FDA有害事象報告の公表へ

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.26(2016.12.21)を発表した。

注目記事

【FDA】FDAは食品と化粧品の有害事象報告の公表を開始する

米国食品医薬品局(FDA)の食品安全・応用栄養センター(CFSAN)が、食品やダイエタリーサプリメント、化粧品による有害事象報告のデータを四半期毎に公表すると発表した。

この有害事象報告システム(CAERS)は、FDAが食品や化粧品の安全性を監視するのに使う市販後調査ツールの一つである。普通の食品やダイエタリーサプリメント、化粧品の有害事象報告は主に消費者、医療従事者からなされ、これらの製品のうちダイエタリーサプリメント製造業者のみが法的に報告義務がある。

公表される有害事象のデータには医学的な事象だけでなく、味や色がおかしいなどの医学的でない事象も含まれる。これらデータの内容はFDAに報告された内容通りであり、必ずしも問題の製品が実際に報告された事象の原因であると決めているわけではない。このような有害事象データの公表を今後さらに改善していく予定である。

※ポイント:この発表は個人的にはとても衝撃を受けました。FDAは「透明性」ということを非常に重要視しているので、これまでにも食品安全の分野では残留農薬や汚染物質の検査データをあまり加工しないまま公表しています。FDAのそのような姿勢を興味深く、そして感心しながら見ていたのですが、有害事象のデータをもそのまま公表するとは想像しませんでした。

データには、発生日、製品名、事業者名、年齢、性別、事象内容(症状など)と転帰などが記されていて、誰もがそれを自由に閲覧できますし、興味のある人はこれらのデータをもとに分析することもできます。また、FDAが有害事象を集めることで、これまで多くの問題のある製品の警告や回収につながってきました。とくにダイエタリーサプリメントの有害事象が多く報告されています。

ダイエタリーサプリメントは日本では食品に含まれますが、そもそも日本には食品に関する有害事象を公的に集めるシステムがないので、今後はFDAのような有害事象報告のシステム作りが望まれるでしょう。

【カナダ】事業者向け通知:栄養表示、原材料リスト、食用色素の規制改定

ヘルスカナダは、消費者がより健康的な食品を選択できるように、包装済み食品の栄養表示と原材料リストをより分かりやすくするための規制改定を行う。事業者にとっては5年間の移行期間がある。

※ポイント:かなりの大幅改正で、見やすさだけでなく、消費者が食べている現実的な量に近づくようにしたり、糖質やミネラルの摂取量が理解しやすく変更されています。移行期間は5年間ありますが、カナダ向けに輸出を考えている事業者の方は注意しておくと良いでしょう。

【FDA】FDAは食事由来飽和脂肪およびコレステロールと冠動脈心疾患との関連について、より多くの生鮮果物・野菜に健康強調表示を認める暫定最終規則を発表

FDAはこれまで強調表示ができなかったある種の生鮮果物・野菜に食事由来飽和脂肪およびコレステロールと冠動脈心疾患(CHD)との関連について健康強調表示を拡大して認めるよう規則を改定した。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.26(2016.12.21)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2016/foodinfo201626c.pdf

今号の目次

【FAO】
1. 食品と、自然資源と、人間の才能の浪費が地中海農業と地域発展の重荷になっている

【EC】
1. 内分泌攪乱物質
2. GMOs:EUは使わなくなったGM油糧菜種の痕跡の段階的廃止期間を延長する
3. ビッグデータ研究は10分野での政策助言の概要を提示
4. TRACES年次報告書2015
5. 報告書は水産養殖部門の専門家レベルのコントロールと複雑な認可方法を発見
6. 食品獣医局(FVO)査察報告
7. 食品および飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 内分泌かく乱物質:EFSAとECHAはガイダンスについて作業を開始する
2. 食品添加物としてのβ-シクロデキストリン(E 459)の再評価
3. SSD2導入のパイロット計画
4. トレーニング:動物病原性感染症、人畜共通感染症病原体、抗菌剤耐性、食品由来アウトブレイクのデータ収集と報告
5. 動物病原性感染症、抗菌剤耐性、食品由来発生データのXML形式での電子申請の実施と試験
6. 食品中のトロパンアルカロイド
7. EFSA科学会議22―エピジェネティクスとリスク評価:私達の立ち位置は?
8. 既存と新興の植物の健康の脅威の監視、早期発見、報告のためのメディア監視ツールMedISysの開発とテスト

