キャノーラの天然毒汚染問題

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.05(2020.03.04)を発表した。

注目記事

【CFIA】2020-02-17食品安全検査報告:キャノーラベースの調味料、油脂中のトロパンアルカロイド

 天然の毒素であるトロパンアルカロイド(TAs)へのヒトの暴露は、食用植物との誤認による、あるいは農作物がTA含有植物に汚染されて生じることがある。汚染はシロバナヨウシュチョウセンアサガオ(Datura stramonium)の種子が原因とされている。近年、この種はアルバータ州のキャノーラ畑で雑草として現れ始め、その種子はキャノーラと同じサイズなので加工中にそれらを分けることは難しい。

 カナダの重要な農作物の品質を守るため、カナダ食品検査庁(CFIA)はキャノーラ油のTAsに関するターゲット調査を行った。その結果、検出された濃度でのヒトの健康への懸念はないと判断し、回収の必要もないと結論した。

※ポイント:TA含有植物は、日本国内だと食べられる植物との誤認による食中毒で話題にされますが、海外では穀類や豆類への混入(汚染)が食品安全上の問題となっています。最近では、2019年にウガンダで、国連の世界食糧計画(WFP)で提供したSuper Cerealの原料である大豆のTAs汚染によりアウトブレイクが発生したことから、WFPからの要請を受けてFAO/WHOがデータ募集と特別専門家会合の開催を計画しています。

【HSA】COVID-19(コロナウイルス感染症2019)の予防や治療を主張する製品への助言

 シンガポール健康科学庁(HSA)は、COVID-19の予防・治療を主張する健康製品、ハーブ、「クリップオン」製品を含む健康製品の国内やオンラインでの購入について消費者に助言する。現在、どの製品にもCOVID-19の予防・保護・治療に役立つという根拠はない。

※ポイント:COVID-19に乗じて科学的根拠のない製品でお金儲けをしようとする人達にだまされないように、という注意喚起です。ぜひご一読ください。

【FSAI】CBD食品サプリメントのいくつかは消費者のリスクになり、誤解を招く

 アイルランド食品安全局(FSAI)によるカンナビジオール(CBD)製品の国内調査(2019年11月から12月に実施)によると、分析された製品の大多数が食品法のさまざまな条項に違反し、中には消費者にとって安全上のリスクになる可能性があることが判明した。検査したCBD製品の84%でTHCが検出され、37%は欧州食品安全機関(EFSA)が設定した安全基準(急性参照用量ARfD)を超過するテトラヒドロカンナビノール(THC)を含んでいたことから、当該製品を現在リコールしている。

【FSA】FSAはCBD事業者に対して期限を設け、消費者向けに安全性の助言をする

 英国食品基準庁(FSA)は、CBD製品について正当な新規食品認可申請の提出期限を2021年3月31日と設定する。CBD事業者は、期限より前に製品の安全性と内容物についての詳細情報を規制当局に提出しなければならない。その日以降は、正当な申請が提出された製品のみ流通が許可される。さらにFSAは、妊婦や授乳婦、何らかの医薬品を服用している影響を受けやすい人達に向けて、CBD製品を摂取しないよう助言する。健康な成人についても、摂取前に注意深く検討することと、一日に70mg以上(5%CBDなら約28滴)摂取しないよう助言する。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.05(2020.03.04)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2020/foodinfo202005c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. 国際がん研究機関(IARC)

【FAO】
1. Codex

【EC】
1. 新規食品統一リスト
2. 委員会は殺生物活性物質ヨウ素、PVPヨウ素、ジネブの認可レビューを行っている
3. 査察報告書
4. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. PFASパブリックコメント募集:意見案の説明
2. 甘味料のハザード同定及びキャラクタリゼーション評価のためのプロトコール案についてのパブリックコメント募集結果
3. 2019年食品及び飼料におけるナノテクノロジーリスク評価のEFSA科学ネットワーク年次報告書
4. 時空間データの分析のためのWEBアプリ
5. ダイズMON89788及びダイズA2704−12EUについての委員会実施決定No2019/2083及び2019/2084の内部レビューのためのTestbiotech研究所の要請に関する科学的助言(申請EFSA−GMO−RX−011及びEFSA−GMO−RX−009)
6. 飼料添加物関連

【FSA】
1. FSAはCBD事業者に対して期限を設け、消費者向けに安全性の助言をする
2. 食品中のピロリジジンアルカロイドの実態
3. FSAは北アイルランド市民に食品項目の「ラベル確認」をするよう新たなキャンペーンを開始する
4. FSAの世論調査第19回結果公表

【DEFRA】
1. 食品中残留農薬:2019年四半期モニタリング報告

【NHS】
1. Behind the Headlines

【BfR】
1. フードサプリメントのビオチンは検査結果に影響する
2. 電子タバコの研究:ドイツでは今のところ電子タバコ使用による命に関わる中毒はない
3. 中毒事例:カンナビジオールを含む電子タバコ用リキッドは操作されている可能性がある
4. 電子タバコのビタミンE酢酸エステルのリスクは未解決

【ANSES】
1. 戸外での鉛暴露

【FSAI】
1. CBD食品サプリメントのいくつかは消費者のリスクになり、誤解を招く
2. アイルランドの健康的な朝食用シリアルとヨーグルトの結果に関する報告の発表

【FDA】
1. FDAは食品基準近代化のための一般原則について再度意見募集
2. 業界向けガイダンス:FDAの任意適格輸入業者プログラム
3. FDAは動物用食品及び医薬品に関連する執行したコンプライアンス政策ガイドを取り下げる
4. リコール情報
5. 警告文書

【FTC】
1. FTCは認知機能改善宣伝に騙された消費者に返金

【CFIA】
1. オンラインで買い物? 支払う前にCFIAで確認を
2. 2020-02-17食品安全検査報告

【FSANZ】
1. フードサービス業界向け食品安全管理ツールへの意見募集
2. 食品リコール統計
3. 食品基準通知

【TGA】
1. Caruso’s Natural Health社はCaruso’s Kids Eye Care製品の根拠を保持していると不当に主張して$12,600の罰金を科せられた
2. 安全性警告

【香港政府ニュース】
1. 2019年の食品インシデントのレビュー
2. CFSは肉の二酸化硫黄の使用に関するサーベイランスの結果を発表
3. 違反情報

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 食薬処、2019年の食品など輸入動向を発表
3. データの偽造・変造を防ぐ「スマートHACCP」適用業者の優待措置!
4. オンライン食品販売業者など約1,800ヶ所を特別点検
5. 農薬残留基準が気になるなら農薬名・農産物名で探してみて下さい
6. 回収措置

【HSA】
1. COVID-19(コロナウイルス感染症2019)の予防や治療を主張する製品への助言

【その他】
・(EurekAlert)減量用ハーブ医薬品の根拠は不十分
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