欧州魚製品で長期のリステリア

No.06(2024.03.19)

スモークサーモン(イメージ)

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。EU加盟国および英国においてリステリア感染の遺伝子クラスターが特定されている。患者への聞き取り調査から、そのまま喫食可能な(RTE)魚製品が感染源であることが示唆されている。汚染源を特定するためには、RTE魚製品の生産チェーンで対象をより限定した調査を行う必要がある。

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【欧州】RTE魚製品に関連のリステリア

 欧州連合/欧州経済領域(EU/EEA)加盟国および英国において、リステリア(Listeria monocytogenes血清群IIaシークエンスタイプ(ST)155)感染の遺伝子クラスターが特定されている。ゲノムの類似性に基づき、これらのクラスターは3つのサブクラスターに分類され、このうち「サブクラスター1」による患者の報告のみが続いている。

「サブクラスター1」に感染した患者は、2016〜2023年にEU/EEA加盟5カ国から計64人が報告されており、このうち17人(オーストリア1人、ベルギー1、イタリア8、ドイツ6、オランダ1)が2022年および2023年に報告された。2019〜2023年に患者のうち10人が死亡した。「サブクラスター2」および「サブクラスター3」による患者は2011〜2021年に計30人が報告され、その後新たな患者は報告されていない。

 患者への聞き取り調査に基づき、そのまま喫食可能な(RTE:ready-to-eat)魚製品が感染源であることが示唆されている。

 各国当局の食品調査、追跡調査およびゲノムデータにより、「サブクラスター1」のL. monocytogenes株は、魚製品12検体で計34株および魚加工施設1カ所の環境検体で1株が特定された。塩基配列解析から、リトアニアの2カ所の加工施設との関連が示された。市場に流通している密封包装のRTE魚製品から「サブクラスター1」の株が繰り返し検出されていることから、1カ所の加工施設が8年以上にわたり持続的に当該株により汚染されていることが明らかになった。

 汚染源を特定するためには、RTE魚製品の生産チェーンで対象をより限定した調査を行う必要がある。RTE魚製品の加工施設のうち1カ所で製造を中止することにより新たな感染を抑制できる可能性が高いが、すべての汚染源や汚染施設が適切に管理されるまでは、健康被害を受けやすい人(免疫機能が低下している人や75歳以上の人)などで新たな患者の発生が予測される。

 欧州疾病予防管理センター(ECDC: European Centre for Disease Prevention and Control)は、標準的な症例情報を用いた患者報告およびL. monocytogenes ST155株の塩基配列の提出を関係各国に求めた。

 症状の経過や結果に関する情報が得られた患者54人のうち、52人が入院し、リステリア感染が原因で死亡した患者または死亡時にリステリアに感染していた患者は計17人であった。情報が得られたイタリアの患者12人のうち、4人が髄膜炎、8人が敗血症を発症した。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.06(2024.03.19)
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2024/foodinfo202406m.pdf

今号の目次

【米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)】
1. 米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)からの情報提供(2023年10月13日付)

【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 国外旅行に関連していないサイクロスポラ感染に関する調査(2023年10月16日付最終更新)

【欧州疾病予防管理センター(ECDC)/欧州食品安全機関(EFSA)】
1. ECDC-EFSA 合同迅速アウトブレイク評価:そのまま喫食可能な(ready-to-eat)魚製品に関連して長期間にわたり複数国で発生しているリステリア(Listeria monocytogenesシークエンスタイプ(ST)155)感染患者クラスター

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and
Feed)

【ProMED-mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報(10)