そばの汁は少なめに。ラーメンはつけめんに

そば切りは、かつては蒸して調理したのだという。生粉打ちは折れやすく、麺線の長さを保って茹でるのが難しい。二八など小麦粉を合わせて打ったそばなら茹でやすく、茹でるほうが早くできて効率がよいので、店売りではそれが発達した。


ざるそばはイノベーティブだった。
ざるそばはイノベーティブだった。

 茹でたそばを蒸籠に盛るのは、そばを蒸した名残りとか。ざるそばは、だから浮世っぽく、即物的なニュアンスがあったのだろう。

 ところが茹でると、香りやルチンなどいいところがお湯に流れてしまう。それでそば湯を飲むようになった。

 そば屋さんは、お客にそば湯を飲んでもらって、高栄養の排水をなるべく減らしたほうが、環境によいはず。最近は立ち食いそばでもそば湯をポットで出すようになっているけれど、利用している人はさほど多くない。

 立ち食いそばで、なぜそば湯を飲まないかというと、そば猪口に汁(つゆ)をたくさん入れてくれるので、そばを食べ終わった後、そば湯を入れても辛くて飲めやしないからだ。

 汁は少なめに提供したほうがいい。サービスステーションで注ぎ足しができるようにしていれば、「ケチ」と言われることもないはず。大盛りにそば猪口ではなく椀で汁を付けるのも意味がない。

 注いだものが全部胃袋に収まるしくみにすれば、排水溝へ行く汁と湯を減らすことができる。

 そば湯で消費される量などたかが知れていると言うかもしれない。いやいや、徹底的に飲んでもらったほうがいいのだ。なにしろもったいない。

 ついでに言うと、ラーメンも、これからはつけめんを標準に考えたほうがいいはず。丼のスープを飲み干すように薦めれば、塩分過多となってお客の健康を害する。残されると、高栄養・高脂肪の排水を増やし、環境への負荷を高める。そういう厄介な代物を、莫大なコストをかけて日々生産しているというのが「何かヘン」と思う感覚は大事なはず。

※このコラムは個人ブログで公開していたものです。

About 齋藤訓之 385 Articles
Food Watch Japan編集長 さいとう・さとし 1988年中央大学卒業。柴田書店「月刊食堂」編集者、日経BP社「日経レストラン」記者、農業技術通信社取締役「農業経営者」副編集長兼出版部長等を経て独立。2010年10月株式会社香雪社を設立。公益財団法人流通経済研究所客員研究員。昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。戸板女子短期大学食物栄養科非常勤講師。亜細亜大学経営学部ホスピタリティ・マネジメント学科非常勤講師。日本フードサービス学会、日本マーケティング学会会員。著書に「有機野菜はウソをつく」(SBクリエイティブ)、「食品業界のしくみ」「外食業界のしくみ」(ともにナツメ社)、「農業成功マニュアル―『農家になる!』夢を現実に」(翔泳社)、共著・監修に「創発する営業」(上原征彦編著ほか、丸善出版)、「創発するマーケティング」(井関利明・上原征彦著ほか、日経BPコンサルティング)、「農業をはじめたい人の本―作物別にわかる就農完全ガイド」(監修、成美堂出版)など。※amazon著者ページ →