安全でないシナモン製品を公表

No.06(2024.03.19)

シナモン(イメージ)

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。コーデックス食品表示部会は、食物アレルゲンの表示免除の可否評価のための枠組み構築を進めている。米国FDAはいくつかのシナモン製品の鉛濃度の高さについて警告している。ニュージーランドでアーユルべーダ薬摂取による鉛中毒の報告が8件あった。今年の世界フードセーフティデイのコミュニケーションツールがリリースされた。

注目記事

【WHO】(出版物:会合報告書)食物アレルゲンのリスク評価:パート4 優先食物アレルゲンの表示義務免除の確立

 コーデックス食品表示部会(CCFL)は、精製度の高い食品や成分などの特定の食品と成分を対象に義務的表示の免除の可否についての科学的助言を国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)へ要請した。そのため第4回会合の目的は、第1回会合における優先アレルゲンリストに関する助言を拡大し、食物アレルゲンの表示免除の可否を評価するための枠組みを構築することであった。本報告書では、アレルゲン表示免除を検討するための標準的なアプローチとしてフローチャートを提示し、さまざまな国や地域で過去に表示の免除が認められたことのあるアレルゲン由来物質を用いた検証により、将来、免除を検討する際に有用であることが確認されたと報告している。

【FDA】FDAはある種のシナモン製品の鉛濃度の高さに警告

 米国食品医薬品局(FDA)は、小売店から入手したシナモン粉末75検体に関する鉛の検査結果に基づき、6つのブランド製品に高濃度(2.03〜3.4ppm)の鉛が含まれているとして自主的リコールを勧告した。FDAは当該製品の詳細をウェブサイト上に掲載し、消費者に向けて、これらのシナモン粉末を廃棄し、購入しないよう薦めている(※1)。ただし、これらの製品で検出された鉛の濃度は、有害事象が報告されているアップルピューレやアップルソース製品のシナモンに含まれていた濃度(2,270ppm〜5,110ppm)と比べるとはるかに低いことに留意すること。

【NZ Medsafe】アーユルべーダ薬による鉛中毒の最近の事例

 ニュージーランドMedsafeが、ここ数カ月の間に、国内においてアーユルべーダ薬を摂取したことによる鉛中毒の報告が8事例あったと発表した。うち数名は、腹痛、吐き気、嘔吐、便秘などの症状を呈している。ニュージーランドではアーユルべーダ薬は承認されていない。問題の製品はインドで購入されたもので、Medsafeは関連の製品の写真と特徴を公開し、注意を呼び掛けている。

【MFDS】細胞培養など新技術適用食品の認定手続きを新設

 韓国の食品医薬品安全処は、昨年5月の「食品衛生法施行規則」改正により細胞・微生物培養など新技術で生産された原料を食品原料の認定対象として適用拡大したことを受けて、その認可取得に向けて申請者が提出すべき安全性に関する資料や手続きに関する規制を新設した。

【FAO/WHO】世界フードセーフティデイ2024:コミュニケーションツールキット

 2024年6月7日の第6回世界フードセーフティデイに向けて、コミュニケーションツールキット(※2)を発表した。今年のテーマは「フードセーフティ:予期せぬ事態への備え(Food safety: prepare for the unexpected)」であり、FAO/WHO国際食品安全当局ネットワーク(INFOSAN)設立20周年を記念するものとなっている。

編集註

※1 FDA Alert Concerning Certain Cinnamon Products Due to Presence of Elevated Levels of Lead
https://www.fda.gov/food/alerts-advisories-safety-information/fda-alert-concerning-certain-cinnamon-products-due-presence-elevated-levels-lead

※2 World Food Safety Day 2024: Communication toolkit
https://www.who.int/publications/m/item/world-food-safety-day-2024-communication-toolkit

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.06(2024.03.19)
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2024/foodinfo202406c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. 出版物
2. 世界フードセーフティデイ2024:コミュニケーションツールキット

【FAO】
1. Codex

【EC】
1. EU 責任ある食品ビジネスとマーケティングについての行動規範
2. 農業食品偽装:欧州委員会が初の月次報告書を発行
3. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【ECHA】
1. 欧州化学品庁(ECHA)の新しいガイダンスは、ミツバチを殺生物剤からより良く保護するための道を開く

