食品安全の責任はみんなが共有

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.25(2019.12.11)を発表した。

注目記事

【SFA】食品情報

 2019年4月1日に食品安全と食料安全保障を管轄する食品専門の機関として設立されたシンガポール食品庁(SFA)が、食品安全は共同責任であると指摘する。消費者として、我々全員が自分たちの食品が安全であることを期待する。しかし、食品は生産の段階から消費するまでの間に不適切な扱いをすると汚染される可能性がある。食品安全を確かなものにすることは、政府、食品企業、消費者の共同責任である。全ての関係者が食品安全の確保に役割がある。さらにSFAは食品安全の公的教育計画も行っている。

※ポイント:この「食品安全は共同責任」という考え方は、食品安全の取り組みの基本です。国連の世界食品安全デー(毎年6月7日)の今年のテーマも「食品安全はみんなの仕事」(Food safety, everyone’s business)でした。日本の「食品安全基本法」においても関係者の義務・役割として、国の責務および地方公共団体の責務、食品関連事業者の責務、消費者の役割、が明確に記されています。フードチェーンのどこかの人だけが取り組めばよいというわけではなく、すべての人が各自やるべきことをすることで食品の安全性が十分に確保されるということです。

 SFAは、「海産物中の重金属」と「上海ガニのダイオキシン」についての情報提供も行っていて、その中でもSFA自身の役目(政府)、食品企業、消費者がそれぞれできることを紹介しています。

【EFSA】パブリックコメント募集:オクラトキシンA

 EFSA(欧州食品安全機関)は、食品中のオクラトキシンA(OTA)(ペニシリウム属やアスペルギルス属などの菌類により天然に産生されるマイコトキシン)の存在に関連した公衆衛生リスクについての科学的意見案を発表し、パブリックコメントを募集している。OTAの蓄積による標的臓器は腎臓である。EFSA は2006年にも食品中のOTAに関してリスク評価を実施しているが、その後の新しい情報を考慮して再評価を実施した。

※ポイント:OTAの遺伝毒性については、これまでもin vitro とin vivoで確認されていましたが、その作用機序が明らかにされていないため不確実性が高いとされています。前回のリスク評価では暴露マージン(MOE)アプローチがまだ導入されていなかったので、ブタの腎臓毒性をエンドポイントに得られた最小毒性量(LOAEL)から健康影響に基づくガイダンス値(HBGV)として耐容週間摂取量(TWI)を設定しました。一方今回は、遺伝毒性の作用機序に関する不確実性が増しているとして、HBGVは設定せず、ベンチマーク用量(BMD)をもとにMOEアプローチを導入しています。

 時代とともに入手可能なデータも増え、食事事情も評価のアプローチの仕方も変わるので、定期的に再評価を行う必要があることがわかるよい例だと思います。今回発表された意見はまだ案の段階なので、寄せられたコメントを考慮した最終版は来年に公表されるでしょう。

【BfR】食品中マイコトキシンを懸念している人が増加している

 ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)が6カ月ごとに実施している消費者の意識調査の結果を報告した。消費者はこれまでと同様に質の悪い不健康な食事、気候および環境汚染、喫煙を最も大きな健康リスクと考え、前回よりマイコトキシンへの懸念が増加した。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.25(2019.12.11)
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2019/foodinfo201925c.pdf

今号の目次

【FAO】
1. Codex

【EC】
1. ファクトシート 健康環境新興リスクに関する科学委員会はどうやって人々と環境を守るのに役立っているのか? 
2. 査察報告書
3. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. パブリックコメント募集:オクラトキシンA
2. 新規食品関連
3. 食品酵素関連
4. 食品と接触する物質関連
5. 農薬関連
6. 飼料添加物関連

【BfR】
1.年次報告書(コンパクト)2018
2. 食品中マイコトキシンを懸念している人が増加している

【ANSES】
1. 加工品における食品添加物使用の変化

【FSAI】
1. 食品会議は我々のプラスチック包装の使用を探る
2. シラチャーホットチリソースは内容物の噴出の恐れのためリコール措置

【FDA】
1. FDAは安全性の懸念を詳細に示し、カンナビジオールを含む製品各種を違法に販売する15企業に警告する
2. リコール情報
3. 公示:Detox Plusは表示されない医薬品成分を含む
4. 警告文書

【FTC】
1. FTCは販売業者に虚偽の関節治療宣伝をやめさせる

【CFIA】
1. 2019-11-25食品安全検査報告

【FSANZ】
1. 食品基準通知

【TGA】
1. FAQ スポーツサプリメント提案と意見募集
2. 外用医薬品リストのクマリンの安全性レビュー
3. 中-高程度リスクの許容成分への変更:センシンレン
4. 安全性警告

【MPI】
1. リコール情報
2. Villa Maria ブランドのLightly Sparkling Rosé 2018

【香港政府ニュース】
1. 包装漬物のサンプルから基準値超過の保存料が検出され、食品表示規則に違反
2. 違反情報

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 食品医薬品安全処、健康コミュニケーション専門家と会い「危機管理システム」の議論
3. 麦芽粉製品、輸入者自らが安全性を証明すれば輸入可能
4. 食品医薬品安全処、国際的なレベルの毒性評価のための協力強化
5. 回収措置

【SFA】
1. 食品情報
2. 海産物中の重金属
3. 上海ガニのダイオキシン

【FSSAI】
1. 無責任な広告は重大な懸念
2. 乳及び乳製品の安全と品質行動計画
3. 食品安全執行の改善:2018-19データ発表
4. メディアコーナー

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(EurekAlert)研究:米国の天然向精神物質に関する中毒コントロールセンターへの電話が増加している
・(EurekAlert)私たちはコーヒー、紅茶、チョコレート、ソフトドリンクがとても好きなので、カフェインが文字通り血の中にある
・(EurekAlert)貝の伝染するがんが大西洋を越えて拡大している
・(EurekAlert)ある種のネオニコチノイドの使用はマルハナバチに利益がある可能性がある、新しい研究が発見
・(EurekAlert)ネオニコチノイド:EUのモラトリアムにも関わらず、ミツバチはまだリスクに
・(EurekAlert)ピーナッツと卵を早期に導入することはハイリスク乳児の食物アレルギーを予防できる