
国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。FAOは、今後25年で登場が予想される44種の食品イノベーションを9分類で特定し、食品安全への備えを呼びかけた。米FDAは石油由来合成着色料の段階的に廃止するための一連の新たな措置を発表した。FDAはまた、ボトル入り飲料水197件のPFAS検査結果も公表した。
注目記事
【FAO】2050年までに新たに出現する44の食品イノベーション
新たな技術の進歩や科学的発見、また持続可能性と回復力へのシフトの必要性などによる農業食料システムの変化に対応して、新たな食料源と生産システム(New food sources and production systems: NFPS)が世界中で出現しており、今後の食料の情勢を変える可能性がある。そのため国連食糧農業機関(FAO)の食品安全フォーサイトプログラムは、今後25年以内に発展が見込まれる、9個のクラスターに分類される計44種の新たな食品イノベーションを特定した。
※ポイント:近年NFPSの安全性に関する国際的な議論が急速に進められています。FAOの食品安全フォーサイトプログラムでは、これまでも既に流通しているNFPSに関連した報告書を複数公表していますが、本報告は今後25年間に実用化される可能性があり、食品安全当局や利害関係者による準備が必要になるであろうと予測されるNFPSの具体例を示した画期的な報告です。44種の食品イノベーションについて、実行可能性や食料システムへの影響度、各イノベーションの実現の時間的な予測(タイムホライズン:0-5年、5-15年、15-25年)も検討しています。
【HHS/FDA】HHSとFDAは国内のフードサプライにおける石油由来合成着色料の段階的廃止へ向かう
米国保健福祉省(HHS)とその傘下の機関である米国食品医薬品局(FDA)は、国内のフードサプライからすべての石油由来合成着色料(petroleum-based synthetic dyes)を段階的に廃止するための一連の新たな措置を発表した。これは、新政権の「Make America Healthy Again(米国を再び健康に)」という広範な取り組みにおける重要なマイルストーンであるとしている。
※ポイント:突然の発表に驚きました。従来は外部からの請願を受けてFDAが関連の制度改定の要否を検討するというのが一般的でした。今回の発表では、トランプ政権下におけるHHSのRobert F. Kennedy, Jr.長官のスローガン“Make America Healthy Again”を強調しており、Kennedy長官の意向が強く反映された決定であることがうかがえます。
【FDA】FDAはボトル入り飲料水に含まれるPFAS検査結果を公表
米国FDAは、2023年〜2024年に全米の小売店から集めた国産および輸入ボトル入り飲料水197サンプルに関するパーおよびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)の最終検査結果を公表した。10サンプルでPFASが検出されたが、いずれも米国環境保護庁(EPA)が第一種飲料水規則で設定した公共飲料水の最大汚染レベル(MCL)を下回っていた。
※ポイント:連邦食品医薬品化粧品法に従いFDAは、公共飲料水中のPFASに関するEPAの新しいMCLを踏まえてボトル入り飲料水の品質基準に関する規則を改正するか、改正が不要な場合にはその理由を公表する必要があります。もしFDAがいずれの対応も行わない場合には、EPAの第一種飲料水規則が適用されることになります。
(注目記事のまとめ:安全情報部第三室)
目次
【FAO】
1. 2050年までに新たに出現する44の食品イノベーション
2. ネイチャー誌の論文:Food culture and cell-culture
3. Codex
【EC】
1. 査察報告書
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【ECHA】
1. マイクロプラスチック規制:報告要件に関する説明文書を公表
【EFSA】
1. EFSAのレギュラトリーサイエンスの推進:最新の研究とイノベーションのニーズ
2. Distillerモデル管理のためのウェブアプリケーション
【FSA】
1. リスクアナリシス課題登録リスト
【FSS】
1. ホタテガイにおける貝毒リスク管理
【FSAI】
1. 2024年、FSAI相談窓口への消費者からの苦情が増加
【RIVM】
1. オランダにおける自家製卵の摂取によるPFASのリスク評価
【ANSES】
1. ANSESの2025年作業計画
2. アスパラソバージュを食べる時は注意が必要
【CAFIA】
1. CAFIA、チェコ国境で9種類の農薬を含むドリアン540kgを押収
【FDA】
1. HHSとFDAは国内のフードサプライにおける石油由来合成着色料の段階的廃止へ向かう
2. FDAのMakary長官はFDA諮問委員会委員に関する新たな方針を発表する
3. FDAはボトル入り飲料水に含まれるPFAS検査結果を公表する
4. FDAはポピーシード(ケシの実)に関する情報提供を求める
5. 警告文書
【EPA】
1. EPAは新規有効成分シクロブトリフルラムの登録案を公表する
2. EPAは有機リン系殺虫剤ジクロトホスに関する暫定決定を公表する
3. EPAは絶滅危惧種を殺虫剤カルバリルから保護するための複数の措置を発表する
【CFIA】
1. カナダ食品検査庁によるベジマイトに関する声明
【FSANZ】
1. リコール情報
【MPI】
1. リコール情報
【香港政府ニュース】
1. コンニャク入りゼリー菓子の規則に関する提案について意見募集
2. 違反情報
3. リコール情報
【MFDS】
1. 日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 2024年輸入食品海外製造業の現地実査の結果、46カ所を摘発・措置
3. 桑寄生(ヤドリギ)、香附子(ハマスゲ)など食用不可の農・林産物の摂取に注意
4. 食薬処、麻薬成分海外直輸入食品を調査
5. 食薬処、グローバル食品添加物基準を先導
6. 山で採取したナムル、本当に食べても大丈夫? 毒草との見分け方
7. 食薬処、「三三韓の日」健康的な食生活キャンペーン開催
【SFA】
1. 高まる勢い:地元の農家を支援し、シンガポールの食の未来を守る
【HSA】
1. 強力な成分を含む海外で発見された製品に関するHSAの更新情報(2025年3月)
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(化学物質)No.09(2025.04.30)
- https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2025/foodinfo202509c.pdf