州にわたり発生している A型肝炎アウトブレイク(2023年6月14日付情報)

【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 国外旅行に関連していないサイクロスポラ感染を調査中(2023年6月20日付初発情報)

【欧州疾病予防管理センター(ECDC)】
1. リステリア症 -2018年次疫学報告書

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and
Feed)

【Eurosurveillance】
1. 汚染された豚肉製品(詰め物入り)によるリステリア症アウトブレイク(スペインのアンダルシア州、2019年7〜10月)

【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)の科学雑誌「BfR2GO」第11号:「飼料槽から食卓まで―安全な飼料がヒトの健康にも重要なのは何故か」