ピーナッツは渋皮付きで1日20粒がお薦めという理由

ピーナッツ
渋皮付きのピーナッツ

つかぬことをお聞きしますが、貴方は皮付きピーナッツと皮むきピーナッツ、どちらが好きですか? 私? どちらも好きです。しかし、できるなら皮付きを食べた方がいいという説がある。

渋皮にポリフェノール

ピーナッツ
渋皮付きのピーナッツ

 ピーナッツ本体を包む赤茶色の「渋皮」には、ブドウの皮や赤ワインにも多く含まれる。特筆すべきが、抗酸化作用のある「ポリフェノール」の一種「レスべラトロール」が豊富に含まれているということだ。このレスべラトロールは非常に抗酸化力が強いポリフェノールで、悪玉コレステロールを減少させて動脈硬化を防ぎ、心臓病やがんを予防する効果が高いというのである。

 2006年11月初旬、米国ハーバード大学と米国立老化研究所(NIA)がレスべラトロールに関する画期的な共同研究結果を発表した。ハーバード大学がレスべラトロールを肥満のマウスに大量に投与したところ、肥満による悪影響が減少し「寿命が延びる」ことを認めたという。

 ということで、ピーナッツの健康的効能を余すことなく摂取するのなら、皮付きをお薦めするということなのである。

 さて、ピーナッツの基本的なことだが、このマメ科の1年生植物は原産地が南米アンデス地方と推定されている。ペルー北部のリマ地方にある紀元前850年頃の遺跡から、ピーナッツの種子が発見されたことから、そう考えられている。

落花生の収穫
ピーナッツ(落花生)の収穫

 これが現在のように世界に広がるきっかけとなったのが大航海家コロンブス。1492年、コロンブスが西インド諸島を発見した際に、現地のインディオがピーナッツを食料にしているのを知り、航海時の食料向きだと船に持ち込んだ。これがきっかけとなって世界各国に伝播されたという。

 ピーナッツが別名「南京豆」と呼ばれていることから、中国を経て日本に持ち込まれたことは確かなことだろうが、中国ではもう1つの名前「落花生」で呼ばれ、これも日本で通用する呼称だ。“落花生”――ピーナッツは5月中旬から6月にかけて種を蒔く。約2カ月後に花を咲かせ、花が散った(落ちた)後、花の子房柄(実になる部分)が地中にもぐり、土の中で実を結ぶ。だから「落花生」だという。

オレイン酸とリン脂質が豊富

 実は中国ではもう1つ名前がある。「長寿花」――中国漢方ではそう呼ばれている。ピーナッツには優れた滋養強壮と“益寿”(養生)効果があるからだそうだ。効能は大きく分けて3つあり、「消化吸収を助けて胃腸の働きを整える“健胃”」「貧血を予防・改善する“増血”」「体のさまざまな部分に潤いを与える」作用だ。潤いは乾燥している腸にももたらされ、結果、便秘が改善されるという効果もあるそうだ。

 では、現代医学的な観点ではどのような効能が期待できるのだろうか。

 ピーナッツの機能性でとくに注目されるのが、不飽和脂肪酸の一種「オレイン酸」である。食品成分表によれば、日本の在来種のピーナッツの脂質は49.5%であり、約半分が脂肪分ということがわかる。そして、その脂質を構成する成分の半分近くが前述のオレイン酸なのである。

 オレイン酸の機能性として第一に挙げられるのが「中性脂肪やコレステロールを減らす作用に優れている」こと。中性脂肪やコレステロールの蓄積による動脈硬化を予防することで、それを原因とする脳や心臓の疾患や糖尿病などの生活習慣病を遠ざけることが期待できる。

 さらにピーナッツの場合、豊富に含まれている「リン脂質」も注目される。リン脂質は細胞膜を作る成分であり、リン脂質が十分に体内に摂取されないと、日々行われる細胞の生まれ変わりに支障が出てきて、結果、老化や病気の原因となる。リン脂質は継続的に摂取すべき栄養成分なのだ。

 リン脂質にはまた、「レシチン」という物質が多く含まれている。レシチンは体内に入ると「アセチルコリン」という物質に変化する。このアセチルコリンが脳に到達すると神経伝達物質となる。

 脳の中の神経伝達物質は、記憶学習能力をつかさどる重要な物質である。したがって、神経伝達物質が減少することで、記憶学習能力が衰え、記憶力の低下や痴呆症の原因となるとされている。こうした症状を防ぐためにはピーナッツが有効というわけである。「ピーナッツを食べると頭がよくなる」という説があるが、こうしたことが根拠となっているようだ。

 とはいえ、脂肪分が多いというのは気になるという向きもあるだろう。しかし、要するに食べ過ぎなければいいわけで、1日20粒程度がお薦めの量だそうだ。

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ジャーナリスト あさひ・としひこ 旅行会社勤務の後、スーパーマーケット専門紙「流通ジャーナル」、海外旅行専門誌「トラベルタイムス」(オータパブリケイションズ)、同「トラベルマネジメント」(トラベルコンサルタンツ)での社員編集者勤務を経て、1996年よりフリーランス。「夕刊フジ」「サンケイスポーツ」などで健康および医療・医学分野の契約ライターを担当。その後、「週刊新潮」で連載コラム「よろず医者いらず」、夕刊フジで一般食品の健康的効能を紹介する「旭利彦の食養生訓」、飲食業界専門誌「カフェ&レストラン」で「カフェのヘルシー研究」、経済雑誌「経済界」で50代以上の男性に向けた健康コラム「経営者のための“自力”健康法」を連載。現在は食品専門誌「食品工業」(光琳)、スーパーマーケット専門誌「週刊ストアジャパン」、医療専門誌「月刊/保険診療」(医学通信社)で取材・執筆活動を行っている。主な著書に「よろず医者いらず」(新潮社)、「カフェの『健康食材』事典」(旭屋出版)など。