原因食品不明の大腸菌O157

No.18(2022.08.31)

絵・いらすとや

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。米国疾病予防管理センター(CDC)は大腸菌O157:H7感染アウトブレイクに関する情報を発表した。原因食品はまだ不明だが、患者62人のうち52人がWendy’sの店舗での食事を報告した。英国食品基準庁(FSA)は、狩猟動物に関するガイダンスの改訂版を発行した。

注目記事

【米国】原因食品不明の大腸菌O157:H7感染アウトブレイク

 米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)は、米国の複数州にわたり発生している原因食品不明の大腸菌O157:H7感染アウトブレイクに関する情報を発表した。

患者の年齢範囲は5〜94歳。情報が得られた患者73人のうち38人が入院し、ミシガン州の患者8人が溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症した。死亡者は報告されていない。

 各州・地域の公衆衛生当局は、患者が発症前1週間に喫食した食品に関する聞き取り調査を行っている。すでに聞き取りが実施された患者62人のうち52人がWendy’sの店舗での食事を報告した。患者は、ハンバーガーおよびサンドイッチを含め、さまざまな料理の喫食を報告した。Wendy’sの店舗での食事内容に関する詳細情報が得られた患者17人のうち15人が、ハンバーガーやサンドイッチの原材料として使用されていたロメインレタスの喫食を報告した。本アウトブレイクの感染源の可能性がある食品が他にも存在するかどうか特定するため、原材料別にデータの分析が続けられている。

【英国】狩猟動物に関するガイダンスの改訂

 英国食品基準庁(UK FSA: Food Standards Agency, UK)は、狩猟動物に関するガイダンスの前回改訂版について意見募集を行い、受け取った多くの意見(以下Webページ参照)を考慮して新しい改訂版を発行した。狩猟動物に関するガイダンスは、2015年以降改訂されていなかった。

 このガイダンスは、狩猟動物とその食肉の安全な取り扱い・調理・提供について、一次生産業者、猟師、食品事業者、小売業者および行政担当者向けに作成されており、イングランド、ウェールズおよび北アイルランドで適用される。スコットランドでは、スコットランド食品基準庁(FSS)が2021年12月に狩猟動物に関するガイダンスの更新版を発表した。

 今回改訂されたガイダンスは、2023年7月に再度見直しが行われる予定である。

【ドイツ】小麦粉の大腸菌汚染についての意見書

 ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR: Bundesinstitut für Risikobewertung)は、2020年に、小麦粉の志賀毒素産生性大腸菌(STEC)汚染による健康リスクに関する意見書「No.004/2020」を発表した(食品安全情報(微生物)No.19/2020(2020.09.16)BfR記事参照)。当該リスクの評価が実施された背景には、ドイツ連邦による管理計画(BÜp)において、かなりの割合の小麦粉検体からSTECが検出されたことがあった。

 このリスク評価により、小麦粉からのSTECの検出量はごくわずかであったこと、および追跡調査で小麦粉との関連が特定された患者が欧州では1人もいなかったことが示された。しかしながら、特定の状況下においては、これらの汚染は健康リスクとなり得る。

 小麦粉を使用して製造される食品(パン、焼き菓子類、ペストリー、ソースなど)は、通常の加熱処理を施すことで、STEC感染による消費者の健康被害を防ぐことができる。しかし、一般家庭で調製された生地や市販の生地製品を生のまま喫食すると、これらがSTECに汚染されていた場合は感染のリスクがある。これらの健康リスクが一般消費者に周知されているか、またこれらの情報がどの様に効果的に伝えられるかということが、BfRによる計画的な消費者調査のテーマとなっている。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.18(2022.08.31)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2022/foodinfo202218m.pdf

今号の目次

【世界保健機関(WHO)】
1. 国際食品安全当局ネットワーク(INFOSAN)2022年第2四半期報告(2022年4〜6月)

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 米国の複数州にわたり発生している原因食品不明の大腸菌 O157:H7感染アウトブレイク(2022年8月25日、19日付更新情報、17日付初発情報)
2. カナダのブリティッシュ・コロンビア州産の生牡蠣に関連して複数州にわたり発生したノロウイルス感染アウトブレイク(2022年6月1日付更新情報)

【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 国外旅行に関連していないサイクロスポラ感染を調査中(2022年8月24日付更新情報)
2. 公衆衛生通知:ブリティッシュ・コロンビア州産の生牡蠣に関連して複数州にわたり発生したノロウイルス感染と胃腸疾患のアウトブレイク(2022年4月28日付最終更新)

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and
Feed)

【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 食品・飼料チェーンに沿った環境レゼルボアからの抗菌剤耐性(AMR)のリスク評価:定量的微生物リスク評価(qMRA)および確率モデルの使用による精度の向上

【英国食品基準庁(UK FSA)】
1. 英国食品基準庁(UK FSA)が狩猟動物に関するガイダンスの改訂版を発行

【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. 小麦粉の大腸菌汚染 ― ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)の意見書「No.004/2020」に関する技術的情報交換の第一回目の結果