竹粉末添加包材はEUでは違法

竹粉末(イメージ)

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。欧州委員会は植物由来の添加物を含むプラスチック製の食品接触物質に関する措置の結果を発表した。米国FDAは細胞ベースの特定の食品の販売について初めて公式見解を発表した。欧州食品安全機関は、食品接触物質に使用される可塑剤物質のハザード評価のための科学的プロトコルを発表した。

注目記事

【EC】食品接触物質:欧州で数千の違法で有害な製品が遮断およびリコールされた

 欧州委員会は、EU農業食品偽装ネットワークとともに、竹やその他の植物由来の添加物を含むプラスチック製の食品接触物質(FCM)に関する協調的な執行措置の結果を発表した。プラスチックFCMに使用できるのは認可された物質のみであり、認可されていない竹やその他の植物由来の添加物の使用は違法となる。さらに違法製品の中には、環境によい製品であるかのように誤解を招く不当表示をしているものもある。度重なる警告通知にもかかわらず販売が継続されていたため、21カ国が参加してEU規模で違法製品を特定するための執行行動が実施された。

※ポイント:EUで2年前くらいから話題になっていた問題です。100%竹のみで製造された製品であれば合法なのですが、粉末にしてプラスチック材に添加された場合には違法となります。現在、EUでは食品接触物質に関する規制の見直しを行っており、そのパブリックコメントに関する記事も今号で紹介しています。

【FDA】FDAは動物細胞培養技術からのヒト用食品のイノベーションを促す

 米国食品医薬品局(FDA)は、培養した動物細胞から作られたヒト用食品の最初の市販前協議が完了したことを発表する。UPSIDE Foods社が鶏の培養細胞から製造した食品の市販前協議のために提出した情報をFDAが評価し、現時点では同社の安全性に関する結論について疑問はないと結論した。動物の培養細胞から製造した食品については、細胞バンクと細胞の培養から収穫前までをFDAが、その後の収穫から加工、ラベル表示の監視を米国農務省(USDA)が所管しており、認可制にはしないものの、製造・販売業者は市販前の協議や検査に応じてFDAとUSDAが提示する要件をすべて満たす必要がある。

※ポイント:細胞ベースの特定の食品の販売について米国FDAが初めて公式見解を発表しました。認可制にせずに、事業者と徹底して協議をするというやり方は米国らしいと思います。FDAは新規技術の導入を推奨しており、市販前協議に向けて準備を行う事業者向けガイダンスも発行予定だと述べています。USDAも昨年9月に表示制度の検討を始めると発表し意見や情報を募集していたので、そのうち表示要件も公表されるでしょう。

【EFSA】フタル酸エステル類と他の可塑剤:EFSAの評価を導く計画

 欧州食品安全機関(EFSA)は、食品接触物質に使用される可塑剤物質のハザード評価のための科学的プロトコルを発表した。対象の可塑剤には、フタル酸エステル類、その構造類似物質、フタル酸エステル類に代替して使用される物質が含まれる。

※ポイント:EFSAはフタル酸エステル類と他の可塑剤の再評価を計画しており、今年5月に、リスク評価が最後に実施された年を指標に対象物質の優先順位付けを行っていました(評価年が古い順に優先度を高・中・小に分類)。これまでに暴露評価のプロトコルも作成され、ハザード評価のプロトコルも今回準備されたことから、今後、暴露評価に必要なデータがそろい次第、優先度が高い物質から再評価が開始されるでしょう。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.25(2022.12.07)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2022/foodinfo202225c.pdf
食品安全情報(化学物質)No.25(2022.12.07)別添
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2022/foodinfo202225ca.pdf

今号の目次

【WHO】
1. 出版物
2.4者は薬剤耐性との戦いに新しい政治的関与を歓迎
3. 国際がん研究機関(IARC)

