EUがカドミウムと鉛基準改正

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.17(2021.08.18)を発表した。

注目記事

【EC】食品中最大濃度基準の改定

 欧州委員会(EC)は、食品に含まれるカドミウムと鉛について、既存の最大基準値(ML)の引き下げまたは新たな品目へのMLの設定に関して委員会規則(EC)No1881/2006を改正した。2021年8月31日施行予定だが、それ以前に流通したものについては2022年2月までそのまま維持してよい。

※ポイント:EUは食品に含まれる汚染物質について、全般的に、他国よりも多くの品目を対象に比較的低めのMLを設定するという傾向があります。今回さらに対象品目を細分化してML値も厳しくなっているので、これらをすべて監視できるのか、また輸出入において問題が生じないのか興味深いところです。

【FSANZ】第26回オーストラリアのトータルダイエットスタディ

 オーストラリア・ニュージーランド食品基準局(FSANZ)は、第26回オーストラリアトータルダイエットスタディ(ATDS)において広範な食品および飲料に含まれるダイオキシンおよびダイオキシン様化合物、並びに非ダイオキシン様ポリ塩化ビフェニル類(NDL-PCBs)を調査した。サンプリングは2017年4月と2018年2月に実施した。その結果、一般的なオーストラリア人の食事暴露量は許容可能なほど低く、消費者への食品安全上の懸念はなかった。

※ポイント:調査自体は定期的に発表されているものなのですが、今回注目すべきなのは、分析結果や食事暴露量などの調査結果の詳細なデータが、初めてダウンロード可能なエクセルファイルで公開された点でしょう。これまでにも米国やEUでデータの共有が推進されていることをご紹介してきましたが、今回のFSANZによる対応もそれに追随しています。

【FSA】GMと新規食品の規制の国際的アプローチについての報告書発表

 英国食品基準庁(FSA)は、新規食品についてEU/英国、オーストラリア、カナダ、日本、米国を対象に、GM食品についてEU/英国、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、米国を対象に、それらの規制範囲や手続きの違いを把握することを目的とした調査結果を発表した。EUにおける新規食品とは、1997年5月15日以前にEU域内でヒトが相当量を消費していない食品と定義される。

 日本と米国では、新規の食品や食品成分に対応するための特別な法律はなく、両国とも、新規食品に相当する規制概念もない。対照的に、オーストラリアとカナダの規制制度は、EUの立場をより忠実に反映しているが、定義や新規食品法に該当するもの、認可の手続きに関しては大きな違いがある。どちらの市場でも、そのような食品を市場に出す前には承認が必要である。

※ポイント:別表「新規食品規制へのアプローチの比較」が理解しやすくまとめられています。新しい素材や製造方法が登場している現代で食品の安全性を確保するためには、新規食品制度はとても有効だと思います。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.17(2021.08.18)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2021/foodinfo202117c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. INFOSAN2021年第2四半期報告
2. 農薬管理に関する国際行動規範:農薬認可政策ガイダンス

【FAO】
1. Codex

【EC】
1. 食品中最大濃度基準の改定
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 異数性誘発性評価に関するガイダンス
2. 残留農薬の累積リスク評価に提案された予想シナリオ
3. コーデックス第52回残留農薬部会への EU の見解を作成するための科学的支援
4. 食品接触物質関連
5. 農薬関連
6. 食品添加物関連
7. 食品酵素関連
8. 健康強調表示関連
9. 飼料添加物関連
10. ナノ物質関連

【FSA】
1. Food and You2第2回調査報告が発表された
2. GM と新規食品の規制の国際的アプローチについての報告書発表
3. リコール情報

【FSS】
1. 包装済み直接販売の食品表示に関するガイダンス

【DEFRA】
1. 政府は世界を主導するフカヒレ取引禁止を導入

【ASA】
1. CBD マーケティング:新たな起業家向け要約したガイド
2. ASA 裁定

【BfR】
1. 誰が何をやっている? 参照本が欧州の食品安全機関の概要を示す

【FSAI】
1. リコール情報

【DAFM】
1. フードビジョン2030-持続可能なフードシステムの世界的リーダー

【FDA】
1. FDA はフッ化ポリエチレン食品接触容器について業界に文書を発行
2. 発酵及び加水分解食品のグルテンフリー表示についての最終規則の法令遵守日が近づいている
3. CFSAN 教育関連資料ライブラリ
4. テックトークポッドキャスト第2話:よりスマートな食品安全の新時代における全ゲノムシークエンシング(WGS)
5. 警告文書
6. リコール情報

【USDA】
1. USDA は遺伝子組換えで開発したアメリカグリの規制解除のための環境影響声明を準備する意向についてパブリックコメントを募集

【NIH】
1. 乳児用調製乳における生物活性成分に関するワークショップ

【CFIA】
1.2021-07-27食品安全検査報告

【FSANZ】
1. 第26回オーストラリアのトータルダイエットスタディ
2. 食品基準通知

【TGA】
1. 安全性警告

【香港政府ニュース】
1. 違反情報
2. プレスリリース

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 国民請願、輸入オキアミ油製品の他油脂混合有無を検査する
3. ナトリウム減らす方法! 実践飲食店を紹介します
4. インターネットで人気の夏の旬水産物の集中回収・検査
5. カラメル色素の分類を細分化してより安全に管理
6. 消費期限表示制導入およびファンシューマー食品販売禁止
7. 回収措置

【その他】
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