欧州がPFAS規制案を更新

No.22(2025.10.29)

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国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。欧州化学品庁はPFAS規制案の更新版と変更点等の理解を支援する文書を発表した。欧州食品安全機関はマイクロおよびナノプラスチック放出に関する研究の文献レビューを実施した。

注目記事

【ECHA】5カ国当局が更新されたPFAS規制案の概要を発表

 2025年8月、欧州化学品庁(ECHA)が、デンマーク、ドイツ、オランダ、ノルウェー、スウェーデンの5カ国当局より2023年1月に提出されたREACH規制に基づくパーおよびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)の規制案の「更新版」を発表した。これを受けて5カ国当局は、その更新された規制案の概要をまとめた文書「更新されたPFAS規制文書について知っておくべきこと(What you need to know about the updated PFAS restriction dossier)」を発表した。本文書は、最初の規制案からの変更点に重点をおいて、利害関係者が広範で複雑な提案を理解できるよう支援することを目的としている。

【EFSA】使用中の食品接触物質からのマイクロおよびナノプラスチックの放出に関する文献レビュー

 欧州食品安全機関(EFSA)は、食品接触物質からのマイクロおよびナノプラスチック(MNP)の放出に関する調査を目的に、2015年から2025年1月20日までに発表された研究を対象にした文献レビューを実施した。

 その結果、大半がマイクロプラスチックに関する研究であり、ナノプラスチックに関するデータはほとんどなかった。また、水や水性食品疑似溶媒を使用した研究が多く、ミネラルウォーター以外の食品の研究はごく数例のみであった。現時点では、食品接触物質からのMNPのばく露量を推定するための十分な根拠は得られなかった。

 本レビュー報告は、食品接触物質からのMNP放出に関する研究の方法論的な欠点やデータのギャップを特定し、今後必要とされる研究に関する提言をまとめている。

【BfR】アルカロイドとアレルゲン:食品に含まれるルピナス(ハウチワマメ)の種子による健康リスクに関する最新データ

 近年、タンパク質を豊富に含むルピナス種子の食品への利用が増えている。ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)は2017年にルピナス種子の摂取による健康リスクについて評価を実施した。今回、その後に発表されたデータをもとに、種子が食品として一般的に利用されているルピナス種に焦点をあて、それら種子に含まれるキノリジジンアルカロイド毒性と濃度、アレルゲン性および他のマメ科植物のアレルゲンとの交差反応性などについて評価し、その結果を意見書として発表した。

【別添:BfR】コーヒー、エナジードリンク、カフェインパウダー:健康上のリスクのあるエネルギー供給剤?

 ドイツBfRが、カフェインを含む食品に関するQ&Aを発表した。とくに、エナジードリンク、エナジーショット、フードサプリメントとして販売されるカフェインパウダーに着目している。Q&Aには、カフェイン摂取による健康への影響(EFSAの2015年評価をもとに)、表示等の規制概要、製品に含まれるカフェイン以外の成分(タウリン、イノシトール、グルクロノラクトン)による影響、エナジードリンクと心疾患リスクに関するヒト研究の概要などがまとめられている。

(注目記事のまとめ:安全情報部第三室)

目次

【FAO】

1. 世界食料フォーラム2025は、連帯、科学、投資を通じて農業食料システムを変革する新しいグローバルな取り組みを確約

2. 進歩を写真にする

3. Codex

【EC】

1. 廃棄物枠組み指令の改正が発効し、繊維分野での資源循環が促進され、食品廃棄物が削減される

2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【ECHA】

1. 5カ国当局が更新されたPFAS規制案の概要を発表

【EFSA】

1. 使用中の食品接触物質からのマイクロ及びナノプラスチックの放出に関する文献レビュー

2. データフローマッピング方法論の欧州概要報告書

3. 食品酵素関連

4. 食品接触物質関連

5. 農薬関連

6. ポッドキャスト

【FSA】

1. 葉酸

2. 医療・社会福祉施設において提供される食品の栄養基準(改訂)

3. 食用油の真正性試験のための既存及び新規分析法のレビュー

4. 非包装食品のアレルゲン情報:消費者の経験、行動、態度

5. 非包装食品のアレルゲン情報:消費者と食品サービス従事者からの主な調査結果

【FSS】

1. 新たな研究で、スコットランドの子供が肉と乳製品の摂取量を減らすことのリスクとベネフィットが明らかになった

【COT】

1. COT会合:2025年10月21日

【FSAI】

1. 食品警告:Life Extension社のフードサプリメントには、食品には認可されていない医薬品(メラトニン)が含まれている

【BfR】

1. 金属製のキッチン用品:物質は食品に移行する? 地方自治体の結果によると懸念する必要はない

2. アルカロイドとアレルゲン:食品に含まれるルピナス(ハウチワマメ)の種子による健康リスクに関する最新データ

3. 健康の観点からは、ヨウ素酸カリウムやヨウ素酸ナトリウムを添加した塩は、「ヨウ素添加塩」という簡略化された名称で十分

4. 「永遠の化学物質」の追跡:PFASのヒトの健康リスク評価に関するBfRの国際会議

【ANSES】

1. 環境保護のため化粧品におけるオクトクリレンの使用を制限

2. フィトファーマコビジランス:欧州における唯一のこの種の制度の10周年を記念

【CAFIA】

1. CAFIA、輸入された偽装缶詰肉を市場で発見

【FDA】

1. 鉛含有量が高いため、FDAの公衆衛生警告にシナモン製品が追加された

2. FDAは鉛が溶出する可能性のある輸入調理器具について警告を発する:2025年8月

【EPA】

1. EPA、フタル酸エステル類に関する科学諮問委員会の会議議事録及び最終報告書を公表

【CFIA】

1. 植物性食品に含まれる表示されていないアレルゲン及びグルテン(2021年4月1日〜2022年1月31日)

2. 市販食品中の表示されていないグルテンに関するターゲット調査2件(2022年4月1日〜2023年3月31日)

3. リコール情報

【NSW】

1. ベリー類の検査データの共同レビューは農薬の誤使用の証拠はないことを示す

【香港政府ニュース】1. 違反情報

2. リコール情報

【MFDS】

1. 日本産輸入食品の放射能検査の結果

2. 食品タイプの分類改編案は確定していません

3. 秋夕法事用食品の一斉点検の結果、違反業者165カ所を摘発・措置

別添

【BfR】コーヒー、エナジードリンク、カフェインパウダー:健康上のリスクのあるエネルギー供給剤?

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.22(2025.10.29)
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2025/foodinfo202522c.pdf
食品安全情報(化学物質)No.22(2025.10.29)別添
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2025/foodinfo202522ca.pdf