EUがネオニコ類の制限強化

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.10(2018.05.09)を発表した。

注目記事

【EFSA】緑茶カテキンの安全性に関する科学的意見

欧州食品安全機関(EFSA)は、緑茶に含まれるカテキンの安全性について、とくに(-)-エピガロカテキン-3-ガレート(EGCG)の摂取と肝臓毒性の関連性に着目した科学的意見を発表した。伝統的な方法でいれた緑茶侵出液のカテキン類と、それと同等の組成となるよう希釈された飲料については、欧州加盟国の摂取量での推定によると安全であるとみなされる。

EFSAのパネルは、介入臨床試験のレビューから、フードサプリメントとして1日当たり800mg以上のEGCGを摂取すると、対照群と比較して血清トランスアミナーゼの統計学的に有意な増加が誘発されることを示す根拠が得られていると結論付けた。

※ポイント:EFSAは、通常のお茶(浸出液)として飲む場合ではなく、フードサプリメントとして緑茶の抽出物や濃縮物の摂取を問題にしている点が重要なポイントです。

【FTC】FTCとFDAは、ジュースパッケージ、キャンディおよびクッキーなどの子供向け製品に似せた電子タバコ液で子供を誘惑している会社に対して措置を講ずる

若年者をニコチンやタバコ製品の害から守るために実施中の取り組みの一環として、ジュースパッケージ、キャンディおよびクッキーなど、子供向けの食品によく似たパッケージや広告を用いて、電子タバコで使用する液(e-リキッド)を販売していた製造業者、卸業者および小売業者に対し、米国連邦取引委員会(FTC)と米国医薬品食品局(FDA)が合同で合計13件の警告文書を発行した。

※ポイント:製品のパッケージ例の写真が掲載されていて、見た目は果物ジュースとそっくりです。FTCとFDAは、若者が手にしやすいというのも問題にしていますが、とくに子供がジュースやお菓子と間違って口にする可能性について強く懸念しています。

【BfR】ジャガイモ中のソラニン

ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)は、ジャガイモ料理による中毒が発生したことを受けて、ジャガイモを適切に扱うよう注意を喚起している。さらに、中毒の原因となるジャガイモ中のグリコアルカロイド類(α-ソラニン、α-チャコニン)の無毒性量(NOAEL)を0.5mg/kg体重/日と導出し、摂取量がNOAELを超えないためには食用ジャガイモのグリコアルカロイド量を生鮮重量あたり100mg/kg未満とするよう勧告した。

【EU】ミツバチの保護:EUはミツバチに有害な殺虫剤の屋外での使用を全面的に禁止の方向へ

EUの常任委員会の加盟国代表は、3種類のネオニコチノイド類(イミダクロプリド、クロチアニジンおよびチアメトキサム)について欧州委員会が提案したさらなる使用制限を支持した。この3物質については屋外での使用が全面的に禁止されることになり、ミツバチとの接触が起こらないと考えられる常設の温室においてのみ使用が許されることになる。数週間のうちに欧州委員会で採択され、本年末までに適用されることになる。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.10(2018.05.09)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2018/foodinfo201810c.pdf

今号の目次

【WHO】

1. 国際がん研究機関(IARC)

2. WHOガイドライン案にパブリックコメント募集:成人と子どもの飽和脂肪とトランス脂肪摂取

【EC】

1. 食品偽装との闘い:欧州刑事警察機構および国際刑事警察機構の偽装生鮮ツナに対する活動への欧州委員会の貢献

2. ミツバチの保護:EUはミツバチに有害な殺虫剤の屋外での使用を全面的禁止の方向へ

3. 欧州委員会は食品の安全性に関する科学的試験の信頼性を高める活動を行う

4. 査察報告書:クロアチア

5. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】

1. EFSAの科学的評価への根拠の利用に関するPROMETHEUSの4段階アプローチの実施:利益・課題・必要事項および解決策

2. 緑茶カテキンの安全性に関する科学的意見

3. 農薬の確率論的累積食事暴露評価を行うための、MCRAソフトウェアに沿ったデータモデルの提案

4. 環境保護のために設けられた諸目標に関するリスク評価とリスク管理協力を議題としたVKMとEFSAの合同シンポジウムの概要報告

5. EUの見識―フードチェーンにおける新興リスクについての消費者の認知度

6. 農薬評価

7. 食品添加物としてのカラギーナン(E 407)と加工ユーケマ藻類(E 407a)の再評価

8. 飼料添加物関連

9. 食品と接触する材料関連

10. 遺伝子組換え関連

11. 香料グループ評価

12. EFSAのリスク評価研究集会

【FSA】

1. 2018年5月15日の社会科学委員会会合への招待

【DEFRA】

1. ネオニコチノイドのさらなる制限に合意

【BfR】

1. ジャガイモ中のソラニン

【RIVM】

1. 全国合意は塩と砂糖の摂取の僅かな改善につながった

【ANSES】

1. 農業で使用されるコハク酸脱水素酵素阻害(SDHI)殺菌剤:ANSESは専従専門家グループを発足させる

2. ANSESはクレオソートを含む製品の使用を制限する

3. ANSESは動物の福祉の定義を提案し研究と専門家による評価の基礎を築く

【FSAI】

1. FSAIはフッ化物への食事暴露に関するトータルダイエットスタディの結果を発表

【EPA】

1. EPA長官PruittはEPAの規制に使う科学を強化する規則を提案

【FTC】

1. FDAとFTCは、ジュースパッケージ、キャンディおよびクッキーなどの子供向け製品に似せた電子タバコ液で子供を誘惑している会社に対して措置を講ずる

【FSANZ】

1. 糖

【APVMA】

1. オーストラリアの農家は最新の農薬・動物用医薬品を世界で最初に利用できるようになる

【MFDS】

1.日本産輸入食品の放射能検査の結果

2. 健康機能食品の虚偽・誇大表示及び広告処罰強化

3. 大企業規模の違反業者に、より多くの課徴金賦課

4. ガルシニア・カンボジアエキスなど4種の摂取時注意事項策定

5. 食品医薬品安全庁、食品・医薬品安全管理に最善を尽くすことを表明

6. 国民が共感する輸入食品の流通管理実現

7. 子供が好む食品の調理販売店などの点検結果

8. 貝毒基準超過の海域及び品目

9. 回収措置

【その他】

・(ProMED-mail)パラコート-イスラエル:ヒト暴露、パーキンソン病

・(EurekAlert)水銀増加:我々の食べる魚は有毒?

・(EurekAlert)食品を輸入することは国内環境を傷害する

・(EurekAlert)パンガシウス(バサ)を続けて食べると危険な量の水銀に暴露される