プラム類に関連のリステリア

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国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。米国でリステリア感染患者11人が報告されていて、公衆衛生当局が実施した調査では、桃・ネクタリン・プラムが感染源である可能性が高いことが示唆され、さらにFDAが特定社の桃からリステリア株を検出した。

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【米国】桃、ネクタリン、プラムに関連のリステリア

 米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)、複数州の公衆衛生・食品規制当局および米国食品医薬品局(US FDA)は、複数州にわたり発生しているリステリア(Listeria monocytogenes)感染アウトブレイクを調査するためさまざまなデータを収集している。

 2023年11月17日時点で、リステリア(L. monocytogenes)アウトブレイク株に感染した患者計11人が7州から報告されている。患者からの検体採取日は2018年8月22日〜2023年8月16日である。情報が得られた患者10人は全員が入院した。患者1人は妊娠中に感染し早期陣痛を呈した。カリフォルニア州から死亡者1人が報告されている。

 各州・地域の公衆衛生当局は、患者が発症前1カ月間に喫食した食品に関する聞き取り調査を行っている。聞き取りが実施された患者7人は全員(100%)が、桃、ネクタリンまたはプラムの喫食を報告した。

 CDCは、症例症例解析(case-case analysis)を実施し、「本アウトブレイクの患者が喫食を報告した食品」と、「本アウトブレイクとは関連しない散発性リステリア症患者が喫食を報告した食品」の比較を行った。この解析により、桃・ネクタリン・プラムが本アウトブレイクの感染源である可能性が高いことを示唆された。

 2023年10月23日にFDAは、HMC Farms社の桃1検体を採取しリステリア株を検出した。11月6日、WGS解析により、当該株が患者由来リステリア株と近縁であることが示された。この結果は、患者がこれらの桃の喫食により感染した可能性が高いことを意味している。

 2023年11月17日、HMC Farms社は、2022年および2023年のいずれも5月1日〜11月15日の期間に複数の小売店で販売された桃、プラムおよびネクタリン(すべてホール)の回収を開始した。CDCは、当該製品を喫食・販売・提供しないよう注意喚起している。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.25(2023.12.06)
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2023/foodinfo202325m.pdf

今号の目次

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 桃、ネクタリンおよびプラムに関連して複数州にわたり発生しているリステリア
(Listeria monocytogenes)感染アウトブレイク(2023年11月20日付初発情報)
2. カンタロープメロンに関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella
Sundsvall およびS. Oranienburg)感染アウトブレイク(2023年11月30日、24日付更新情報)

【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 公衆衛生通知:Malichita ブランドおよび Rudy ブランドのカンタロープメロンに関連して発生しているサルモネラ(Salmonella Soahanina、S. Sundsvall および S.
Oranienburg)感染アウトブレイク(2023年12月1日、11月24日、22日付更新情報)

【欧州疾病予防管理センター(ECDC)/欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 欧州連合(EU)域内のヒト、動物および食品由来の人獣共通感染症細菌と指標細菌の抗菌剤耐性に関する年次要約報告書(2019/2020年)

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and
Feed)

【アイルランド食品安全局(FSAI)】
1. 北アイルランド公務員組合(NIPSA)のストライキ実施を受けアイルランド食品安全局
(FSAI)は北アイルランドに国境管理所経由で食品を輸入している全ての食品事業者向けに助言を発表