シンポジウム「有機農業と遺伝子組換え作物」報告(3)

“Tomorrow’s Table: Organic Farming, Genetics, and the Future of Food” Pamela C. Ronald, Raoul W. Adamchak
「有機農業と遺伝子組換え食品 明日の食卓」(椎名隆、石崎陽子 訳)

2011年12月、シンポジウム「有機農業と遺伝子組換え作物~将来の90億人を養うために今考えること」が開催された。出席したNPOくらしとバイオプラザ21の佐々義子氏に、その報告を記してもらった。生産者の立場からの指摘と、除草剤耐性植物出現に対する考え方。

有機・慣行とも生育のしくみは同じ

「現場ノート~有機農場から」
森田良彦氏(森田農場)

 私は農家の3代目として農業高校を卒業し、家業である農業を継ぎました。昔は肥料と言えば、家畜糞とか、し尿を醗酵させたものでした。その後、農業高校を卒業した頃は既に化学肥料を少し使うようになっていました。

 平成4(1992)年、行政から環境保全型農業の勉強会に参加しないかと話がありました。スーパーマーケットの店主と出会い、4時間ほど野菜のことを話しました。その中で、有機肥料でも化学肥料でも、野菜を育てるしくみは同じであって、施肥をし過ぎると病気や害虫の発生が多いと思われることを話しました。その後、私はこの会のリーダーとなりました。

 このごろ、有機栽培の野菜はおいしいとされています。私は、有機栽培という言うのは、醗酵と、物理性・化学性・生物性のバランスが大切であると思っています。これは今も勉強中です。

 農家は代々、種を守ってきました。ですから、一粒の種は命をつなぐ大切なものです。そして農業は「生命維持産業」だと思っています。

除草剤耐性はGM以前からの問題

「遺伝子組換え作物の栽培と除草剤抵抗性雑草の出現」
冨永達氏(京都大学農学研究科)

 自然に生えている雑草にも非常にたくさんの個体のうち、1つくらいは、もともと除草剤抵抗性を自然条件下で獲得した雑草が存在している。

 前年のGMトウモロコシがダイズ畑に生えると、これも雑草になる。雑草とは、栽培の主目的でない植物が生えれば、それは雑草。除草剤と抵抗性のいたちごっこは遺伝子組換えかどうかに関係ない。

対策

・グリホサート以外の除草剤を使う
・同じ作物ばかり作らず、ローテーションする
・除草剤散布以外の除草方法を併用する

 メーカーも対策剤を製造するなどの対応策も練られている。一方、オーストラリアでは7種類の除草剤に抵抗性をもつ雑草が観察されている。

質疑応答
Q 害虫の抵抗性のいたちごっこの加速度が上がっていると聞いたが、抵抗性雑草の進化の速度も速くなっているのか。
A 熱帯だと散布回数が増えて、雑草の世代交代が早いので抵抗性雑草の出現は早まると考えられる。

〈続く→シンポジウム「有機農業と遺伝子組換え作物」報告(4)〉

〈初回から読む→シンポジウム「有機農業と遺伝子組換え作物」報告(1)〉

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くらしとバイオプラザ21常務理事 さっさ・よしこ 1978年立教大学理学部物理学科卒業。1997年東京農工大学工学部物質生物工学科卒業、1998年同修士課程修了。2008年筑波大学大学院博士課程修了。博士(生物科学)。1997年からバイオインダストリー協会で「バイオテクノロジーの安全性」「市民とのコミュニケーション」の事業を担当。2002年NPO法人くらしとバイオプラザ21主席研究員、2011年同常務理事。科学技術ジャーナリスト会議理事。食の安全安心財団評議員。神奈川工科大学客員教授。