ヘンプ含有食の安全性の管理

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.06(2021.03.17)を発表した。

注目記事

【FDA】FDAの、有害元素を含む食品中化学ハザードについての企業への文書と、FDAの赤ちゃんや小さい子供の食品の安全性向上のために努力について更新

 米国食品医薬品局(FDA)は、赤ちゃんや小さい子供向け食品の有害元素をさらに減らすために行っている業務に関する最新情報を提供する。

 FDAは有害元素への暴露に関する問題を食品安全にかかわる最優先事項の一つと捉えて積極的に取り組んでいることを説明する。さらにFDAは、乳幼児用食品の製造業者と加工業者に向けて、製品についてハザード分析を行う際に有害元素などを含む化学的ハザードを考慮することを求める文書を発送した。また保護者向けに、乳幼児に与える食事についての助言を提供した。

※ポイント:前号で紹介したFDA記事に続くものです。2021年2月に、米国下院の経済および消費者政策に関する小委員会が、乳幼児に有害なヒ素、鉛、カドミウム、水銀を高濃度に含むベビーフードが販売されていると問題提起する調査報告書を発表しました。その報告書を米国メディアが大きく取り上げたため、FDAがその対応に追われています。

 FDAは、保護者が市販のパック入りの乳幼児用食品を与えるのをやめることを勧めるような助言はしていないと強調するとともに、自家製の乳児用ミルクを乳児に与えても有害元素への暴露量を減らす可能性が低いだけでなく、乳児の成長に不可欠な栄養素の不足や微生物汚染の可能性があるとの注意喚起も行っています。

 食品の製造におけるハザード分析というと病原性微生物などの生物学的ハザードのみが取り上げられることが多いので、FDAが化学的ハザードも考慮しなければならないと企業に念を押していることは注目すべきだと思います。

【BfR】BfRはヘンプ含有食品の評価基準としてARfDを薦める

 テトラヒドロカンナビノール(THCまたはΔ9-THC)は、ヘンプ含有食品に存在する可能性のある向精神性カンナビノイドである。2000年に消費者の健康保護と獣医学の連邦研究所(BgVV)がさまざまな食品グループの最大THC量についてのガイダンス値を提示したが、ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)は、これらの値が現在の科学的知見にはもはや対応していないという結論に達した。そのためBfRは、2015年に欧州食品安全機関(EFSA)が導出した急性参照用量(ARfD)をもとに、食品ごとのTHC量をケースバイケースで評価していく必要があるとしている。

※ポイント:ヘンプ含有食品の種類や流通量が増えているので、諸外国では、それらの安全性をどのように管理していくのかが盛んに議論されています。その中で、各食品のTHC量に制限値を設けるという案もリスク管理の選択肢の一つとして検討されています。

【MFDS】COVID-19時代、輸入食品非対面現地調査強化

 食品医薬品安全処(MFDS)は、COVID-19によって海外製造業所に対する現地調査が事実上困難になったため、非対面書類審査をより一層強化し、スマートグラスなど先端装備を活用した映像遠隔現地調査を導入して実効性をさらに強化する計画である。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.06(2021.03.17)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2021/foodinfo202106c.pdf

今号の目次

【EC】
1. 農場から食卓まで:我々のフードシステムを改善するための弾力的戦略
2. 査察報告書
3. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1.2020年の食品及び飼料中のナノテクノロジーのリスク評価のEFSAの科学的ネットワークの年次報告書
2. 食品中のヘキサブロモシクロドデカン類(HBCDDs)のリスク評価更新
3. 規制対象製品の申請手続きのための行政ガイダンス(更新2021年)
4. EFSAのウェブサイトは変身する
5. 食品酵素関連
6. 農薬関連
7. 飼料添加物関連

【FSA】
1. 食品犯罪
2. EUと食品に関する消費者の見解
3. 市民科学と食品
4. リコール情報

【MHRA】
1. MHRA医薬品警告のタイトルと分類の変更

【ASA】
1. 補完代替療法の宣伝

【BfR】
1. BfRはヘンプ含有食品の評価基準としてARfDを薦める
2. ビーガン食は骨の健康状態の悪さにつながるか?

【RIVM】
1. RIVMはNutri-Score表示の実施に関し欧州全域で協力する

【ANSES】
1. フランスニュートリビジランス計画の新しいオンライン報告ウェブサイト
2. 二酸化チタンナノ粒子の職業暴露限度

【FSAI】
1. リコール情報

【FDA】
1. FDAは両親や保護者に乳児に手作り乳児用ミルクを作ったり与えたりしないよう助言
2. FDAの、有害元素を含む食品中化学ハザードについての企業への文書と、FDAの赤ちゃんや小さい子どもの食品の安全性向上のために努力について更新
3. 連邦裁判所はニューヨークのダイエタリーサプリメント製造業者に対し、恒久的差し止め命令に入る
4. FDAのデータ近代化行動計画:公衆衛生に役立つデータをまとめる
5. FSMA(食品安全強化法)農産物安全最終規則
6. リコール情報
7. 公示
8. 警告文書

【NTP】
1. NTP テクニカルレポート:ヘキサクロロベンゼン

【USDA】
1. USDAは遺伝子組換えを用いて開発したある種の動物の規制監視の可能性について意見募集

【NIH】
1. スクープ―2021年冬

【FTC】
1. FTCは詐欺的に宣伝していたCBD製品の販売業者に最終行政同意命令を承認

【CFIA】
1. グルテンフリーベーカリーミックス中の非表示のグルテン:2017年4月1日〜2018年3月31日
2. 食品安全警告:クラスIリコール

【TGA】
1. 意見募集:除菌剤の効果持続主張の規制要件を明確にする提案

【香港政府ニュース】
1. CFSは食品等級でない窒素を充填に使用した疑いのある台湾産包装済みライスクッキーを食べないよう注意を促す
2. 違反情報

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 無申告輸入ケイ酸マグネシウムを国産食品添加物と偽って販売した業者4ヶ所摘発
3. 食薬処、「食品安全国家認証制」オンライン説明会開催
4. 輸入食品検査全過程を透明に公開する
5. COVID-19時代、輸入食品非対面現地調査強化
6. 生産・流通・輸入段階残留農薬検査法一つに統一
7. たくさん輸入・消費される食品は何でしょうか!
8. 中国産冷凍ヤママユガさなぎ回収措置

【SFA】
1. Picard Rolled Yule Logチョコレートトンカ豆ケーキに禁止されている香料としてのトンカ豆が検出されリコール措置

【HSA】
1. 消費者が「Bobba Fitz」摂取後に動悸や気分変動を起こした―HSAは禁止物質シブトラミンを含むことを検査で示した

【FSSAI】
1. メディアコーナー

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・EurekAlert7件