内分泌かく乱物質の評価を加速

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.10(2021.05.12)を発表した。

注目記事

【FDA】FDAは「ヘルシー」シンボルに関する消費者研究の手続き通知を発表

 米国食品医薬品局(FDA)は、栄養含有強調表示「ヘルシー」(healthy)を表すために将来的に使用される可能性のあるシンボルマークについて、消費者を対象とした予備的な定量調査を行う予定であり、その手続き通知を発表する。米国では、ペーパーワーク削減法のもと、連邦政府機関が提案する情報収集は逐一連邦官報に掲載し、一般市民に意見提出の機会を与えることが義務付けられている。そのため、定量調査の手続きの内容について60日間意見を募集する。

※ポイント:米国FDAは、数年前から「ヘルシー」の定義の見直しを行っていて、シンボルマークの検討はそれに付随する案件です。この記事を読んで個人的に興味深かったのは、米国には市民に負担となるペーパーワークの削減を目指した法律があり、その法律に基づき、FDAなどの連邦政府機関が消費者を対象にした情報収集を行う場合には、その情報収集が当該機関の業務に必要なのか、提案されている情報収集の方法は妥当なのか(消費者への負担の見積もりは正確か)、収集される情報の質をあげるためにはどうすればよいか、といった、情報収集の方法論に関する意見募集の機会が設けられているという点です。

【ANSES】内分泌かく乱物質の評価を加速する

 フランス食品・環境・労働衛生安全庁(ANSES)は、第2回内分泌かく乱物質国家戦略(SNPE2)の一環として、内分泌作用の可能性をもとに重要と考えられる906物質のリストを作成し、内分泌かく乱物質としての特性について詳細な評価が必要と考えられる16優先物質を特定した。また、評価結果をもとに、内分泌かく乱物質としての確実性に応じて3段階に分類するための方法を開発した。

※ポイント:フランスはEU諸国の中でもとくに内分泌かく乱物質の規制に注力している国です。SNPE2は2019-2022年の計画なので、選ばれた優先物質は今後2年間にANSESが評価を行う可能性のある物質になります。

【BfR】消費者健康保護:大部分の人は科学を信頼している

 ドイツ人の約2/3は消費者の健康を守るのに科学を信頼していることが、ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)の最新の消費者モニターの結果からわかった。対象は、16歳以上の個人世帯に住むおよそ1.000人。回答者の22%が自発的に言及した最大の健康リスクは、食品中の糖、脂肪、塩の高含有など特定の栄養群である。不健康な食事とライフスタイル(13%)や、食品中の望ましくない物質や添加物(それぞれ11%)がだいぶ離れて続く。

 選択されたテーマについて尋ねると、最大の関心事は食品中の抗生物質耐性やマイクロプラスチックで、57%が抗生物質耐性を、54%が食品中のマイクロプラスチックを懸念している。しかし、自らの家庭の食品衛生についての懸念は比較的少ない。科学的観点からすると、家庭の食品衛生の欠如が食中毒の主な原因の1つである。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.10(2021.05.12)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2021/foodinfo202110c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. 第4回WHOインフォデミック管理会議:公衆衛生のためのソーシャルリスニングの進歩
2. 水銀に関する水俣条約:WHO情報の文献目録

【FAO】
1. 新しいFAOの出版物:オーガニック食品-それはより安全か?
2. Codex

【EC】
1. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 農薬の累積暴露評価の結果に関する優先順位付け方法の潜在的な影響
2. オープンMCRAの実行可能性調査
3. 欧州の将来のリスクコミュニケーションを刺激するためのEFSAの報告書
4. 提案:EFSAの危機管理の必要性に対処するための複数年(2021‐2024年)の訓練パッケージ
5. 新しいゲノム技術により開発された植物のリスク評価に関するEFSAと欧州国立機関の科学的意見の概要
6. ベイズ理論でのメタ分析、生理学的モデリング、in vitroシステムを用いたトキシコキネティックおよびトキシコダイナミックプロセスのヒトの変動制モデリング
7. 食品酵素関連
8. 飼料添加物関連

【ASA】
1.年次報告書2020-若者と脆弱な人々を守る
2. ASA裁定

【BfR】
1. 消費者健康保護:大部分の人は科学を信頼している

【ANSES】
1. 内分泌かく乱物質の評価を加速する
2. フランス人のためのビタミンとミネラルの新しい食事摂取基準を発表

【FSAI】
1. FSAIは組成変更の監視のためのヨーグルトの栄養表示使用を評価する新たな報告書を発表する
2. FSAIは大麻を含む食用製品(菓子)に警告を発する
3. リコール情報

【FDA】
1. 急性非ウイルス性肝炎調査-「リアルウォーター」ブランドのアルカリイオン水
2. よりスマートな食品安全新時代テックトークポッドキャスト
3. FDAは「ヘルシー」シンボルに関する消費者研究の手続き通知を発表
4. 公示
5. 警告文書

【EPA】
1. EPAのRegan長官は新しいPFAS評議会を設定
2. EPAは環境正義を推進するために有害化学物質排出目録を更新する計画を発表

【USDA】
1. USDAは遺伝子組換えを用いて開発したトウモロコシの規制解除のための環境影響声明を準備する意向通知にパブリックコメント募集
2. USDAの科学が食品廃棄を減らす5つの方法

【FTC】
1. FTCは議会でCOVID-19詐欺を抑制するためのFTCの仕事について証言し、消費者にパンデミック関連詐欺やごまかしについて警告する

【FSANZ】
1. 食品基準通知

【MPI】
1. 野菜を舞台の中央に立たせる新たな食品技術

【NZEPA】
1. グリホサート:情報要請

【香港政府ニュース】
1. 窒素 – 包装用ガスとその先
2. 警告
3. 包装冷凍bigeye fishのサンプルにポンソー4Rが検出され、食品表示規則に違反する
4. 違反情報

【SFA】
1. Nanyang工科大学シンガポール、シンガポール食品庁及び科学技術研究庁(A*STAR)は食品安全科学においてシンガポールの能力を構築するために将来に備えた食品安全ハブ(FRESH)を開始する
2. 表示及び包装情報―食品および栄養表示の理解

【その他】

●ProMED-mail1件

●Erekalert2件