モヤシの汚染でリステリア症

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.23(2014.11.12)を発表した。

注目記事

【US FDA】モヤシのリステリア

 米国食品医薬品局(US FDA: US Food and Drug Administration)、米国疾病予防管理センター(US CDC)、および州・地域の公衆衛生当局は、2014年6~8月に発生したリステリア症患者5人の調査を行っている。CDCは、イリノイ州で4人、ミシガン州で1人の患者が発生したと報告した。5人全員が入院し、2人が死亡した。

 FDAは、2014年8月12日~9月3日に実施した、モヤシ、豆腐および大豆製品を生産しているWholesome Soy Products社(イリノイ州、シカゴ市)への通常立ち入り検査で、リステリア(Listeria monocytogenes)汚染を確認した。

 米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)は、2014年8月12日~9月3日に実施したWholesome Soy Products社施設への通常立ち入り検査において、緑豆モヤシとその灌漑水の複数検体、および環境スワブ25検体からリステリア(Listeria monocytogenes)を検出した。

 FDAは、検査で得られた12項目の所見を記載した報告書を発行し、同社の衛生状態や設備の管理に多くの不備があることを指摘した。

【FSA】「含まれるかもしれない」表示についての調査

 英国 食品基準庁(FSA:Food Standards Agency)は、アレルゲン表示のある/ない包装済み食品の全国スナップショット調査を発表した。

 これら4つのアレルゲンの交差汚染は製造業者によってよくコントロールされていることを示唆する。表示されていないアレルゲンの交差汚染は、英国では他国より少ない。しかし製造業者は、アレルギー患者が不必要に選択肢を狭められることがないよう定期的にリスク評価と予防的アレルゲン表示を見直す必要がある。消費者は、予防的アレルゲン表示を無視してはならない。

 助言表示があってもヘーゼルナッツやピーナッツが検出されなかった検体の数は50%弱であった。助言表示が無く交差汚染で検出されたのはミルクとグルテンのみであった。しかし検出された量は少なく、アレルギー患者にリスクとなるとは考えられなかった。

【EFSA】エボラウイルスの欧州への伝播について

 欧州食品安全機関(EFSA: European Food Safety Authority)は、アフリカの中部・西部から欧州に違法に輸入された野生動物の肉を介してエボラウイルスが侵入・伝播する可能性は低いとしている。

 エボラウイルスは、アフリカの森林に生息するオオコウモリ、ゴリラ、チンパンジー、ダイカー(duiker)などの野生動物(当該野生動物)の肉から検出されている。当該野生動物の肉の欧州連合(EU)域内への輸入は法律で認められていない。EU域内に違法に輸入された当該野生動物の肉の取扱い、調理および喫食によるエボラウイルスの感染事例は現時点では報告されていない。

 EFSAの専門家は、以下の理由により、当該野生動物の肉を介してエボラウイルスに感染するリスクは低いと結論付けた。まず、当該野生動物の狩猟および解体には高い感染リスクが伴うが、欧州ではこれらの慣行の存在が確認されていない。また、EU域内での当該野生動物の肉の喫食量は少ないと考えられる。さらに、アフリカでは当該野生動物の肉が日常的に喫食されているが、現地でのアウトブレイクの報告件数は比較的少ない。

 しかし、EFSAの専門家は、当該野生動物の肉を介したエボラウイルスの侵入・伝播の可能性は低いとしながらも、その高い致死率やヒト-ヒト感染が容易であることを考慮すると、侵入・伝播が現実となった場合の公衆衛生上の影響は重大なものになるであろうと警告している。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(微生物)No.23(2014.11.12)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2014/foodinfo201423m.pdf

今号の目次

【米国食品医薬品局(US FDA)】
1. Wholesome Soy Products社製のモヤシのリステリア(Listeria monocytogenes)汚染に関する調査(患者発生)
2. ヒスパニックスタイルチーズのリステリア汚染に関する調査(患者発生)

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. Wholesome Soy Products社製モヤシの回収とリステリア症患者の調査
2. Oasis Brands社製チーズの回収とリステリア症患者の調査

【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. アフリカの森林に生息する野生動物の肉を介したエボラウイルスの欧州への伝播について欧州食品安全機関(EFSA)がリスク評価を発表

【欧州委員会健康・消費者保護総局(EC DG-SANCO)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【Eurosurveillance】
1. 2013年にイタリアで発生したA型肝炎アウトブレイク:マッチさせた症例対照研究

【イングランド公衆衛生局(UK PHE)】
1. 英国全域で発生している大腸菌感染アウトブレイクの調査

【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. 台所で鶏肉をどのように取扱うか? ― 調理環境の不衛生が疾患の原因となることがある
2. 欧州の食品安全向上のためドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)と欧州食品安全機関(EFSA)が協力

【ProMed mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報
食品安全情報(微生物)No.23 / 2014(2014.11.12)