青トウガラシ追跡捜査の模様の一部。
Maryanskiのバイテクと食品安全考

ホウレンソウ、トマト、青トウガラシ、そしてペットフード:FDAの謎解きやいかに/Spinach, Tomatoes, Peppers, Pet Food: How Does FDA Solve the Mysteries?

11月下旬、米国食品医薬品局(FDA)が中国の3都市に事務所を開設したとのニュースが流れた。9.11以降、米国政府は食の安全保護強化のためいくつかの対策を取ってきたが、これは最新のものである。米国へ食品を輸出する企業はすべて登録をしなければならいなこと、船荷到着前にFDAに届出しなければならいなこと、輸入時に健康リスクがあると思われる食品を留置する権限、そして新たな記帳義務。こういった新たな規制手 […]
Harvey WileyとUSDA化学課職員たち。
Maryanskiのバイテクと食品安全考

中国のメラミン汚染ミルク/Melamine Tainted Milk in China

薄めたミルクのたんぱく質の栄養価を見掛け上高めるために工業用化学物質のメラミンが使われた最近の中国における公衆衛生上の危機は、1900年代初頭に米国食品医薬品局(FDA)が設立されることとなった事件を彷彿させる。Wiley博士のあの有名な「毒物捜査班」を想起させるのだ。 Melamine Tainted Milk in China: A Case of Food Adulteration, a L […]
うねやま研究室

中国ミルク汚染事件のメラミンとはどんなもの?

中国におけるメラミン汚染ミルク事件が世界中に波紋を広げています。現時点では事件の全容は不明ですが、とりあえずこれまでわかっていることをまとめてみようと思います。今回の事件の前に、2007年の米国でのペットフード事件についておさらいしてみましょう。この事件は中国産の「コムギグルテン」が、実は小麦粉にメラミンやメラミン類似体を混ぜただけの粗悪品だったことから、それを原料にして作ったペットフードを食べた […]
Maryanskiのバイテクと食品安全考

医薬用バイテク作物――前途有望な技術かそれとも食糧供給の脅威となるのか/Pharma Plants: A Promising Technology for Drugs or a Threat to the Food Supply?

日本の科学者は、花粉症に悩む多くの人々を救うため、その症状を緩和するコメの品種を開発中である。これはしかし、遺伝子組換え植物を使って重要な医薬品を作る(「医薬用」作物と称される)という現代バイオテクノロジーの利用の一例にすぎない。しかしながら、この技術が受け入れられるには、技術的および社会的な双方のハードルを超えなければならない。初の医薬用作物の多くは、トウモロコシ、イモ、コメといった一般的な食用 […]
うねやま研究室

「発がん性」の強さについて考えてみよう――カビとパンの例

FoodScienceの連載、「多幸之介が斬る食の問題」の「ヤマザキパンはなぜカビないか」と「続 ヤマザキパンはなぜカビないか」を興味深く拝見しました。そこで僭越ながら、筆者の長村洋一先生の記事に関連していくつか関連情報を紹介してみようと思います。「○○には発がん性があるから危険だ」という類の短絡的な脅し文句はよく目にします。今回は発がん性の強さやリスクについて考えてみましょう。以前にマラカイトグ […]
コロのGM早分かり

除草剤グリホサートに耐性のある植物の自然への影響は?

こんにちは、コロです。前回は除草剤グリホサート耐性の遺伝子組換え作物はどのようなものなのかをお話しました。そして、その除草剤グリホサートはどんな植物でも枯らせてしまうとても恐い除草剤に思えますが、実はそうではないということも説明しました。今回は、除草剤グリホサートに耐性のある植物がほかの植物と交雑した場合自然への影響はあるのか、また、グリホサートに抵抗性のある雑草についてお話しましょう。
うねやま研究室

「科学的根拠」とは

根拠(エビデンス)に基づいた医療(evidence-based medicine:EBM)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。医療において治療の効果や副作用などの臨床試験による結果(「根拠」)をもとに医療を行うというものであり、「根拠」として採用されるのはできるだけ客観的で正確な最新最良の医学知見です。そんなの当たり前ではないか、と思われるかもしれませんが、EBMの対極にある「三た論法」と比較 […]
Maryanskiのバイテクと食品安全考

メディアとのつき合い方――ときにはつまずくこともある/Working with the Media – Sometimes There is a Bump in the Road

最近、あるバイテク企業に関する海外ドキュメンタリーが、NHKテレビで放映された。その企業の農業バイオテクノロジーに対する姿勢とその技術を支持する米国政府の役割に批判的なそのドキュメンタリーは、インターネットなどでも配信されている。私は、米国食品医薬品局(FDA)の食品バイオテクノロジー政策に関してそのドキュメンタリーのためにインタビューを受けた1人である。そのドキュメンタリーの中で、リポーターは私 […]
うねやま研究室

詐欺的「健康食品」「サプリメント」への対応

近年、食品の機能性についての関心が高まっているようですが、その期待の極端な形が詐欺という形で世界中で問題となっています。日本では「いわゆる健康食品」に分類され、海外では「ナチュラルヘルス製品」「ハーブ」「伝統的漢方薬(TCM)」「サプリメント」などと呼ばれる商品群があります。医薬品ではないものの、濃縮エキスだったり粉末だったりカプセルや錠剤だったりといった形態で、食べて美味しいとはとても言えないよ […]
コロのGM早分かり

毒性が低い除草剤グリホサートのしくみ

こんにちは、コロです。現在、商業的に栽培されていて、日本も含め世界中で食品や飼料などとして利用されている遺伝子組換え作物の主なものには「害虫抵抗性」のものと「除草剤耐性」のものがあります。害虫抵抗性がどのような仕組みなのかをお話しましたので、今回からは、除草剤耐性の遺伝子組換え作物について、少しお話しましょう。
California州OaklandでのFDA食品バイテクノロジー市民集会。
Maryanskiのバイテクと食品安全考

国民の健康保護、世論、そして人的資源の有効利用/Public Health Protection, Public Opinion & Effective Use of Resources

最近、米国で商業販売されている一部のトマトを食べてサルモネラ菌に感染するという食品由来の疾病のニュースがあった。このケースは、健康を司る省庁が十分な人的資源を有し、かつ予期せぬ出来事に備えているということがいかに大切かということを浮き彫りにした。ところが、通常は、そういった組織の人的資源というのは限られている。結果として、国民の健康を効率的に守るために優先順位をつけることが必要となる。時折、国民の […]
うねやま研究室

食品由来のリスクを定量評価する

食品のリスクというと真っ先に思い浮かぶのは食中毒でしょう。一般の消費者には残留農薬や加工食品の添加物が危険だと思っている人が多いかもしれません。今回はそうした食品由来リスクを定量化して評価しようという試みについて紹介してみようと思います。
コロのGM早分かり

抵抗性害虫の発生を防ぐ「緩衝区」のメカニズム

こんにちは、コロです。前回は、Btたんぱく質が効かなくなる抵抗性害虫の出現というリスクを回避のために、緩衝区という、ただ単にBtたんぱく質を持っていない作物を植えるだけの、簡単で有効な手段を持っていることをお話しました。今回は、どうして緩衝区から出てきたたくさんの害虫によって、抵抗性害虫の発達が防げるのかを「生物学的」に説明しますね……とは言っても、できる限り易しくお話しましょう。