英国のアクリルアミド新規則

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.26(2017.12.20)を発表した。また、「BfR 2 GO: 消費者の健康保護『進むべき道』」を食品安全情報(化学物質)No.26(2017.12.20)別添として発表した。

注目記事

【FSA/FSAI】アクリルアミド新規則

2017年11月20日にEUのアクリルアミドに関する新規則が採択され、2018年4月に発効予定となったことを受けて、英国食品基準庁(FSA)およびアイルランド食品安全局(FSAI)は、新規則が示している食品中のアクリルアミド低減化に取り組むよう呼びかけている。新規則には、食品中のアクリルアミド生成を抑える実践的な方法が記載され、また各食品事業者が自社の製造工程や低減措置の効果を自ら評価できるようにベンチマーク濃度(benchmark levels)も示している。

※ポイント:食品中のアクリルアミドに関するEU規則が来年4月に発効します。アクリルアミドは加熱加工・調理中の副生成物ですので、原材料の選択や管理から始まり、加工・調理時の温度や時間の管理など一連の対策を行うことで低減が可能です。したがって、この新規則でも主にジャガイモや穀類製品、コーヒー類、乳幼児用食品を対象に各食品事業者が低減措置を行うことを要求しています。ベンチマーク濃度という値を提示していますが、この値は他の汚染物質に設定されている最大基準値とは位置づけが異なり、低減措置の効果を検証するための指標値として示されています。

【BfR】フードサプリメント中のマグネシウムに関する一日の最大摂取量を検討:食品サプリメントからマグネシウムを多量に摂取すると軽度の下痢を起こす可能性あり

ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)は、通常の食事由来の他にフードサプリメントから摂取する追加のマグネシウムについて、一日の最大摂取量を250mgと設定し、その量を超えないようにすべきと発表した。フードサプリメントなどの製品でマグネシウムを多量に摂取すると下痢を起こす可能性がある。ただし、この最大摂取量は4才以上の集団を対象にしており、データ不足により4才未満の子供については値を導出できなかった。

※ポイント:日本国内で通信販売されているサプリメント類を確認してみたところ、1粒に含まれるマグネシウムの量はさまざまで、製品の中には250mg含むと表示された製品もありました。通常の食生活をしていれば欠乏しませんし、もし心配であれば血液検査などで自分の身体の状態は分かりますので、確実に不足している状況でなければ過剰摂取につながるので不確かな自己判断でサプリメントを摂取することはやめる方がよいでしょう。

【EFSA】EFSAジャーナル:食事参照値 特別号

EFSAの食事参照値(dietary reference values:DRVs)に関する作業をEFSAジャーナルの特別号として一つにまとめた。

【FDA】FDAの意味する「査察拒否」とは何か?

米国食品医薬品局(FDA)は、FSMA(米国食品安全近代化法)のもと、もし外国政府がその国の食品製造施設の査察を許可しなかった場合に、その輸入食品を米国に入れることを拒否する権限を与えられている。FDAは、外国の食品施設や政府のどのような行動が「査察拒否」に該当するかについてガイダンス案を作成した。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.26(2017.12.20)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2017/foodinfo201726c.pdf
食品安全情報(化学物質)No.26(2017.12.20)別添
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2017/foodinfo201726ca.pdf

今号の目次

【FAO】
1. コーデックス委員会

【EC】
1. 新規食品-認可リスト
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 第72回CEFパネル総会(於 パルマ、2017年11月28日~30日)ニュース速報
2. 2015年の残留動物用医薬品の傾向に変化はない
3. 意見募集:内分泌攪乱物質を同定するためのガイダンス案
4. EFSA ジャーナル:食事参照値 特別号
5. 食品添加物:EFSAはDIY暴露ツールを発表
6. 簡略リスク評価をモンテカルロシミュレーションで行うためのソフトウェア
7. OECDガイドライン106 評価者用チェックリストに関する農薬ピアレビュー会議の結果
8. 経皮吸収:in vitro計算のための精細化BfRテンプレート
9. 防虫剤として農薬に使用するタマネギ油の基本物質申請についての加盟国とEFSAのパブリックコメント募集結果
10. 新規食品としてのピロロキノリンキノン二ナトリウム塩の安全性
11. 飼料添加物関連

【FSA】
1. アクリルアミドに関するEUの新しい法律
2. WRAP、食品表示に関わる新しいガイダンスを公表
3. 2017年12月6日のFSA理事会の議事概要

【NHS】
1. 1日40 gのチーズを食べると心臓発作や脳卒中のリスクが減る可能性
2. プライマリーケアで定期的に処方すべきでないもの:知見の相談報告

【BfR】
1. BfR、フードサプリメント中のマグネシウムに関する最大一日摂取量を検討

【ANSES】
1. CIQUALウェブサイトが大変身!

【FSAI】
1. 食品中のアクリルアミドを減らすための新しい措置

【FDA】
1. FDAの意味する「査察拒否」とは何か?
2. FDAの予測毒性学ロードマップ
3. リコール情報

【NIH】
1. 体重減少のためのダイエタリーサプリメント

【FSANZ】
1. 食品基準ニュース

【APVMA】
1. 薬剤の毒性を調べる革新技術:主任科学者Phil Reeves

【MPI】
1. 貝のマリンバイオトキシン警告
2. 新しい食品安全ガイダンスを発表

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 貝毒の発生および検査状況
3. 食用卵の選別包装業の新設関連下位法令制定および不合理な規制改善
4. コンビニ弁当などの原料メーカーの点検結果
5. 放射性セシウム基準超過、「固形茶」製品の回収措置
6. ケーキなどの製造・販売業者の全国一斉衛生点検

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(ProMED-mail)マダガスカルのAntsirananaで致死的な食中毒: 有毒イワシが原因
・(EurekAlert)新しい報告書:欧州科学アカデミーは食糧と栄養の安全保証に緊急対策を呼びかける
・(EurekAlert)子ども達の食物誘発アナフィラキシーは、大人が監視していてもよくある
別 添

【BfR】
1. BfR 2 GO: 消費者の健康保護「進むべき道」