EUがBPAの規制を厳格化

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.05(2018.02.28)を発表した。

注目記事

【EU】ビスフェノールA:食品接触材料に関してより厳格な対策を適用

欧州委員会はビスフェノールA(BPA)を食品接触材料に使用することに関し、制限を大幅に厳しくする新規則を発表した。新しい規則では特異的移行限度(SML)がより低く設定されている(食品1kg当たり0.6mgだったものが0.05mg)。また制限の対象を、食品や飲料の缶の表面を被覆するコーティング材にまで拡げている。乳児用「蓋付きマグカップ」の製造にBPAを使用することも禁止され、乳児や0〜3歳児向けの食品に使われるコーティング材からのBPAの移行も認められなくなる。新規則は2018年9月6日から適用される。

※ポイント:EUが容器・包装に用いられるBPAの規制を厳しくしました。これは2015年のEFSAの評価で耐容一日摂取量(TDI)が引き下げられたことを受けての判断です。EFSAは米国国家毒性プログラム(NTP)が予定している試験結果が報告されたら再評価を行うとも発表しています。

米国では、今号の米国食品医薬品局(FDA)の記事の通り、NTPの試験結果が公開されてパブリックコメントが募集されました。今後ピアレビューが行われ、他の試験結果と合わせた上で、来年に米国の最終結論が出される予定のようです。

【EFSA】Regulation(EU)2015/2283のArticle10に従って新規食品認可を申請する場合の行政ガイダンス

新規食品の認可申請の提出物に関するガイダンス。EFSAが以前に公表している申請準備のためのガイダンスに従って、提出データのチェックリストと、科学的試験に関する4つの表のテンプレートを提供する。EFSAは申請時にこのチェックリストと表を利用することを推奨する。

※ポイント:新規食品はフードサプリメントの成分としても使われています。チェックリストの種類と項目を見るだけでも、新規食品の申請には多くの資料が必要で、そのデータのレベルも非常に厳しいことが理解できます。食品添加物の認可申請とほとんど変わらないレベルです。

【EU】オンラインで販売される食品

2017年に欧州委員会はオンラインで販売されている食品に対する最初のEU協調コントロール計画(EU coordinated control programme)を行った。この計画では、販売が禁止されている、医療効果を宣伝しているフードサプリメントに標的を絞った。25のEU加盟国、スイス及びノルウェーが参加した。それらの協調コントロールの結果、約1,100のウェブサイトがチェックされた。そのうち779で主に医療効果を宣伝しているフードサプリメントや未承認新規食品などの違法製品を販売していた。

【WHO】IPCS:物質固有調整係数

化学物質のリスク評価に用いられる種差と個人差に関する不確実係数について、化学物質ごとのトキシコキネティクスやトキシコダイナミクスの科学的データを用いて検討する試み。2005年のプロジェクト報告以降の新情報、米国EPA のガイダンス、学術文献などをレビューしている。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.05(2018.02.28)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2018/foodinfo201805c.pdf

今号の目次

【WHO】

1. IPCS:物質固有調整係数

【EC】

1. ビスフェノールA:食品接触材料に関してより厳格な対策を適用

2. オンラインで販売される食品

3. 食品部門のEUリスク評価:欧州委員会は透明性についてパブリックコメントを募集する

4. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】

1. EFSA conference2018

2. EFSAの残留農薬摂取モデル(EFSA PRIMo rev.3)の活用

3. 規制製品の申請手続きに関する行政ガイダンス

4. 食品添加物としてのセルロース類E460(i), E460(ii), E461, E462, E463, E464, E465, E466, E468,E469の再評価

5. 食品添加物としての二酸化ケイ素(E551)の再評価

6. タブレット型フードサプリメントに食品添加物として使用される低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)の安全性

