アスパルテームの完全リスク評価が完了

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.26(2013.12.25)を発表した。

注目記事

【EFSA】アスパルテームの完全リスク評価を完了し、現在の暴露量では安全だと結論した

 欧州食品安全機関(EFSA)は、甘味料であるアスパルテームの完全リスク評価の完了を発表した。評価では、EFSAは動物とヒトの両研究について、アスパルテームとその分解物に関して入手可能な全ての科学的研究の厳密なレビューを行った。その結果、現在の一日摂取許容量(ADI)40mg/kg bw/dayは一般の人々にとって保護的であると結論した。ただし、フェニルケトン尿症(PKU)の患者にとってはそのADIは適用できず、フェニルアラニンの少ない食事を摂るべきだとしている。EFSAは、完全リスク評価の結果の発表にあたり、評価案に関するパブリックコメントの結果やその募集期間後に確認された新規研究の内容も考慮した上で、結論は変わらなかったとしている。

※ポイント:EFSAによるアスパルテームの完全リスク評価がようやく終了しました。ECからEFSAへ完全リスク評価が要請されたのが2011年5月で、当初は翌年に終了予定でした。しかしながら、度重なる延長により、パブリックコメントの募集が2013年1月、公開会合での意見交換が4月、それらの結果も含めて5月に予定していた最終意見の発表が現在になったというわけです。EFSAによる評価の中では異例とも言える長さでした。

【EFSA】ある種の一次加工シリアル製品のデオキシニバレノール最大基準値の増加による公衆衛生上のリスクについての声明

 EFSAは、ある種の一次加工シリアル製品に設定されたデオキシニバレノール(DON)のEU最大基準値(maximum level: ML)を、現行の750μg/kg から1000μg/kgに引き上げることによる公衆衛生上のリスクを評価した。

※ポイント:この評価は、コーデックス食品汚染物質部会(CCCF)において議論されている穀物のフラワー、セモリナ、ミール、フレークのDONの最大基準値案が、EUの現行基準値よりも高い値であることを受けて行われたものです。国際基準がある場合には特別な理由がない限り国内基準にその値を適用しなければならないことから、EUでは今回のDONに限らず、国際基準案が議論されている最中に提案されている値をEUでも採用した場合にEUの消費者にどの程度の影響を与えるのかを評価して、EUが置かれている状況を科学的に把握し、今後どのように対応していけばよいのかを判断しています。

2013年最終号にあたって

 今年も、アイルランドや英国等での牛肉へのウマ肉混入、米国を代表とする各国でのコメ中ヒ素調査、EUでのネオニコチノイド類3種の使用制限開始、台湾産の澱粉加工製品からのマレイン酸検出、米国での痩身または筋肉増強用サプリメント「OxyElite Pro」の使用による急性肝炎事例の報告、米国での加工食品のトランス脂肪低減化への取り組み、そして本号で紹介したEFSAによるアスパルテーム完全リスク評価の完了など、各国で色々なニュースがありました。2014年も興味深いニュースは「注目記事」でご紹介していく予定でおりますので、来年もどうぞよろしくお願いいたします。よいお年をお迎えください。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(化学物質)No.26(2013.12.25)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2013/foodinfo201326c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. 最新世界がん統計

【FAO】
1. 食品獣医局(FVO)査察報告書:ドイツ、ルーマニア
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. EFSAはアスパルテームの完全リスク評価を完了し、現在の暴露量では安全だと結論した
2. EFSAは2つのネオニコチノイドと発達神経毒性の関連の可能性を評価
3. エディトリアル:GM植物申請のリスク評価についての新しい委員会施行規則:新しい要素と課題
4. 遺伝子組換え関連
5. ある種の一次加工シリアル製品のデオキシニバレノール最大基準値の増加による公衆衛生上のリスクについての声明
6. EFSAは規制対象製品の情報サービスについて説明する:申請ヘルプデスク

【FSA】
1. Elliottレビュー中間報告書についてのFSAの声明
2. カリブのソフトドリンクが危険な量のコカインに汚染されていることを確認

【CRD】
1. 食品中残留農薬に関する専門委員会(PRiF):残留農薬モニタリング:2013第2四半期の結果

【BfR】
1. BfRはグリホサートの再評価案を最終化
2. 食品中の過塩素酸塩についてのFAQ

【ANSES】
1. 化学物質混合物:研究とリスク評価の課題

【FSAI】
1. 偽造スミルノフ・ウォッカ発見

【FDA】
1. FDAは抗生物質耐性対策に踏み出す
2. 意見募集期間の延長
3. 警告文書(2013年12月10日、17日公表分)
4. FDAは抗菌石けんの安全性と有効性を決める新しい規則を提案
5. FDAは消費者に対して筋肉増強用製品を使用しないよう警告
6. FDAは国際的食品偽装対策戦略についての食品安全近代化法(FSMA)の規則案の公聴会を開催
7. 我々は今年多くの局面で前進した
8. 公示

【CFIA】
1. 検査した食品の100%からメラミンは不検出

【FSANZ】
1. 新興問題のモニタリング 2013年11月
2. 食品基準通知

【TGA】
1. オーストラリア補完医薬品規制ガイドライン(ARGCM)
2. 安全性警告

【MPI】
1. 抗生物質耐性モニタリング

【香港政府ニュース】
1. 香港の食品はかび毒からは安全

【その他】
・(ProMED-mail)シガテラ魚中毒 スペイン