食品安全情報(化学物質)No.09(2012.05.2)

国立医薬品食品衛生研究所が月2回発表している「食品安全情報」(化学物質)。ECのSCENIHRはリスク評価の際の科学文献の取り扱い方を明確にした。FDAは食品や化粧品にナノテクを利用する際のガイドラインを発表。またDMAA(1,3-ジメチルアミルアミン)含有製品を販売している10社に警告。KFDAは青少年向けに、“エナジードリンク”などによるカフェインの取りすぎについて注意喚起を行う。

注目記事

【EC】根拠の甘い科学文献はリスク評価を行う上で考慮する必要なし

 新興健康リスクに関する科学委員会(SCENIHR)は、ヒトが暴露される可能性のあるストレス要因のリスク評価に焦点を絞って、公表されている科学文献の根拠をどう捉えるか、また専門家の判断にどう利用するかについての覚え書きを発表した。

※ポイント:この覚え書きは、リスク評価での最終意見を作成する時に、どのような科学文献の根拠を考慮すべきかを示したものです。当然ながら、予備的な研究や研究の質が十分でないものなどは、最終意見には考慮する必要がないと判断されています。ストレス要因に焦点を絞っていますが、他のリスク評価にも応用できるものになっています。

【FDA】FDAはナノテクノロジーについてのガイダンス案を発表

 米国食品医薬品局(FDA)は、食品及び化粧品産業によるナノテクノロジーの使用についての2つのガイダンスドキュメント案を発表した。食品ガイダンスでは、ナノテクノロジーの使用により、食品成分の同一性、安全性、規制状態、FDAへの認可申請などに相当な変化が生じるかどうか、食品業者が考慮すべき要因について説明している。

※ポイント:ナノテクノロジーを利用した食品や化粧品の販売するときに、どのようなことを考慮すべきかを説明しています。今回は90日間の意見募集なので、正式なガイダンスの公表は半年後あたりになると思われます。

【FDA】FDAは安全性についての根拠のないDMAA製品の販売に警告

 米国FDAは、一般名DMAAとして知られるジメチルアミルアミンを含むサプリメントを製造・販売している10社に対し、安全性に関する根拠が提出されていないとして警告文書を送付した。

※ポイント:食品安全情報(化学物質)No.7で、米国国防総省が軍の施設でDMAAを含む製品の販売を一時的に中断したことを紹介しました。この理由は、2人の兵士の死亡を含む重大な健康影響が報告されたためでした。今回FDAは、因果関係は確立されていないものの、これまでにDMAA含有製品による有害事象が42件確認していると報告しています。

 日本でも、「ジェラナミン」という名称のサプリメントや、「天然ハーブ“ゼラニウム”を原料に使用した製品」として販売されているようなので注意が必要です。

【KFDA】子ども、青少年の皆さん、高カフェイン飲料に注意してください!

 韓国食品医薬品安全庁(KFDA)は、子ども及び青少年による無分別な高カフェイン飲料摂取を予防するため、安全なカフェイン摂取について情報提供するための広告用ポスターを製作し、全国の中・高等学校などへ配布する予定だと発表した。ポスターには、食品中のカフェイン含量、カフェインによる人体影響、高カフェイン飲料の確認方法などを記載している。

※ポイント:日本では騒がれていないようですが、海外ではカフェインの多量摂取が問題になっています。とくに問題視されているのは“エナジードリンク”などとして販売されているものです。“エナジードリンク”の中には覚醒作用などを目的にカフェインが添加されているものがあり、気付かないうちに多量摂取してしまう可能性があるので注意が必要です。

食品安全情報へのリンク

「食品安全情報」

http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(化学物質)No.09(2012.05.02)

http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2012/foodinfo201209c.pdf

今号の目次

【EC】
1. ビタミンやミネラルの添加
2. EU減塩枠組みの実施 加盟国調査の結果
3. 食品獣医局(FVO)視察報告書
4. SCENIHR-ヒト健康リスク評価のための科学文献の利用についての覚え書き-根拠の重み付と不確実性の表現
5. RASFF予備的年次報告書2011
6. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. ビスフェノールA:EFSAは暴露と低用量影響の可能性に焦点を絞った完全再評価を開始
2. 食品添加物としての植物炭末色素(E 153)の再評価についての科学的意見
3. 食品添加物としての提案されている使用によるアルギン酸エチルラウロイルの改訂暴露評価
4. EFSAのアスパルテーム再評価は2012年9月末までに実施
5. 香料グループ評価

【FSA】
1. アクリルアミド及びフランの調査結果発表

【COT】
1. 2012年3月20日の会合の議事録
2. 2012年5月8日の会合の議題

【BfR】
1. 乳児用ミルク及びフォローアップミルクのアルミニウム含量

【RIVM】
1. 未承認GM動物及びGM製品のオランダへの導入の可能性
2. オランダの子どもと成人のヨウ素摂取:オランダ全国食品摂取量調査2007~2010年の結果

【FDA】
1. FDAはナノテクノロジーについてのガイダンス案を発表
2. 食品報告登録制度の年次報告書
3. FDAは輸入製品の品質や安全性を確保するための国際協力を強化
4. FDAは安全性についての根拠のないDMAA製品の販売に警告
5. リコール:XROCK INDUSTRIES, LLCは男性性機能増強用サプリメントとして販売されていたX-ROCKを、表示されていない有害な可能性のある成分が含まれるため全国で自主回収する
6. Fatima BrothersはShad Javantri(ホールメース、香辛料)に表示されていない亜硫酸の警告を発表
7. 警告文書(2012年4月17日、24日公表分)
8. 一般向け通知

【USDA】
1. USDAは残留物質基準遵守改善と繰り返し違反する施設への検査を増やす措置を発表
2. 緑茶葉及びサプリメントを分析

【FSANZ】
1. FSANZは亜硫酸調査を発表
2. 食品基準改定No.130 (FSC 72)
3. 食品基準の変更案に意見募集

【NZFSA】
1. アクリルアミドの調査結果は良好

【香港政府ニュース】
1. 2食品のリコール
2. 6食品が安全性検査に不合格
3. 自然毒による食中毒(2件)

【KFDA】
1. 日本の原子力発電所関連の食品医薬品安全庁の対応と管理動向
2. 子ども、青少年の皆さん、高カフェイン飲料に注意してください!
3. 食品添加物、食品になぜ必要か? -食品添加物の用途に関するリーフレット発刊•配布–
4. 毒草と山菜を混同しないでください!-山菜と誤認した野生植物の摂取による食中毒4~5月に集中的発生-

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から

登田美桜
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国立医薬品食品衛生研究所安全情報部第三室主任研究官 とだ・みおう 農学博士。国立医薬品食品衛生研究所は、医薬品、食品、その他生活環境中に存在する物質について、品質、安全性、有効性を評価するための試験、研究、調査を行う機関。 安全情報部の「食品安全情報」は、食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報を伝える。