2011年食の10大ニュース[2]

海外の食品安全関連情報を紹介する「食品安全情報(化学物質)」の記事の中からピックアップしました。番号を付けていますが順不同です(執筆:登田美桜・畝山智香子)。

  1. 世界各国:東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて各国が対応
  2. 米国:食品安全近代化法(Food Safety Modernization Act)制定
  3. 台湾:食品及び飲料のフタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)汚染
  4. ドイツ:飼料及び食品のダイオキシン汚染事故
  5. 米国:リンゴジュースからヒ素が検出されたとの報道についてFDAが対応
  6. EU:新しい食品表示規制を合意
  7. EFSA:「一般機能」健康強調表示の評価を終了
  8. カナダ・EU:貝毒検査法を変更
  9. JECFA:アルミニウムの暫定耐容週間摂取量(PTWI)を変更
  10. 減塩への取り組み

1. 世界各国:東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて各国が対応

 海外でも、今年の最大ニュースは、東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けての日本産食品等への対応でしょう。

 各国では、放射性物質の基準値の変更、輸入禁止措置、規制準拠の証明書添付の要請などの対応がなされました。それらの対応は徐々に緩和されていますが、現在も継続中です。世界中が日本の対応に注目しています。

2. 米国:食品安全近代化法(Food Safety Modernization Act)制定

 米国では、食品医薬品局(FDA)の権限強化、検査体制や輸入食品の登録制度の強化などを盛り込んだ新しい法律「食品安全近代化法」が2011年1月に制定されました。

 注目すべきは、この法律の主旨が「予防」に重点がおかれていることでしょう。

3. 台湾:食品及び飲料のフタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)汚染

 日本ではあまり騒がれなかったのですが、台湾産の食品や飲料などからフタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)が検出されて問題になりました。

 健康への影響という観点では低リスクなので問題ではなかったのですが、何しろ原因が食品添加物への混入ということで、その添加物が使用された食品や飲料などについて世界各国で次々に回収騒動が続きました。添加物による影響の大きさに改めて驚かされたので挙げてみました。

4. ドイツ:飼料及び食品のダイオキシン汚染事故

 2010年12月末、ドイツの家畜用飼料からダイオキシンが検出されるという事故が発生して欧州では問題になりました。原因は工業用脂肪酸が飼料用脂肪酸へ混入するというミスでした。

5. 米国:リンゴジュースからヒ素が検出されたとの報道についてFDAが対応

 米国では、リンゴジュースからヒ素が検出されたという研究結果が報道されたために騒ぎになりました。その騒ぎを受けて、米国食品医薬品局(FDA)がリンゴジュースに含まれるヒ素による健康リスクは低いので誤解しないよう注意を呼びかけたほどです。

 ヒ素、とくに毒性が比較的強い無機ヒ素については、ヒジキや米などが海外で問題になっています。日本では食品安全委員会が評価中なので注目しています。

6. EU:新しい食品表示規制を合意

 新しい表示規制では、生鮮及び冷凍肉の原産地表示、主成分の原産地表示、包装されていない食品のアレルゲン情報の表示、カフェインを多く含む飲料の追加表示などが、食品の製造業者や販売業者に義務づけられる予定です。

 日本でも消費者庁で食品表示関連法律の一元化が検討されているので、注目しました。

7. EFSA:「一般機能」健康強調表示の評価を終了

 2008年からのプロジェクトで、2,758の一般機能健康強調表示についての評価がやっと終了しました。科学的根拠に基づいたEFSA(欧州食品安全機関)の厳しい評価姿勢に感心させられることが多かったので挙げてみました。

8. カナダ・EU:貝毒検査法を変更

 貝毒の検査法については、マウスバイオアッセイからマウスを使用しない代替法へ移行しようという国際的な動きがあります。しかし、類似化合物の分離や標準品の確保が難しいことが壁となって実際に代替法を導入している国は少ないのが現状です。その中で、カナダでは麻痺性貝毒について、EUでは脂溶性貝毒についてマウスを使用しない代替法を採用したというのは先進的でした。

9. JECFA:アルミニウムの暫定耐容週間摂取量(PTWI)を変更

 アルミニウムの暫定耐容週間摂取量(PTWI)が2mg/kg体重/週へ変更されました。

10. 減塩への取り組み

 多くの先進国が減塩への取り組みを強化しています。日本の食事事情から健康リスクを考えるとハイリスク因子は塩分の摂り過ぎなので、日本が今後どのように取り組んでいくのか注目しています。

 摂り過ぎという問題で言えば、海外ではカフェインの摂り過ぎも問題視されています。とくに妊婦や子どもについては、1日に摂取する推奨上限値を示している国もあります。

その他

・コーデックス委員会:遺伝子組換え生物を含む食品表示について採択

・EU:ハーブ指令(Directive 2004/24/EC)の登録猶予期間が2011年4月30日に終了

・EFSA:食品中のゼアラレノンによる公衆衛生リスクを評価

・EFSA:食品と飼料のナノ申請を評価するための最初の実務的ガイドラインを発表

・EU:食品添加物規則を改定

・韓国:乳児用補乳瓶へのビスフェノールAの使用を禁止

・韓国:食品添加物公典を全面改正


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国立医薬品食品衛生研究所安全情報部第三室室長 とだ・みおう 農学博士。国立医薬品食品衛生研究所は、医薬品、食品、その他生活環境中に存在する物質について、品質、安全性、有効性を評価するための試験、研究、調査を行う機関。 安全情報部の「食品安全情報」は、食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報を伝える。