【EFSA】
1. EFSA の権限に基づくリスク評価に消化管(GI)マイクロバイオーム(ヒトと家畜)を統合するためのロードマップ
2. EFSA の権限に基づくリスク評価に環境マイクロバイオームを統合するためのロードマップ
3. 動物や食品中の動物用医薬品の残留物は依然として低水準
4. 専門家からの知識引き出し(EKE)についてのオンライン研修コース
5. 食品規則、食品安全及び公衆衛生栄養の領域における組織や制度への信頼の測定に関する科学的文献レビュー
6. 食品酵素関連
7. 新規食品関連
8. 食品接触物質関連
9. 農薬関連
10. 飼料添加物関連

【FSA】
1. FSA 科学諮問委員会が20名の新メンバーを歓迎
2. 料理用のハーブとスパイスの真正性を分析する方法のレビュー
3. FSA、ビーガンと表示された食品がアレルギーを持つ人々に与えるリスクを強調するキャンペーンを開始
4. FSA は Lough Neagh(ネイ湖)で獲れた魚は食べても安全であると確認
5.2024年2月消費者調査(Consumer Insights Tracker)

【FSS】
1. ビタミン D キャンペーン2022-23–評価
2. スコットランドの食環境において健康を優先するために必要な行動
3. 新たな研究によると既存の食事助言が気候変動緩和目標の達成に役立つことを示す

【DEFRA】
1. テンサイを守るための緊急農薬認可が条件付きで承認された
2. より公正な食品表示

【COT】
1. 乳児用調製乳を与えられている乳幼児のビタミン D 暴露量についての声明
2. COT 会合:2024年3月26日

【DWI】
1. 飲料水2023-第三四半期報告書

【BfR】
1. 果物と野菜における PFAS 有効成分入り植物保護製品の残留物:健康リスクはあるのか?
2. 狩猟肉中の金属片:どのように石鹸ブロックが健康リスクを最小限に抑えるか
3. 食品中の燻製香料-燻製香料と健康リスクに関する FAQ の更新

【RIVM】
1. ハーブ製品のリスク評価

【FDA】
1. FDA は新規ダイエタリー成分の通知手続きと期間に関する最終ガイダンスを発表
2. FDA はある種のシナモン製品の鉛濃度の高さに警告
3. シナモンに含まれる安全でないレベルの鉛に対処するためにFDAが講じている措置についての対話
4. FDA は食品の安全性と栄養の強化、医療製品の安全性の向上、公衆衛生の強化に72億ドルを求める
5. FDA はヨーグルトと2型糖尿病のリスク低減に関する限定的健康強調表示を発表
6. FDA は有毒なキバナキョウチクトウで代用された特定のサプリメントについて警告
7. 高濃度の鉛及びクロムの調査:シナモンアップルソースパウチ(2023年11月)
8. FDA は冷凍チェリーパイの同一性と品質基準を取り消す
9. 警告文書

【EPA】
1. EPA はエチレンオキシドの有害排出を大幅削減しがんリスクを減らす最終規則を発表

【CDC】
1. シナモンアップルソースパウチ製品に関連した鉛中毒の発生

【USDA】
1. USDA は消費者保護強化のため、任意の「米国製品」表示について最終化

【FTC】
1. FTC は乳児用調製乳供給の混乱に関する報告書を発表

【CFIA】
1. リコール情報

【FSANZ】
1. 食品基準通知
2. 食品基準ニュース

【NSW】
1.2024秋の Foodwise ニュースレター

【NZMedsafe】
1. アーユルべーダ薬による鉛中毒の最近の事例

【香港政府ニュース】
1. 違反情報
2. リコール情報

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 細胞培養など新技術適用食品の認定手続きを新設
3.「食医薬の安心が日常になる世の中」-2024年食品医薬品安全処、主要政策推進計画
4. 健康的な食生活のための「サムサムデー」試験運営
5. 刃物、はさみなどの食品接触面にも印刷可能になる

【FSSAI】
1. 食品通りの現代化:インドの標準作業手順書(SOP)がケニアのナイロビでの第54回食品衛生部会(CCFH)で議論された
2. 食品安全基準規制2011による加工助剤の法令順守に関する食品安全基準法 Section
16(5)の指示

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・ProMED-mail2件