2010年食の10大ニュース[2]

「2010年食の10大ニュース」、2日目は国立医薬品食品衛生研究所の畝山智香子さんからいただいた記事をご紹介します(執筆:畝山智香子・登田美桜)。

  1. 健康強調表示の動向
  2. 違法薬物混入ダイエタリーサプリメントについての警告
  3. トランス脂肪酸関連
  4. 高カフェイン含有飲料が話題に
  5. 昨年末から引き続きBonsoy豆乳のリコール
  6. ビスフェノールA
  7. 英国でクローン牛の子孫由来食品
  8. 中国のメラミン汚染乳製品いまだに市場に出回る
  9. ミツバチコロニーの消失騒動
  10. その他事件や事故

 国立医薬品食品衛生研究所安全情報部が2週に1回発行している「食品安全情報(化学物質)」の記事の中から、今年目についたものをご紹介させていただくことにします。「食品安全情報」のサイトはこちらです。

「食品安全情報」

1. 健康強調表示の動向

 EUではEFSA(European Food Safety Authority)が大量の申請を次々に却下。米国ではFTC(Federal Trade Commission)とFDA(Food and Drug Administration)が健康機能宣伝について警告文書を発行。いわゆるプロバイオティクス製品などが科学的根拠なしと判断されている。

 食品の機能性研究がここしばらく盛んでしたが、科学的根拠の確からしさという壁に突き当たっているようです。来年も注目されます。

2. 違法薬物混入ダイエタリーサプリメントについての警告

 違法薬物混入ダイエタリーサプリメントについての警告が、世界中で多数ありました。

 カテゴリーとしては痩身用、性機能増強用、ボディービル用製品が多い。欧州や米国などで痩身用処方薬シブトラミンが副作用のため承認取り消しとなったものの、違法製品には今後も使われ続けるだろう。

 食品中化学物質の分野では健康被害が出るものはむしろ珍しいのですが、これらは毎年変わらず被害者を出し続けています。

3. トランス脂肪酸関連

 日本で話題になっているので一応挙げてみました。

 多くの国で対応ほぼ終了。豪州ではモニタリング結果を発表、摂取量は多くなく、減っているため規制の必要はない、など。

 使用禁止や表示や企業への要請など対応が分かれましたが、どこの国でも摂取量は減っていて、あとは監視のみといった状況です。むしろ影響は大きくしかも対応が難しい減塩に、重点は移ってきているようです。

4. 高カフェイン含有飲料が話題に

 ドイツや豪州ではエネルギーショット、エネルギードリンク、カナダやアメリカではアルコール入りエネルギードリンクなどが問題になった。

 妊婦や子どもの過剰摂取、アルコールとの併用などが問題になっています。

5. 昨年末から引き続きBonsoy豆乳のリコール

 昆布由来のヨウ素過剰摂取による健康被害でオーストラリアでは裁判に発展。

 豪州の事例であまり大きな事件ではないですが、日本産の「日本の伝統(昆布)」が海外で健康被害をもたらしたという事例なので注目しています。

6. ビスフェノールA

 安全性に問題があるという根拠はないという評価でも、カナダとEUでほ乳瓶への使用禁止へ。豪州も業界に自主規制を要請。

 科学的根拠より政治的判断が強く働いたようです。まだ注目されている研究の結果は出ていません。

7. 英国でクローン牛の子孫由来食品

 英国で、クローン牛の子孫由来食品(肉とミルク)が食用に供給された(未承認新規食品)ことがニュースになりました。

8. 中国のメラミン汚染乳製品いまだに市場に出回る

 2年も前に回収された食品が一度ならず市場に出回るという状況が、中国にはあるようです。

9. ミツバチコロニーの消失騒動

 日本でも農薬が原因であるかのように報道されていましたが、感染と過酷な労働条件、環境等の複合影響ということになりそうです。

10. その他事件や事故

 今年はほかに、次のような記事がありました。

  • リサイクル包装紙のミネラルオイル
  • ブラジル産牛肉のイベルメクチン
  • アイスランドの火山灰
  • ハンガリーのアルミ精錬工場の事故

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About 畝山智香子 30 Articles
国立医薬品食品衛生研究所安全情報部第三室長 うねやま・ちかこ 宮城県生まれ。東北大学大学院薬学研究科博士課程前期二年修了。薬学博士。専門は薬理学、生化学。「食品安全情報blog」で食品の安全や健康などに関してさまざまな情報を発信している。著書に「ほんとうの『食の安全』を考える―ゼロリスクという幻想」(化学同人)。