【FAO】
1. カテゴリーの革新
2. 新しいデータツールが「食品のお金(food dollar)」がどこにいくかを探る
3. Codex

【EC】
1. AMR:静かな脅威の拡大
2. SCHEER(環境及び新興リスクに関する科学委員会)
3. EU 規則改定:動物福祉、食品接触物質
4. グリホサート
5. 食品接触物質:欧州で数千の違法で有害な製品が遮断及びリコールされた
6. EU 食品偽装ネットワーク
7. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. EFSA-RACFC 中央及び東欧諸国との食品の化学汚染物質危機準備トレーニング
2022
2. 多言語使用と食品安全-EFSA のオンラインコミュニケーションは現在24言語全てで利用可能
3. 食品添加物関連
4. 食品酵素関連
5. フタル酸エステル類と他の可塑剤:EFSA の評価を導く計画
6. 農薬関連
7. 遺伝子組換え関連
8. YouTube 動画

【Europol】
1. 食品偽装:約27,000トンが押収された

【FSA】
1.2022年12月の FSA 理事会ペーパーが公表される
2. 健康的で持続可能な食事の促進:効果的にエビデンスを作成し説明する方法

【FSAI】
1. リコール情報

【BfR】
1. 新しいハンドブックはリスクコミュニケーション成功への6つのステップを強調する

【RIVM】
1. IJmond 地域に沈着した埃の PAH と金属の研究
2. 欧州職業暴露限度の設定されていない物質の、国の職業暴露限度の概要
3. オランダ鉄道は従業員を六価クロム暴露から適切に守っていない
4. オランダの氾濫原で放牧されている野生の牛での草と土壌から肉へのダイオキシンとダイオキシン様 PCBs の移行

【ANSES】
1. 暖房器具による一酸化炭素中毒に注意
2. アブラムシの殺虫剤耐性における相違研究
3. プラスチックは家庭での堆肥化に向いていない

【VKM】
1. 食品と環境の知識基盤:知識とデータの不足を埋めるには活発なノルウェー研究コミュニティーが必要

【Ruokavirasto】
1.20年間の耐性監視-今、我々はどこにいるのか?

【FDA】
1. FDA は動物細胞培養技術からのヒト用食品のイノベーションを促す
2. FDA は AquAdvantage サーモンの環境アセスメント改訂案を発表し、バーチャル公聴会の開催を発表する
3. カンナビジオール(CBD)を含む食品・飲料製品を違法に販売した企業に FDA が警告
4. 食品中の CBD から消費者を保護するために FDA がしていること
5. 消費者向け情報
6. FDA はアレルゲン表示要件に関するガイダンスを公表
7. 警告文書
8. 公示

【EPA】
1. EPA は PFAS から地域社会を保護することにおける重要な進捗を強調する

【FTC】
1. FTC はカリフォルニアの Precision Patient Outcomes 社による詐欺的 COVID-19宣伝文句を止めるために対応する

【CFIA】
1. カナダの首席獣医官が「2022年世界抗菌薬啓発週間」の重要性を強調する

【FSANZ】
1. 食品基準通知

【APVMA】
1. マラチオンの規制決定案
2. 改訂動物用医薬品表示基準発表
3. 申請欠陥通知と提供された情報の更新あるいは明確化

【香港政府ニュース】
1. ニュースレター
2. CFS は lap-mei の季節食品サーベイランスプロジェクトの検査結果を発表する
3. 違反情報

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 受験生を惑わす食・医薬品の不法販売に注意してください!
3. 食薬処、ベトナム国際開発協力(ODA)事業で実を結ぶ
4. リコール情報

【SFA】
1. SFA は生産性を向上させるために農場と協力する
2. SFA は海上養殖場の設立を支援する業界ガイドを発表する
3. リコール情報

【FSSAI】
1. ヘンプシード及びシード製品(ヘンプシード、ヘンプシードから抽出した油、ヘンプシード粉末)の販売に関する2022年11月10日付の明確化

【その他】
・ProMED-mail1件

別添

【BfR】ゲノム編集とCRISPR/Cas9システムに関するFAQ更新