ICTでハイリスク食品を探す

No.18(2022.08.31)

FDAのページから https://publications.aap.org/pediatrics/article/150/3/e2022056586/188734/Adolescent-Use-of-Flavored-Non-Tobacco-Oral

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。米国食品医薬品局(FDA)は、違法なニコチングミの販売について警告を発した。韓国食品医薬品安全処(MFDS)は知能情報技術を活用したハイリスク輸入食品などを選別して集中的に管理するシステムを構築する。EUに端を発したエチレンオキシド(EO)を含むアイスクリームの問題が各国に影響を及ぼしている。

注目記事

【FDA】FDAは違法なフレーバー付きニコチングミを販売した製造業者に警告する

 米国食品医薬品局(FDA)は、違法な風味付きニコチングミを販売したとして製造業者VPR Brands LPへ警告文書を発送した。これらのグミは、子供向けの食品やキャンディに似ており、幼い子供が摂取すると重度のニコチン中毒を引き起こす可能性がある。製造業者は、グミ1個にタバコを含まないニコチン(tobacco-free nicotine)が1mg含まれていると主張している。6歳以下の子供は体重に応じて1〜4mgのニコチン摂取で重度の中毒となる可能性が報告されている。

※ポイント:米国では、2022年3月15日に制定、4月14日に発効した新規規制によって、タバコに限らずあらゆる由来のニコチンを含む製品が「タバコ製品」と見なされることになり、ニコチングミの製品も該当するようになりました。米国では、2007年2月15日以降に市販されるタバコ製品は「新規タバコ製品」となり、事前にFDAの認可が必要です。今回の事例は、その認可申請を行っていなかったために違法と見なされ、かつ子供の被害防止の観点から警告対象となっています。

【MFDS】人工知能を活用してハイリスク輸入食品をスマートに探す

 韓国食品医薬品安全処(MFDS)はビッグデータ・人工知能(AI)など知能情報技術を活用してハイリスク輸入食品などを科学的に選別して集中的に管理する「リスク予測基盤検査・管理システム」を段階的に構築し、今後の輸入食品安全管理業務に活用する計画である。このシステムは、食品の輸入量の増加に伴い食品安全を脅かす要因も複雑・多様化している状況下で、有害な食品の国内への流入を効果的に阻止するためのものである。システムは、①ビッグデータの収集・分析、②輸入食品などのリスク予測、③リスク予測に基づく検査・管理システムで構成される。

※ポイント:食品安全の分野におけるビッグデータとAIの活用例の一つです。輸入食品監視へのAIの利用は米国FDAでも検討していて、今週号では、輸入水産品を対象にしたパイロット計画が段階的に実施されているという記事もご紹介しています。

【SFA】食品中のエチレンオキシドの検査に関するSFAの声明

 エチレンオキシド(EO)の存在を理由に、アイスクリームなどの食品のリコールが発生している。微量のEOを含むアイスクリーム製品を摂取しても、個人が定期的に大量に摂取する食品ではないため健康上のリスクは生じないが、シンガポール食品庁(SFA)は海外の一部の規制当局がリコールしている食品にはリコールを行う予防的措置を講じている。SFAは、国内で販売される食品におけるEOの許容値のレビューを開始するとともに、アイルクリーム製品の積極的なサンプリングとテストを行っている。

※ポイント:EUを発端としたEO問題の関連記事です。EOが検出されたフランス産のハーゲダッツアイスクリームが各国に輸出されており、その報告を受けた国々が対応に迫られています。SFAは、リコールはしているものの健康上のリスクはないと明言しており、EU以外の国が今後どのような許容値を決めていくのか関心があります。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.18(2022.08.31)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2022/foodinfo202218c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. コンサルタント募集-WHO 健康的食生活監視イニシアチブ
2. 国際がん研究機関(IARC)

【FAO】
1. 世界の食料安全保障と栄養
2. 水の DNA

【EC】
1. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 特定栄養素の耐容上限摂取量の見直しのための摂取評価プロトコール
2. EFSA は新しい首席科学官を発表
3. l-メチル葉酸カルシウム及び(6S)-5-メチルテトラヒドロ葉酸グルコサミン塩の食事性葉酸塩当量への変換
4. 農薬関連
5. 豚、家禽類、馬でのフモニシンの毒性に関する情報の評価
6. 食品接触物質関連
7. 食品酵素関連
8. 遺伝子組換え関連

【FSA】
1. FSA の旗艦調査は現代の食事の取り方を明らかにする

【COT】
1. 2022年9月6日の会合

【UKHSA】
1. UKHSA年次会議

【DWI】
1. 情報文書03/2022の補遺発表

【ASA】
1. ASA 裁定

【BfR】
1. より良い食品と栄養安全性のために協力する

【ANSES】
1. 中毒を避けるためにマロニエと栗の違いを知ろう!

【FSAI】
1. リコール情報

【Ruokavirasto】
1. 小さい子供に与える時には紙ストローの使用を監視するように

【FDA】
1. FDA は AI 輸入水産品パイロット計画の第Ⅲ相に移行する
2. FDA は違法なフレーバー付きニコチングミを販売した製造業者に警告する
3. FDA とメキシコ当局が第2回年次パートナーシップ会議で食品安全の進捗を報告する
4. FDA は2022年の任意の米国小売食品規制プログラム基準を発表する5. 有害事象報告の調査:French Lentil & Leek Crumbles(2022年6月)
6. 警告文書
7. リコール情報

【USDA】
1. 学校給食と競合食品中の添加された糖(議会への報告)

【FTC】
1. FTC は詐欺的に宣伝された CBD 製品を Kushly Industries から購入した全国の消費者に約21000ドルを返金

【US GAO】
1. 健康的食生活:健康的食生活、食品安全、食料安全保障推進の政府全体での解決法

【CFIA】
1. 特定食品中のビスフェノール A 及び BPA 代替物質について-2016年4月1日から2017年3月31日
2. ソースとサラダドレッシングの表示されていないアレルゲンとグルテンについて-2020年5月1日〜2021年2月28日

【TGA】
1. TGA は違法、偽造医薬品に取り組む世界的な活動に参加する

【MPI】
1. プレスリリース
2. 警告

【MEDSAFE】
1. Medsafe は Nhan Sam Tuyet Lien Truy Phong Hoan(人參雪蓮追風丸)を摂取すべきではないと警告

【香港政府ニュース】
1. ニュースレター
2. プレスリリース
3. 違反情報

【MFDS】
1. 日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 人工知能を活用してハイリスク輸入食品をスマートに探す
3. 新しい食品原料認定、1対1オーダーメード型相談、需要調査実施
4.2021年の食品産業生産実績は前年比10.5%の増加
5. 食薬処、「食品分野規制革新国民大討論会」開催
6. 食品安全国で公共データの活用が容易になりました!
7. 健康機能食品原料の安全基準強化と個別認定型原料の拡大
8. 無登録で製造・販売した「大豆油」の回収措置

【SFA】
1. アプリコットカーネルの安全性
2. シンガポールの農産物を品質の証にする
3. 食品中のエチレンオキシドの検査に関する SFA の声明
4. 代替タンパク質のファクトシート
5. サラダの安全性:生野菜のリスク

【FSSAI】
1. FSSAI は食用油のトランス脂肪酸混入と適切な表示のない複数の由来の食用油の販売に監視を強化する

【その他】
・ProMED-mail1件
・世界保健機関(WHO:World Health Organization)http://www.who.int/en/