英がゲノム編集商用生産認める

No.07(2023.03.29)

ふきのとう(イメージ)

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。イギリスはゲノム編集技術を用いた植物や動物の商用生産を認める法律を成立させた。ドイツ当局は植物に天然に含まれるピロリジジンアルカロイド類(PA)に関するQ&Aの更新版を発表した。米国FDAは、水産物の輸入監視においてFDAの規則や革新的な計画および技術がどのように使用されるのかを記した報告書を発表した。

注目記事

【DEFRA】英国の食料安全保障にとって重要なツールである遺伝子技術法

 英国環境・食料・農村地域省(DEFRA)は、遺伝子技術(精密育種)法(Genetic Technology(Precision Breeding)Act)が3月23日に成立したことを発表した。この法律により、遺伝子組換え生物(GMO)についてはより厳しい規制を維持しつつ、ゲノム編集技術を用いた精密育種の研究と革新を促す科学に基づいた規制システムが新たに導入されることになる。具体的には、GMOの環境放出と上市の適用要件の対象から、精密育種の技術で生産される植物と動物が除外される。

※ポイント:英国が、ゲノム編集技術を用いた植物や動物の商用生産を認める法律を成立させました。ゲノム編集を従来の遺伝子組換えの規制範囲から除外することについてはEUも前向きな検討を始めたところですが、離脱により英国が先駆けて規制緩和に踏み切りました。

 食品安全に関する規制について英国はEU離脱後もほぼEU規則に準ずる政策を取っている中で、ゲノム編集技術のみは当初から独自の規制を打ち出そうとしていました。今号には、英国食品基準庁(FSA)が委託で実施した精密育種に関する消費者調査の結果も紹介しています。英国と日本では文化の違いはあるかもしれませんが、この問題について消費者がどのような認識を持つ可能性があるのかを知るのに参考になると思います。

【別添 BfR】食品中のピロリジジンアルカロイド類に関するQ&A

 ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)が植物に天然に含まれる汚染物質のピロリジジンアルカロイド類(PA)に関するQ&Aの更新版を発表した。

※ポイント:概要が簡潔にまとめられたQ&Aになっています。日本の食材だと、PAはふきやふきのとうに含まれることが知られていますが、茹でこぼしや水さらしなどを行うことで食べる前に大幅に減らすことができます。詳しくは下記の資料をご参考に。

【農林水産省】ふき・ふきのとうはあく抜きして食べましょう
 https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/naturaltoxin/attach/pdf/pa_fuki_flier.pdf

【EPA】バイデン-ハリス政権はPFASからコミュニティを保護するため飲料水に初の国家基準を提案

 米国環境保護庁(EPA)は、飲料水に含まれる6種類のパーおよびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)について法的強制力を持つ基準値(最大汚染濃度/MCL)の設定を提案し、パブリックコメントを募集する。

【FDA】輸入水産物の安全性に関するFDAの活動を発表する

 米国食品医薬品局(FDA)は、新しい報告書「Activities for the Safety of Imported Seafood(輸入水産物の安全性のための活動)」を発表した。輸入食品の安全性に関するFDA戦略の4つの目標の達成に向けて、水産物の輸入監視においてFDAの規則や革新的な計画および技術がどのように使用されるのかを記している。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.07(2023.03.29)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2023/foodinfo202307c.pdf
食品安全情報(化学物質)No.07(2023.03.29)別添
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2023/foodinfo202307ca.pdf

今号の目次

【WHO】
1.2022年報告書:食品中の残留農薬:残留農薬に関する FAO/WHO 合同会議

【FAO】
1. Codex

【EC】
1. EU 協調対応「ミツバチの巣箱から」(Honey2021-2022)
2. 査察報告書
3. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. FoodEx2のメンテナンス2022
2. 食品中のミネラルオイル炭化水素―草案への意見募集
3. 食品及び飼料中の化学汚染物質の汚染実態データの継続募集
4. 食品酵素関連
5. 農薬関連
6. 飼料添加物関連

【FSA】
1. FHRS 研究
2. 研究プロジェクト 精密育種に関する消費者認知:結論
3. 培養動物細胞から製造された食肉製品におけるハザードの同定
4.2023年3月理事会

【FSS】
1. 農場での安全キャンペーンを開始する
2. リコール情報

【DEFRA】
1. 英国の食料安全保障にとって重要なツールである遺伝子技術法
2. 食品中の残留農薬:2022年第3四半期のモニタリング結果

【COT】
1. COT 会議:2023年3月28日

【ASA】
1. ASA 裁定

【FSAI】
1. リコール情報
2. 相談窓口(Advice Line)への苦情は2022年に5分の1ほど増加した

【BfR】
1. 遺伝子組換えの検出
2. 近くで植物保護製品が散布されたらどうなるか? BfR と南チロルラインブルグ研究センターが研究で協力

【Ruokavirasto】
1.2022年のフィンランドの穀物の質

【AESAN】
1. 科学委員会報告書

【FDA】
1. 事業者向けガイダンス:医療用食品に関するよくある質問-第3版
2. 輸入水産物の安全性に関する FDA の活動を発表する
3. FDA は二つ目の動物細胞培養技術を使って製造されたヒト用食品に関する市販前協議を完了する
4. 警告文書
5. リコール情報

【EPA】
1. EPA は内分泌影響のスクリーニングのための新しい方法論アプローチについてのパブリックコメントの求めに応じて内分泌かく乱物質スクリーニング計画を復元する
2. バイデン-ハリス政権は PFAS からコミュニティを保護するため飲料水に初の国家基準を提案
3. EPA は更新暴露評価に基づき4つの有機リン系殺虫剤についての迅速対応を発表

【CDC】
1. CDC と ATSDR の職員はオハイオ州 East Palestine の ACE 調査の次の段階を始める

【NIH】
1. ダイエタリーサプリメント研究演習

【CFIA】
1. 特定食品中のアルテルナリア―2014年4月1日〜2018年3月31日及び2019年4月
1日〜2022年3月31日

【FSANZ】
1. 食品基準ニュース
2. 食品基準通知

【APVMA】
1. 動物用医薬品規制ニュースレター

【香港政府ニュース】
1. ニュースレター
2. プレスリリース
3. 違反情報

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 高齢層を対象、広報館で消費者を惑わし液状茶を高値で販売する違法行為の点検結果
3. デリバリー店計3,998箇所の衛生点検、51箇所摘発・措置
4. 春の貝類・被嚢類(ホヤ類)に生じる毒素に注意してください!
5. 食薬処、甘味料の使用実態を点検

【SFA】
1. 乳児用シリアル製品の輸入前管理に関する新しい自主的スキームの導入
2. 高濃度の多環芳香族炭化水素の BAK KWA についての香港の最近の報告に関する SFA のメディア声明
3. 食品リコールによる食品安全の確保

【FSSAI】
1. 果物の熟成

別添
【BfR】食品中のピロリジジンアルカロイド類に関する Q&A