手洗い場は店の飾りではない

 食料自給率上昇の決め手となる子実トウモロコシの国産化に取り組む生産者の研究会もいよいよ具体的、実践的、かつ面での拡大を正確に見据えたものになってきました。飼料や食品原料に求められる子実トウモロコシの生産は、日本国内に燎原の火のように広がっていくでしょう。

 この動きはやがて、食料自給率問題に終止符を打ち、日本の農村・農業経営の立て直しの大きな一手となり、さらに国際的な食糧価格安定にも貢献していくでしょう。

 トウモロコシの国内生産普及の旗振り役となっている農業技術通信社から、千葉・成田での新しい現地検討会の案内が入りましたのでお知らせします。

※下欄「お知らせ」第2回:水田での子実トウモロコシ生産に関する検討会 in 成田 参照。

 昨日発表された外食産業市場動向調査(日本フードサービス協会)の2014年9月の数字はまた厳しいものでした。

 全体の客数前年割れが6月以来4カ月連続し、売上高前年割れは2月以来8カ月連続を更新しました。

 業種別で最も厳しい数字が出たのは洋風ファストフードで、8月に続き客数、売上高ともに2桁減と深刻な状況が続いていたことがわかりました。

 また、居酒屋の売上高前年割れは遂に30カ月連続となり、この先はニュースにもならないというところにきています。

 一方、麺類ファストフード、その他ファストフード、和風ファミリーレストラン、焼き肉、パブ・ビアホール、ディナーレストラン、その他は、客数、売上高ともにプラスの結果が出ています。

 エボラ出血熱については、いよいよ日本国内での感染アウトブレイクに対して個々人が備えるべき段階に入ったようです。多くの人に集まってもらうことが仕事である外食業、小売業にとっては無視できない危機です。

 感染症予防には地域の保健所や医療の専門家の話をよく聴くことが大切ですが、小学校で習う公衆衛生の基本のキは押さえておきたいと思います。すなわち、手洗いの励行です。

 手洗いですべてが解決するわけではありません。しかし、日本では手洗いをきちんとするためには新たな設備投資が必要ということはまずありません。手洗いは、取り組みやすく、やったこと自体が失敗となる可能性はほとんど考えられない防衛策です。外から帰ったら、外から来た物品に触れたら、まず手を洗う――調理の前、提供の前、食事の前に必ず手を洗うこと。それだけで多くの感染症から自身と身の回りの人を守ることができます。

 多くの自治体は、飲食店に客席と調理場とトイレに独立した手洗い場の設置を求めています。それは営業許可を受けるための飾りでも荷物棚でもありません。食中毒、風邪、インフルエンザ等を含む各種の感染症から、顧客、従業員、そして店を守るために、店に着いたらまず手を洗ってもらうように、上手に伝えたいものです。

 多くの人が手洗いの習慣を改めて身に付けることは、その場の衛生レベルを上げるだけでなく、人々の公衆衛生に対する意識も高めることにもなるでしょう。

※このコラムはメールマガジンで公開したものです。

齋藤訓之
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Food Watch Japan編集長 さいとう・さとし 1988年中央大学卒業。柴田書店「月刊食堂」編集者、日経BP社「日経レストラン」記者、農業技術通信社取締役「農業経営者」副編集長兼出版部長等を経て独立。2010年10月株式会社香雪社を設立。公益財団法人流通経済研究所客員研究員。昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。日本フードサービス学会会員。戸板女子短期大学食物栄養科非常勤講師。東京栄養食糧専門学校非常勤講師。亜細亜大学経営学部ホスピタリティ・マネジメント学科非常勤講師。著書に「有機野菜はウソをつく」(SBクリエイティブ)、「食品業界のしくみ」「外食業界のしくみ」(ともにナツメ社)、「農業成功マニュアル―『農家になる!』夢を現実に」(翔泳社)、共著・監修に「創発する営業」(上原征彦編著ほか、丸善出版)、「創発するマーケティング」(井関利明・上原征彦著ほか、日経BPコンサルティング)、「農業をはじめたい人の本―作物別にわかる就農完全ガイド」(監修、成美堂出版)など。※amazon著者ページ →