豆のコロッケ冷凍品のO121

No.21(2022.10.12)

ファラフェル(イメージ)

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。小売チェーンALDIで販売されたEarth Grownブランドの冷凍ファラフェル(豆のコロッケ)に大腸菌O121汚染の可能性が判明した。EU加盟6カ国と英国でA型肝炎ウイルス(HAV)遺伝子型IB株による感染が報告されている。ドイツでは生食用野菜生産に再生水を使用すべきではないとされている。

注目記事

【米国】冷凍の豆コロッケに関連の大腸菌O121

 米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)、複数州の公衆衛生・食品規制当局および米国食品医薬品局(US FDA)は、複数州にわたり発生している大腸菌 O121感染アウトブレイクを調査するため、さまざまなデータを収集している。

 疫学データは、小売チェーンALDIの店舗で販売されたEarth Grownブランドの冷凍ファラフェル(NIHS編者注:コロッケに似た豆入り揚げ物)に大腸菌O121汚染の可能性があり、本アウトブレイクの感染源となっている可能性があることを示している。

 情報が得られた患者14人のうち5人が入院し、この5人のうち1人が溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症した。死亡者は報告されていない。

 聞き取りが実施された患者18人のうち15人がALDIの店舗で買い物をしたことを報告し、これらの15人のうち6人が、ALDIで購入したEarth Grownブランドの冷凍ファラフェルの喫食を報告した。

 2022年10月7日、Cuisine Innovations社(ニュージャージー州 Lakewood)は、Earth Grownブランドの冷凍ファラフェル製品「Vegan Traditional Falafel」および「Vegan Garlic & Herb Falafel」の回収を開始した。ALDIによると、同チェーンの店舗で販売されたEarth Grownブランドの冷凍ファラフェル製品の供給元は Cuisine Innovations 社のみである。

 CDCは、回収対象の冷凍ファラフェル製品を喫食・販売・提供しないよう注意喚起している。

【欧州】EUと英国で拡大しているA型肝炎ウイルス

 欧州疾病予防管理センター(ECDC: European Centre for Disease Prevention and
Control)発。欧州連合(EU)加盟6カ国および英国において、それぞれ特異的ではあるが互いに近縁な塩基配列を有する4つのA型肝炎ウイルス(HAV)遺伝子型IB株による感染クラスターおよびアウトブレイクが報告されている。

 2022年9月29日までに、遺伝学的に同一または近縁なHAV株に感染した患者計303人が、オーストリア(7人)、ドイツ(8)、ハンガリー(161)、オランダ(8)、スロベニア(35)、スウェーデン(8)および英国(76)で特定されている。現時点で得られている疫学データおよび微生物学的データは、ヒト-ヒト感染が発生していることに加え、汚染食品を介してHAVが拡散している可能性も示している。

 2022年7月、ハンガリーで1カ所の飲食店との関連が疑われる食品由来アウトブレイクが発生し、HAV IB株感染患者計16人が報告された。これらの患者の一部は冷凍ベリー類を使用した冷製スープの喫食を報告した。英国では明確な感染源が特定されていないが、これまでに行われた疫学調査から、ヒト-ヒト感染に加えて食品由来感染の可能性も示されている。

【ドイツ】農業における再生水の果物・野菜の病原体汚染

 ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR: Bundesinstitut für Risikobewertung)発。ドイツでは、レタス、ニンジン、イチゴ、ハーブなどのように地面に近接して栽培され、生での喫食が想定される生鮮農産物の灌漑に、再生水(reclaimed wastewater)を使用すべきではないとされている。ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)は、とくに病原性のウイルスや寄生虫が灌漑水を介して植物の表面に付着または内部に侵入することを考慮し、灌漑に再生水を使用しないよう助言している。

 この問題について最終的なリスク評価を行うには、現在のデータは不十分である。しかし、一部のウイルスや単細胞の寄生虫(原虫)が環境中で生残し、生の果物・野菜を介して疾患の原因となりうることを示すエビデンスがある。Hensel所長は、「農業における再生水の利用は食品安全にとって新しい課題である。病原体汚染を可能な限り減らすには、非常に優れた処理方法と検出方法が必要である」と述べている。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.21(2022.10.12)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2022/foodinfo202221m.pdf

今号の目次

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. ブリーチーズおよびカマンベールチーズに関連して複数州にわたり発生しているリステリア(Listeria monocytogenes)感染アウトブレイク(2022年10月6日付更新情報、
9月30日付初発情報)
2. 冷凍ファラフェルに関連して複数州にわたり発生している大腸菌O121感染アウトブレイク(2022年10月7日付初発情報)
3. 小規模飼育の家禽類との接触に関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ
(Salmonella Enteritidis、S. Hadar、S. Indiana、S. Infantis、S. Typhimurium、S.
Mbandaka、S. I4,[5],12:i:-)感染アウトブレイク(2022年9月22日付更新情報)

【欧州疾病予防管理センター(ECDC)】
1. 欧州連合(EU)加盟数カ国および英国で拡大している A型肝炎ウイルス(HAV)遺伝子型 IB 株感染患者

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and
Feed)

【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 新興リスクに関する2019年の欧州食品安全機関(EFSA)の活動(技術報告書)

【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. 農業における再生水(reclaimed wastewater)の利用:果物・野菜の病原体汚染による健康リスク