食品安全情報(化学物質)No.23(2011.11.16)

国立医薬品食品衛生研究所が月2回発表している「食品安全情報」(化学物質)。EUの残留農薬に関する報告書が発表されたが、その健康影響評価の考え方に注目したい。FTAが暫定発効となった韓国・EUは、食品に対する消費者の認識と科学的リスク評価についてシンポジウムを行った。FDAは食品照射について消費者向けの説明を行っている。

注目記事

【EFSA】食品中残留農薬に関する2009 EU報告書を発表

 EU加盟国及びEFTA(欧州自由貿易連合)加盟国の食品中残留農薬に関する2009年報告書が公表された。2009年は参加国全体では約300の食品について検査されており、全体の97.4%は基準に適合していた。

 本報告書で注目すべきなのは、最大残留基準(MRL)を超過して基準に不適合と判断されたものについては、その食品の摂取量と残留農薬濃度をもとに、短期(急性参照量ARfDとの比較)と長期(一日許容摂取量ADIとの比較)の健康影響を評価していることである。

 食品で農薬の残留が見つかった時によく問題にされるのは“濃度”であるが、本来重要なのは、検出された濃度だけではなく、その食品をどのくらい食べているか、そしてその食品を食べた時に摂取する農薬の量がどのくらいになるのかを推定することである。

 今回のEFSAの報告書では2.6%が基準に不適合という結果だったが、摂取量をもとに健康影響を評価したところ健康上の懸念はないと結論されている。

【BfR】国際貿易時代の安全な食品?

 韓国とEUの自由貿易協定(FTA)を背景に、2010年7月には韓国食品医薬品庁(KFDA)とドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)が食品と飼料の科学的リスク評価の分野で協力協定を結んでいる。これは食品の安全性向上と食品由来リスクのコミュニケーションのための情報交換が目的である。

 これに関連して2011年11月7日、8日の2日間、ソウルでシンポジウム「国際貿易時代の安全な食品? 消費者の認識と科学的リスク評価の会話」が行われた。

【FDA】食品照射:あなたが知る必要のあること

 食品照射(食品にイオン化放射線を当てること)は、微生物や昆虫を削減または排除することで食品の安全性を向上させ日持ちを良くする技術である。そのため、米国では食品衛生上の有効性が高いとしていろいろな食品に利用されている。今回の記事は、食品照射についての消費者向け説明文である。

食品安全情報へのリンク

「食品安全情報」
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.23(2011.11.16)
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2011/foodinfo201123c.pdf

今号の目次

【EC】
1. FVO視察報告書(ギリシャ、チリ、ポルトガル)
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 報告書は残留農薬の基準適合率が継続的に上昇していることを示す
2. 芥子の実に阿片アルカロイドが存在することによる公衆衛生リスクについての科学的意見
3. 食品と飼料中のピロリジジンアルカロイドに関する科学的意見
4. 昆虫耐性除草剤耐性遺伝子組換えトウモロコシMON 88017の栽培目的での市販申請についての科学的意見
5. MON810トウモロコシ花粉の食品中への存在または食品としての安全性に関する声明
6. 飼料添加物に関する科学的意見
7. 香料グループ評価

【FSA】
1. より明確なアレルギー表示
2. 英国国家管理計画発表
3. 多動と関連する色素を含まない製品更新

【BfR】
1. 国際貿易時代の安全な食品?
2. 安全な食品――たとえバイオまたはアグロテロリスト攻撃により被害を受けても

【FDA】
1. 食品照射:あなたが知る必要のあること
2. 警告文書(2011年11月8日掲載分)
3. Keime 社dba Barry’s VitaminsはVirility Maxダイエタリーサプリメントを全国リコール

【EPA】
1. EPAは家庭用の20の殺鼠剤製品の使用を中止するための次の手続きを開始する/有害化学物質への事故による暴露を削減する対策
2. EPAは硫化水素を有害物質排出リスト要求対象に復帰させる

【USDA】
1. USDAはリスク評価とルール作成プロセスの改善を発表

【CFIA】
1. Dow AgroSciencesカナダ社からの除草剤耐性遺伝子組換え大豆の新規食品、家畜飼料および環境放出認可申請に関する通知
2. ブリティッシュコロンビアで採取されたある種の生鮮イガイに麻痺性貝毒が含まれる可能性がある

【FSANZ】
1. リコール:乾燥海藻
2. FSANZは生のアプリコットカーネル(仁)を食べないよう警告する
3. ファクトシート:Paterson’s Curse/Salvation Jane(エキウム)ハチミツ
4. キャッサバとタケノコを食べる前の準備
5. 食品基準通知
6. FSANZは加工助剤申請について意見募集

【APVMA】
1. 脊椎動物毒素1080の現在の規制状態は?

【TGA】
1. 安全性助言
2. TGA及び税関・国境警備局は偽造および違法医薬品のオンライン販売に共同戦線を張る

【香港政府ニュース】
1. 違法肉に対応

【KFDA】
1. 日本原子力発電所関連食品医薬品安全庁対応及び管理動向(17)
2. 食品医薬品安全庁、有害汚染物質安全管理総合計画推進
3. 使い捨て紙コップ、何でも質問してください

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から

登田美桜
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国立医薬品食品衛生研究所安全情報部第三室主任研究官 とだ・みおう 農学博士。国立医薬品食品衛生研究所は、医薬品、食品、その他生活環境中に存在する物質について、品質、安全性、有効性を評価するための試験、研究、調査を行う機関。 安全情報部の「食品安全情報」は、食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報を伝える。