7. 遺伝子組換え枯草菌TD160(229)株由来食品酵素キシラナーゼの安全性評価

8. 食品と接触する物質として使用される高密度ポリエチレンとポリプロピレンのクレートをリサイクルするために使用される‘Morssinkhof Plastics’プロセスの安全性評価

9. 使用後のPETを食品と接触する物質へリサイクルするために使用される、Starlinger Deconテクノロジーに基づく‘Envases Ureña’プロセスの安全性評価

10. 健康強調表示関連

11. 農薬関連

12. 気候変動と食品安全-EFSAの調査に協力して

13. Regulation(EU)2015/2283のArticle10に従って新規食品認可を申請する場合の行政ガイダンス

【FSA】

1. リコール情報

【NHS】

1. Behind the Headlines ›

【BfR】

1. 農薬のヒト健康リスク評価を統一されたものにする上で今後待ち受けているものは?

2. ドイツ出生コホート2014におけるメチル水銀の疾病負担

【FSAI】

1. FSAI相談電話は2017年に3,400の食品苦情を受け取った

2. アイルランドはオンラインで販売されている食品のEU全域インターネット掃除に参加

【RIVM】

1. 有害物質のバイオモニタリングに疫学研究を使うこと

【EVIRA】

1. オンラインショップの製品選択や情報は欠陥がある

【FDA】

1. FDAはクラトム製品の破棄とリコールを監視;このオピオイドに関連するリスクについての懸念を再確認

2. ビスフェノールAに関する国家毒性プログラム(NTP)の報告書案について、食品動物用医薬品部副長官Stephen Ostroff医師の声明

3. FDAは米国医師会と協力して二つの医学継続教育ビデオを発表:食品由来疾患の同定と治療、そして食品安全について患者と話す

4. CFSAN教育リソースライブラリー

5. 警告文書

【NTP】

1. 米国における化学物質と医薬品の安全性評価の新しいアプローチを確立するための戦略的ロードマップ

2. ワークショップ:急性経口全身毒性の予想モデル

【USDA】

1. 米国農務省農薬データ計画の2016年次要約書を公表

【FTC】

1. ニューヨークのサプリメント販売業者は虚偽で根拠のない健康強調表示をすることを禁じられる

【FSANZ】

1. 食品基準改定

【MPI】

1. 新しい情報がマヌカハニーの定義の小さな変更につながる

【MFDS】

1. 日本産輸入食品の放射能検査の結果

2. 「近所に餅発送も違法」との新聞記事に関して

3. 健康のために外食の栄養成分を必ず確認すること

4. 食品医薬品安全処、不正・違法な食品・医薬品検査のための新規試験法を開発・確立

5. 市販流通加工食品における漂白剤と発色剤の使用は安全なレベル

6. 可塑剤検出の酒類製品の回収措置

7. 全羅南道海南郡所在産卵鶏農家の卵検査の結果、不適合卵の回収廃棄

8. 無届けで輸入された天然スパイス製品の回収措置

9. 食品医薬品安全処、患者用食品の適切な使用のための情報提供

【その他】

・食品安全関係情報(食品安全委員会)から

・(ProMED−Mail)有毒コーヒー マレーシア:(ペナン)メタンフェタミン

・(ProMED−Mail)スコンブロイド中毒 オーストラリア:(クイーンズランド)マグロ、警告

・(EurekAlert)環境中によくある化合物PFASsは体重調節に干渉するかもしれない

・(EurekAlert)研究が高度に加工された食品とがんの関連を示唆

・(EurekAlert)子どものピーナッツアレルギーリスクを下げる-The Nurse Practitionerが更新

・(EurekAlert)研究者らが砂糖業界が脂肪を非難するよう仕向けたという主張に疑問

・(EurekAlert)フッ素摂取ガイドライン-それらは適切か?

・(EurekAlert)この種のものでは最大の研究が、認知症の最大のリスク要因は飲酒であることを発見

・(EurekAlert)低脂肪か低炭水化物か?引き分け、スタンフォードの研究が発見