【FSA】
1. FSA北アイルランドは新しい表示規則について食品業界に再確認
2. 英国複数年国家管理計画の2015年次報告書を発表
3. Source Foodsは食品衛生規則に従っていなかったため各種オーガニックミソ製品をリコール
4. 化学物質含有のためLidl UKはKania Gravy Granules(肉、鶏肉製品)を商品回収

【MHRA】
1. 医薬品の宣伝
2. ホメオパシー医薬品あるいはレメディの登録
3. インチキ医薬品アドベントカレンダーでクリスマスまでカウントダウン

【CAP】
1. 新しい規則は脂肪・塩・砂糖の多い(HFSS)食品や飲料を子どものメディアで宣伝することを禁止する

【NHS】
1.Behind the headlines

【ASA】
1. ASA裁定

【BfR】
1. EFSAとBfRは世界的食品安全ツールに関して共同作業する
2. ゲノム編集は食品と飼料の安全性と、それによる消費者保護に影響を与えるか?
3. 標準化への一段階として食品の真正性を証明する新手法

【RIVM】
1. ヒトの魚摂取に基づいた水質基準
2. 包装表面表示に科学的根拠がない

【FDA】
1. FDAは食品と化粧品の有害事象報告の公表を開始する
3
2. FDAは第三者認証団体のモデル認証基準について企業向けガイドを発表
3. FDAは乳児用ミルクと人乳に使用する食品と接触する物質についてのガイダンス案を発表
4. FDAは野菜と果物ジュースへの着色料規制の適用について明確にする
5. FDAはFSMA第三者認証手数料計画を最終化
6. FDAはピンク色の果肉のパイナップルについての相談に結論
7. FDAは食事由来飽和脂肪およびコレステロールと冠動脈心疾患との関連について、より多くの生鮮果物・野菜に健康強調表示を認める暫定最終規則を発表

【NTP】
1. パーフルオロオクタン酸(PFOA)あるいはパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)への暴露に関連する免疫毒性

【USDA】
1. 2015 PDP年間まとめ
2. USDAは食品廃棄を減らすために日付表示ガイダンスを改訂

【Health Canada】
1. カナダ政府は包装済み食品の栄養成分表と原材料リストの変更を最終化

【CFIA】
1. 2013-2014大豆を主原料とする乳児用調製乳中の表示されないミルク成分
2. 2013-2015特定の食品の複数マイコトキシン分析
3. 事業者向け通知:栄養表示、原材料リスト、食用色素の規制改定
4. 2013-2014食品中の過塩素酸塩
5. 2013-2014乾燥飲料ミックス、パン、ベーキングミックス、スパイスミックス、乾燥茶葉、焼き菓子、朝食食品中のクマリン

【FSANZ】
1. 官報告知

【APVMA】
1. 最終オメトエートレビュー決定

【NSW】
1. 新しい食品表示ハブで食品の事実を知る

【MFDS】
1. 日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 貝類毒素発生および検査現状
3. ケーキの製造・販売業者の全国一斉衛生検査
4. 第6期食薬ヤングリーダー(中・高校生)授賞式開催
5. 中国産灰貝でカドミウムが基準を超過して検出されて回収措置
6. 食品医薬品安全庁、キムチを漬ける季節に備えキムチ類などのメーカーの全国一斉交差点検結果
7. 無抗生物質と虚偽表示されたコムタン製造業者の拘束
8. 食品医薬品安全庁、医薬品成分である「シブトラミン」が検出された栄養補助食品の摂取に警告

【FSSAI】
1. 2016年12月6日の食品包装材としての新聞の使用制限に関する助言
2. 食品安全基準案

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(ProMED-mail)水銀、シアン化物中毒 スーダン(第2報):(南コルドファン)家畜、ヒト
・(ProMED-mail)Haff病-ブラジル:疑い、情報求む
・(EurekAlert)蚊の増加は都市化とDDTのゆっくりとした分解に関連
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・(EurekAlert)メディアと医学雑誌のコラボレーションはしばしば間違った情報提供とヒステリーにつながる
・(EurekAlert)家畜にホメオパシーを使うことを支持する根拠は不十分